Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

人事期の憂鬱

2022-01-11 23:49:56 | ひとから学ぶ

 昨年は空白をたくさん描いたから、「きっと書いた」と思うようなことが、検索しても表れない。やはり記録と記憶は大事だ。

 この1年、わたしの悩みは膨らんだ。その原点は、昨年の人事期に訪れたもので、上から親しみをこめて「○○ちゃんそんなこと言える?」というものだった。ある人事に関する調整にあたっての「上」の発した言葉であった。もちろん「○○ちゃん」はわたしのことだ。そういえば昨年度、長年会社に勤めていた彼が辞めるという話を聞いた。上司との関係に嫌気がさしたのか、長年の鬱積が爆発したのか、噂はいろいろだった。その彼が辞める直前に挨拶にやってきて、丁寧に報告をされた。具体的なことを深くは聞かなかったが、最も気になったのは、「本社から何の言葉もなかった」というところだった。中堅ではあるが、おそらく最後の日は、出先で「お世話になりました」と心にもない言葉を発して発つのだろうが、長年働いても、中途で辞めれば「そんなもの」なのだろう。

 今年、近くにいる彼が、やはり会社を辞める。人事担当は「直接話を聞きたいから、後日その時間を調整したい」と言っていたのに、それっきりだった。時期を逸してしまうと思い、こちらから本社に問い合わせると「上がしなくて良い」と言ったらしく、該当者への聞き取りはしなくなったという。もちろんわたしにその連絡をしていなかったのも、聞いていたものとしては納得いかない部分もあるが、その後の道筋が決まっているのだから、直接聞いても何も「変わらない」ことも事実だ。無駄なことと言えばそうかもしれない。このことを知って、「なるほど」と思った。昨年挨拶にやってきた彼が、「本社から何の言葉もなかった」と言った背景が透けた。日本型社会のそれが姿なのかどうかは、わたしは知らない。ピラミッド化している組織において、上の言葉は優先されるし、言われれば直属の部下はそれ以上の行動は起こさないかもしれない。どれほど関係を築いてきたとしても、人の顔を見てか、見ないでか、も解からないが、彼らに本社はアプローチしなかった。もし直属の上司といさかいがあったなら、絶縁状を叩きつけたようなものなのかもしれない、辞める彼らは・・・。

 わたしに「上がしなくて良い」と聞いた彼は「人事担当」だ。とすれば、等しくどんな社員にも対峙してもらいたいが、「上」を重視したなら「そういうこともあるか」とわたしも思うが、単純に「去るものは追わない」で良いとも思わない。結果が解かっていても、彼らの仕事はちゃんとして欲しい、とは思うのだが・・・。

 ということで冒頭のわたしに掛けられた言葉だ。人事担当に「しなくても良い」と言った彼(上)の言葉だ。結局彼は「言えないから」、わたしが「言った」わけだ。問われた際に、簡単に「できる」とわたしは答えた。当たり前だ。それが会社としての必須事項のことぐらい解かっているから。わたしは人事担当でもないのに、「できない」と言った彼らの変わりに、嫌な役を負った(嫌でもなかったが)。かつて「こんな会社いつでも辞めてやる」と口にしていたわたしには、会社を去る(去った)彼らの気持ちは解かる。


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