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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

阿南町の一石三十三観音

2019-03-28 23:26:20 | つぶやき

 1ヶ月ほど前に「富草大島の一石三十三観音」について記した。その後阿南町内で4基の一石三十三観音に出会っている。これはあえて訪ねたわけではなく、たまたま仕事で歩いていて出会ったもの。ようは農業用用水路を歩いていて出会ったものだ。もちろん水路に接している位置にあったわけではなく、周囲、あるいは迂回して歩いていて出会ったもの。

 

瑞光院

 新野瑞光院にある一石三十三観音は、すぐ近くを水路が流れている。一昨日触れた女夫岩の亡霊塔より少し沢を遡ったところでこの水路は取水される。そして等高線に沿って瑞光院の裏まで導水されている。瑞光院のものは、井戸寛氏が『日本の石仏』146号に「中部山地に点在する一石三十三観音塔探訪」として報告されたものの中で、天文2年(1737)とされている。はっきりとその年銘を確認できなかったが、このあたりの一石三十三観音の中では古い方のものである。ほぼ人の背丈と同じ1.5メートル余りの碑高。

 

小野

 阿南町役場のあるところから平久へ向かう村道から少し外れたところに立つ一石三十三観音は、写真の通り、何が彫ってあるかわからないほど摩耗している。風化が著しいから古いとは言えないだろうが、この状態であるから年銘などまったくわからない。かなり古いものなのかもしれない。この碑は、やはり同じくらいの高さの等高線を西へ追っていくと水路の取水口がある。この場所まで至らずに碑の正面にある水田地帯に水は落とされてしまうが、その水田地帯から山腹を見ていたら碑に気がついた。双体道祖神などとともに祀られているが、湧水があって、日陰であることからいずれの碑も苔むしている。その環境からくるものなのだろう、現在すぐ上に改修された村道は、斜面が崩れそうになって通行止めになっている。迂回路がこの碑のすぐ下の旧道に誘導されていて、より目につきやすい位置にこの碑は立っている。やはり背丈ほどある碑である。

 

神小谷

 近ごろ“「象頭山」碑”にも触れた。この碑に相対するように立つ青面金剛の隣にも一石三十三観音が立つ。天保元年建立のもの。

 

 冒頭に4基と記した。もう一つは以前「和知野へ」で触れた和知野の集落内にあるもの。和知野は標高差が大きい集落。その集落のなかほどでの沢で取水された用水は、和知野川の近くまで下っていく。そこから取水の位置まで再び車道を上っていくと、その途中にこの碑はある。水路の標高差は70メートルほど。


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