悔しさと涙にくれたその夏。犯人は誰か、まったく手がかりはつかめなかった。とはいえ、誰がやったかにしろ、もうクヌギの木はないのだ。どうしようもない。
その夏が過ぎ、秋冬春と季節を重ね、翌年の夏のこと…。
近所に住む叔父の家に遊びに行ったとき、偶然みつけてしまった。庭におびただしく並べられたクヌギの木々。どの木もはっきりと見覚えがあった。椎茸の栽培を趣味で始めたとは聞いていたが、犯人が叔父だったとは。愕然とした。
その叔父には世話になっていたし好きだったので、文句を言うこともできなかった。そもそも、抗議をしようにも、その当時の幼稚な知能では、何が問題なのか整理がつかなかった。
今ならいくらでもいえるだろう。他人の土地から法定果実を搾取したとか、窃盗だとか、少なくとも共有財産だろ、勝手に処分するとは何ごとか。ムシが半永久的に取れなくなったことをどう考えるのか。椎茸栽培したいからといって、子供たちの大切な昆虫の集まるクヌギの木を切るとは何ごとか。どうしてくれるんじゃー!とか。もっとも、当時は、前年の夏からの経過した時間によって怒りの度合いも薄まっていた。
とにかく、こうして犯人はあっけなく判明した。ただ。ムシ仲間にどう報告すべきか。幼いなりにその心を痛めた。しかし、犯人が身内であったとはとてもいえない。どうしてもいえない。
いえないまま、少年時代は過ぎ、その年を境に昆虫に対する興味も消えうせてしまった。ただ、いつか抗議してやろうと思っていたが、郷里を離れたことから、叔父とめったに会うこともなくなり、クヌギの木を切られた無念感は単なる苦い思い出になってしまっていた。
昨年正月、その叔父も他界。クヌギの抗議は永遠にできなくなった。叔父はクヌギの木を切ったことをどう思っていたのだろうか。
あと、コオイムシ、ハイイロゲンゴロウなどの小型のゲンゴロウは飼育経験があります。
私の憧れは、水生昆虫でいうとゲンゴロウ、シャープゲンゴロウモドキです。
あと、日本産クワガタで言うと、オニクワガタとツヤハダクワガタ、ヒメオオクワガタ、チビクワガタを捕まえたことがありません。あとルリクワガタも。
これらもいずれ、捕獲したいと思っています。
しかし、ノスタルジーに浸るとは
「おっさん、ヤキが回ったな、読んでて、恥ずかしいぜ」
ちなみに私は今年クワガタ取りを3回決行しました。