Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

掛け流し

2018-08-16 23:33:21 | 農村環境

 7月下旬のある日、ある改良区を訪れるとJAの指導を聞いてびっくりし、指導に従わないようにと対応を急いでいた。その指導とは、水量が豊富な地域では水の「かけ流し」で水田内の水温を低くする対応や、水深を深くする対策を呼び掛けたというもの。これは訪れたエリアのJA上伊那に限らず、JA南信州でも指導していることで、この夏の暑さによって実を包むモミが厚みを増すことで米粒が小さくなったり、玄米の内部に亀裂が生じる「胴割れ」など品質低下が見込まれるからのもの。なぜ改良区が慌てたかというと、その改良区は、河川沿いをエリアとしていて、比較的平らな地域。したがって用水と排水が分離しており、掛け流しをすると、水田の水は排水路に落ちてしまうのだ。掛け流しをした場合、溢れた水が元の用水路に戻れば再び用水として利用されるが、排水路に落ちてしまったら、もう用水として利用できない。JAは「水量が豊富な地域では…」と前置きしているが、用排兼用水路地域と限定しているわけではない。用排兼用水路であれば、掛け流ししても問題はないが、そうでないと無駄に水を使ってしまうため、この時代であっても水不足を生じてしまう。とくに用水と排水がほとんどのエリアで分離している地域では、掛け流しなど御法度なのだ。

 今年は、猛暑で水稲の生育が例年以上の早さで進んでいる。我が家でも、早くに田植えをした家では、8月中に稲刈りじゃないか、と頻繁に話題となる。コシヒカリは出穂後、1日の最高気温の積算が1000~1050度で刈り取りの適期を迎えるという。1日の最高気温が30度でも1カ月で900度に達する。したがって35゜が続けば、たとえば10日猛暑日があれば50度上乗せ、20日あれば100度上乗せとなる。7月下旬に既に穂が出始めていたようだから、8月中の稲刈りは計算上も妥当となる。

 もちろん我が家の水源はため池だから、「水量が豊富」のはずがない。したがって掛け流しなんてできるはずもない。とはいえ、漏水が多いから、掛け流しほどではないが、そこそこ用水を掛けないと干上がってしまう。今年は山の雪の様子から、水不足になるのじゃないかと心配していたが、この猛暑日の連続でも、意外と水不足には至っていない。既に秋風が吹き、雨もあって、心配だけで終わりそうだ。


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