平倉山荘 -- BLOG --

 蔵王を歩く・滑る。日々を記す。空想上の山小屋~たいらぐらさんそう~

平均年齢65.5歳

2014-05-25 | 山・やま・Mt.
先日のクラブ納会で話が盛り上り、先輩と二人で蔵王・井戸沢に滑りに行くことになった。先輩は御年84歳の現役スキーヤー。私が47歳であるから二人合わせて131歳、平均65.5歳の残雪スキーと言うわけだ。

井戸沢の残雪は、地元スキーヤーの間では以前から楽しまれてきたエリアである。私が初めて滑ったのが小学生の時であるから、かれこれ40年近く前になる。最後に滑ったのはいつだろう、思い出せない。私にとっては久しぶりの井戸沢となる。

84歳現役スキーヤーの先輩は、以前は毎年のように春スキーに出かけていた。行く先は、八甲田や月山、そして地元井戸沢。最近は年齢のこともあり出かける機会は減ったといが、昨年もこの井戸沢を滑っている。若い頃は、八甲田で猪谷六合雄氏や三浦敬三氏とも一緒になったことがあるという。

朝6時15分、スキー道具を車に積み込み先輩宅のある坊平に向かう。7時に先輩宅のペンションを出発することにした。井戸沢残雪へは有料道路蔵王ハイラインの途中から入ってゆく。料金所が開く前に、そして雪質が硬いうちに滑ろうということで早朝の出発となった。

山形市内は、昨日今日と「東北六魂祭」が開催されていて多くの人が訪れている。昨日は13万人の人出があったという。今日は曇りのち晴れ気温27度の予報。祭りの熱気と相まって暑い一日になりそうだ。しかし向かうエコーラインの山頂は雲に覆われていた。蔵王ハイラインに入ったあたりから霧に包まれ風も出てきた。

「天気が良くないねぇ。」と言いながらも準備を整え残雪に入る。視界10m、生憎の天気である。斜面を確認するように、まずは84歳の先輩が滑りだす。井戸沢には大きく2本の滑走ラインがある。下に向かって左側は斜度が急で僅かではあるが距離も長い。「登り返しがつらいから、最近はこっちを滑るんだ。」と先輩が右側のラインを滑ってゆく。「今日は滑りにくいなぁ。所々、凍ってるよ。」雪面を雨が流れた跡が凍っていた。滑走できる長さは約200m。その間を2~3回に区切り残雪の状況を確認しながら滑り降りてゆく。

「登りはゆっくり行くから、お先にどうぞ。」井戸沢にTバーなどはない。滑り終わったら足で登る。残雪が観光道路の間にあるから、車を使ってピストン輸送もできるが今日は歩く。2本目を滑り終えスタート地点に戻ると、「なんだか頭がくらくらするから、今日は1本でいいや。」と先輩が待っていた。この霧の中では無理もない。私でも霧酔いしそうなくらいだ。そんなにガツガツ滑る必要もなく楽しむ事が大切。長年滑り続けてきた先輩の経験知だ。

クラブ副会長で、現役スキーヤーとしてはクラブ最年長。その姿、そしてそのスキーに対する情熱はクラブ員みんなの憧れである。霧の中、二人で残雪に腰を下ろししばし休憩。以前クラブの恒例行事だった月山春スキーの思い出話を聞くのも楽しい。

その後、依然として霧が晴れない中を、私は3本ほど滑り久しぶりの井戸沢スキーを楽しんだ。晴れていれば宮城県側の景色を一望できるのに。「雪の多い年は7月にも滑ったことがあるよ。」と先輩。今度は晴れた日にまた来てみよう。


霧の中を登ってくる84歳現役スキーヤーの先輩


滑走終了点から残雪を見上げる。今度は晴れた日に来てみよう。
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日出ずる道

2014-05-11 | 山・やま・Mt.
蔵王連峰 中丸山熊野岳弁天平周回コース 単独

コースタイム
自宅5:30=TooCotton6:00~6:10-滝見場6:54-いろはブナ7:16-中丸山山頂7:58-熊野岳山頂9:17-馬の背-弁天平-TooCotton11:00


天気予報では高気圧に覆われ一日中晴れの予報。朝と昼との気温差が大きいらしい。朝4℃、日中25℃。TNFバーブパンツの下にアンダータイツを履く。上半身は、モンベルラガー山シャツの下にパタゴニアのTシャツを着たが、冬用の長袖アンダーのほうが良かったようだ。足元はいつものダイドースパイク長靴。杖がわりにブラックダイヤモンドのストックを持ち、ザックに鉈を入れる。食料は、二合のご飯でおにぎりを作り朝と昼を賄う。保温着にスクールのインナージャケット(ミズノ)を持つ。

