画家の江口あさ子さんの個展へと伺う。
江口さんは、画家の方々が集まってのグループ展に、
恥ずかしながら写真で参加させていただいた「Dreams Gate」展以来、親しくさせていただいていて、
物語性を強く感じる彼女の絵は、僕の音楽への刺激にもなっている。
「Dreams Gate」は画家の玉神輝美さんの呼びかけに集まった江口さんをはじめ、
影山徹さん、長野剛さん、テツジ山下さん、高田美苗さん、kaoさん、牧野鈴子さんらによるグループ展で、
なぜか僕も写真で参加させていただいていた。
グループ展は6回を数え、毎回会期中、あるいは最終日に僕のコンサートを、
青山曼荼羅や驢馬駱駝などに皆さんの絵を飾らせていただき行った。
その絵をテーマに即興演奏をするなど、なかなか贅沢なものだった。
僕は、自分だけが写真であることの負い目から、毎回みなさんの絵をデータでお借りし、
自分の楽曲にそれぞれの絵を当てはめ動画化する、といったコラボレーション作品を作り、
「Dreams Gate」展や、ライブで流すことにしていた。
いや、負い目からと書いたが、本当はとてもやりたいことだったから、徹夜を重ねる時間を費やし作品を作ったのだ。
今も見るたびに、音楽だけを作るときとはまた違った、その時の熱のような、ものを作る時のパワーを思い出す。
そうやって、みなさんの絵に自分の楽曲を当てはめようと眺めてゆくと、
みなさんそれぞれの世界観から、ある種楽曲の共通するパターンが出来てくる。
江口さんの絵ならば、こういった曲、影山さんの絵ならばこういった曲、高田さんなら、テツさんなら・・・というわけだ。
絵から受けるイメージを、とても大事にしていたし、そうやって出てくるイメージをワクワクして待っていたから、
このコラボレーションは大好きな時間だった。
今回、久しぶりに江口さんの個展に伺うことができ、生の絵を見ることができ、また一つ気がついたことがある。
当たり前のことなのだが、みんなそれぞれの人生を生き、歳を重ねて行く。
先ほど書いた、作品の世界観から受けたイメージのパターンは、すでに過去のものでしかないということ。
会場に入り、すぐに目を奪われた。
個展に間に合うかどうか、というギリギリなところで描いていた、と伺った。
圧倒的な命の存在を感じることが出来、体温まで感じることのできる絵だった。
いつか、いや、いつかなどと言う時間の余裕はない、好きな画家たちの絵に、すでに作った曲ではなく、一から音楽を作ってみよう。
江口あさ子 妖精の世界展
2022年6月29日(水)~7月12日(火)
小田急新宿店本館10階 美術品売り場
TEL03-5325-2554(直通)
江口さんの在廊日は6月29日 7月2日、3日、5日、7日、9日、10日、12日(12時~16時)だそうです。