Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

知事の問題発言にみるレベルの低さ

2007-04-05 08:20:27 | ひとから学ぶ
 東国原知事が、新入職員のの入庁式の訓示で「タミフルを5日間飲み放題飲んだので、きょうは異常行動、異常言動に走るかもしれない」と語り、すぐに謝罪をしたというニュースが流れていた。中央のテレビにひっきりなしに顔を出すこの知事は、広告塔としてその価値は高いかもしれないが、このごろそんな評価にうぬぼれてしまったような発言もちらほらしてきた。謝罪はしたものの、「シニカル、ブラックジョーク的に社会風刺したつもりだったが、本質が十分伝わらなかった」と釈明していて、どうも謝罪にはなっていないようにも思う。だいたい、本質が伝わらなかったというが、その「本質」とは何を指すのだろう。まったくわからない。お笑い会社の入社式ならいざ知らず、「5日間飲み放題」とか「異常言動に走るかもしれない」という語り口は、公務員の入庁式には不適切というか、新人さんに対して失礼な言葉だと思わないのだろうか。そもそも「おれたちは異常言動で訓示を聞かされているのか」ということになってしまって、「宮崎県よお前もか」というくらいよそと変わりのない訓示式となってしまっている。

 てなことを思っていたら、実は新人さんへの訓示で問題発言がほかの県でもあったと報道された。愛知県では、福祉の心を説明するに当たり、先天的な病気やハンディキャップのある人々について「弱い悪い遺伝子を持った人」と表現したという。「もう少し良い表現があったかもしれない」というが、そのもう少し良い表現とはどんなものなのだろう。こういう謝罪の中でいつも思うのは、「もう少し」とか言うものの、その具体的な表現や言葉を提示して謝罪するケースをまず見ない。ということはもう少しよい表現なんてないのだ。ようはその言葉しか浮かばなかったに違いない。先ごろ問題になった農林水産大臣と同じである。

 また、埼玉県では、「自衛官の人は大変ですよ。分かりやすく言えば、いつも平和を守るために人殺しの練習をしている」と知事が言ったという。まいったなーこれは、という感じだ。自衛官は人殺しの練習をしていると思っていることそのものが、まるで自衛官を認識していない人の言葉のように聞こえる。だいたい人殺しの練習なら、実際に人殺しでもしなければ実践には対応できないだろう。この問題発言に対して、何を思ったのか防衛省の事務次官は、「防衛省、自衛隊は国の防衛だけでなく、救急患者輸送、災害派遣など多様な任務に応えるのが仕事だ。戦闘場面に限定されたものではないことを理解いただきたい」と話したという。この事務次官も何か勘違いしているようで、戦闘場面を想定した練習だって、「人殺し」の練習を前提にやっているわけではないだろう。これでは危なくて憲法改正なんてできっこない、と思うのだが違うだろうか。

 わたしが問題発言をするのとはわけが違う。若い新人たちを前に税金で生きていく人たちへの訓示だ。当たり前だろうが、適正な言葉を選ぶのは当然ではないだろうか。

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3 コメント

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発言よりも (ボッケニャンドリ)
2007-04-05 08:47:09
 問題と言われてる発言よりもその後の言い訳の方に問題が多いと思いましたよ。
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いいわけはしない方がよい (trx_45)
2007-04-05 12:20:04
 いろいろ言い訳したくなるから、輪をかけて不思議な論理になってしまう。そんな感じ。
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ご都合主義の政治家たち (katacha67)
2007-04-05 12:35:45
そう、この不思議な論理やらその場しのぎのご都合主義が、日本の公僕の「真面目な勤労意識」を奪っていくのです。
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