山行記録
ライザスキー場から仙人橋を渡り、支尾根に上がるまでの沢周辺の登山道が荒れていた。橋を渡った仙人沢右岸の木製柵がまた一段と沢側に傾いていた。今は使われていない旧登山道との分岐にある道標も道を塞ぐように傾いていた。足元の注意を促すトラロープも全体的に荒れていた。

夏道は、ぶな林に入った辺りから残雪歩きとなる。「いろはブナ」周辺の道は完全に残雪の下になり道を失う。周辺のブナの太さから「いろはぶな」を探し当てる。その北側にある「メデューサぶな」を確認するため残雪の上を進む。この時期はブナ林上部の潅木帯の夏道を見つけるのにいつも手間取る。潅木帯は藪が混んでいて夏道を見つけなければ先へは進めない。辺りを見渡すと夏道らしき潅木の切れ目が目に入る。周辺を歩き回り夏道の入り口を確認してからもう一度「メデューサぶな」まで戻る。「メデューサぶな」を背にし潅木帯の夏道方向を確認すると、偶然にも太陽が昇っている位置と重なっていた。時は7時30分、「日の出ずる道」がそこにあった。

潅木帯の夏道を登ってゆくと尾根上に木道が現れ、中丸山山頂に近づくにつれ再び残雪歩きとなる。中丸山山頂東側の鞍部は、いつものようにたっぷりの雪が残っている。向かうトドマツ帯上部まではほとんど雪の上を歩くことになる。途中、雪の重みで全ての枝がそぎ落とされたトドマツを見る。登りの傾斜が緩くなる辺りから夏道が出始めた。

尾根南側を通る登山道は、いつも仙人沢側に残雪が落ち込んでおりトラバースも慎重になる個所であるが、今日は雪も柔らかく心配なく通過できた。

その後、月見ヶ原残雪の登山ルートに進むため、高さ5mんの雪庇を登る。今日は先週の湯殿山大滑走の余韻のせいか、周辺の残雪が妬けに気になる。「春スキーを楽しめそうな残雪はないだろうか。」

今立っているところから南側に広がる辺りが気になる。ルートから外れその残雪に歩を進めてみる。月見ヶ原登山ルートの残雪を「月見ヶ原第一残雪」と呼ぶならば、これから向かう残雪は第二、第三残雪と呼べよう。気になる残雪は一番南側の第三残雪である。

それぞれの残雪の下方は仙人沢左又沢に向かって落ち込んでいる。斜度が急なため、安全優先で沢底までの残雪の確認をあきらめる。第三残雪の下部から斜面を確認するために残雪を登ってみる。スキーをする斜度としては「中斜面」。長さは約200mほどであろうか。遠くから見た時より傾斜は緩い。いつかスキーを担いで来てみよう。

第三残雪を登った後は登山ルートの「アザミロード」へ戻るつもりでいた。しかし、第三残雪はその幅を狭めながら熊野岳山頂方面に延びている。「行き止まりならば戻ればいいや」と思いそのまま残雪を登って行く。すると登山ルート「下り右カーブ道標」の脇に合流した。以前、このあたりの道が整備されていない頃、この地点から登山道を見失い左股沢に迷い込んだ登山者を助けたことがある。多分、いま登ってきたルートを辿っって迷い込んだのだろう。

その後は、夏道の石畳を登り熊野岳山頂に着く。上空は快晴であるが風は冷たい。アンダータイツを履いた足元は寒さを感じないが、上は雨具を羽織った。蔵王山山頂神社に手を合わす。御神酒の一升瓶が倒れ割れていたので、ガラス片を祠の横に片付けておく。

熊野岳山頂からは馬の背を経てヤマコー夏リフト上駅を目指す。途中、お釜を覗くと湖面の氷は半面積ほど開けていた。解け割れた氷が湖面に散らばっていた。

「荒沢」を下ってゆくと刈田駐車場南側の残雪にたくさんのボーダーが集まっている。ジャンプ台やレールを作って賑わっている。リフト乗り場で日noさんに尋ねると、蔵王中央ゲレンデで行う予定の「残雪フェス」が会場を変えて賑わっていると言う。

御田の神を下っているとお取引先から電話が入る。下山後、会社に行くことになったので夏道ルートを外れないように先を急ぐ。弁天平からスキー場カモシカコース下り、お清水の森を抜けてTooCottonさんの駐車場に到着する。久しぶりに中丸熊野周回コースを歩き、心地よい疲労感とすがすがしい満足感を感じ帰路に着く。

