とても素敵な家が立ち並ぶ、高級住宅地を歩いていたら、通りの向こう側の、塀から猫が飛び降りて来た。
猫好きは分かるらしい、呼ぶと一目散にやって来る。
昔からよくこういう事はあって、高校時代、昼休みに構内に迷い込んで来た子猫が、構おうとする生徒達から逃げ回り、
ちょうど行き会わせた僕の足下からジーパンを伝わって駆け上り、首元でブルブル震えていたり、
芸大の入試要項をもらいに行った帰り、上野公園の茂みで、鳴いている子猫に、呼びかけたら走り寄って来て、
もう寒い時期だったから、僕のジャンバーに首元から入り込んで来て、帰れなくなった事がある。
サードアルバムのライナーにも書いたが、初対面の猫と、膝付き合わせ、夕日を眺めた事もある。
それだけ猫が好きなのに、10年ほど前から、猫アレルギーになってしまった・・
猫と一緒の部屋に居たら、くしゃみ鼻水が止まらなくなり、しまいには喘息っぽく、呼吸困難になる。
猫を撫でたりしたら、手のひらはかゆくなり、その手で目でも触ろうものなら、お岩さんのようになる。
悲しい事である・・・
最近、アレルギーに対する研究も進み、検査を受け、何がどう自分に作用するのか、分かって来た。
猫に関しては、昔は猫の毛が原因なのか、と思っていたが、どうやらそうではないらしい。
猫のふけが原因らしいのだ。
今日の猫は、高級住宅地に相応しく、とてもきれいにしてもらっているのだろう。
思わず撫でまくってしまった僕の手は、今日は何ともなかった。