登山道側に傾いた道標


メデューサぶな


中丸山山頂からの熊野岳


枝が放射線状にそぎ落とされたトドマツ


尾根南側を通る登山道から見る、月見が原残雪と熊野岳


月見ヶ原の残雪。奥を第三、手前を第二と呼ぼう。


第三残雪を登り詰めてゆくと「右カーブ道標」の脇に出た。


熊野岳山頂の道標に付いた霧氷。


山頂神社と登山者


右から鳥海山、葉山、月山、そして先週滑った湯殿山、赤見堂山。


お釜湖面の氷が解け割れていた。


あの残雪の向こう側でボーダー達が賑わっていた。
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湯殿山東斜面大滑走

2014-05-04 | 山・やま・Mt.
湯殿山東面 山スキー滑走
メンバー:2名 斉TO先輩(L)と私

上山7:15=志津=ネイチャーセンター8:40~9:18-石跳川―装束場鞍部(昼食)11:30~12:05―湯殿山山頂直下13:12~13:20-湯殿山東斜面(滑走)―石跳川―ネイチャーセンター14:10~14:30=上山

装備
山スキー(ブリザード+ジルブレッタ404)、アルペンブーツ(ヘッド)、ゴア雨具、ヘルメット、サングラス、夏用キャップ、毛糸帽子、冬用グローブ、ビーコン(ピープス・先輩から借用)

行動記録
先輩から連休中に山スキーに行かないかとメールが届いた。先輩とは、私がスポーツクライミングを始めたころに知り合った同じ市内の方。地元の高校、大学山岳部を経て当時県内で最も先鋭的な山岳会に所属していた方である。ヒマラヤ登山も経験しており本チャンの山屋である。

人工壁のクライミングには何度となくご一緒しているが実際の山行きは今回が初めて。昨年は祝瓶山登山の計画を立てていたが結局は都合がつかず、今回が初山行きというわけだ。お互い忙しいので少しでもいけるチャンスがあったら行っておくべきだ。

誘われた計画は「月山方面への山スキー」。県内の春スキーと言えば月山か鳥海山。この時期、蔵王では長く滑れるところはないはずだ。月山への山スキーとなると1993年の月山肘折ツアー以来の21年ぶり。

山行前日に詳細メールが届いた。週末の業務が忙しかったので手軽なルートをお願いしていた。内容は「湯殿山東面大滑走が楽しいが、手軽なルートならばリフト利用の月山山頂往復」というもの。「湯殿山滑走かぁ。面白うそうだ。」山のベテラン先輩との初山スキー、せっかくのチャンスである湯殿山滑走に連れて行ってもらう事にした。

しかし私自身、今スキーシーズンはスキーを履いたのが一日だけ。仕事が忙しかったことと地元スキースクールの事務局をしているので、休日の度にスキー場に行っても事務仕事で終わる日が続いた。そんなわけで今回のお誘いには体力的にもマテリアル的にも不安のある状態での山行となる。

先輩の車に乗せてもらい上山を出発する。高速道は使わず一般道で志津を経由しネイチャーセンターへ向かう。センター周辺はまだ車は少ない。身支度をしていると先輩が同じ職場の女性の方とお会いする。単独で湯殿山に登りに来たとのこと。

今回は新雪(表層)雪崩の心配はないが念のためビーコンを装着する。私はビーコンを持っていないので先輩からお借りする。出発前ビーコン捜索の方法を確認する。センターからすぐにシールを張って石跳川に沿い歩き出す。

川はまだ雪に覆われているが、所々口を開けている個所もある。「ここでずれ落ちたら川にドボンっだな」という個所もある。1時間ほど登ったところで小休止。風が出てきた。予報では高気圧に覆われ穏やかな日になると思っていたが、日本海側から装束場鞍部を吹き抜けてくる風は強い。

鞍部に向かって行くと進路左手に湯殿山が現れた。標高1500mの山ながらも急峻な山容に圧倒される。「確か、あの斜面のはずだ。」以前に二度滑走している先輩の記憶で今日の滑走ルートを伝えられる。「えっ、あそこを滑るの!!!」。今シーズン一日しかスキーをしていない体力的な不安と山頂周辺のクラック、そして覆いかぶさるような急斜面。不安で急に無口になる自分。「たぶん自分には滑走点までも行けないな」、「途中で引き返します事にしよう」と完全に弱気になっている私。やはり本チャンの山屋さんは次元が違う。「装束場鞍部往復が私にとっては安全山スキーだな。」と内心思いながら鞍部を目指す。

鞍部に近づくと姥ヶ岳方面から山スキーヤーが滑り降りてくる。月山リフトを利用し姥ヶ岳を登りこの石跳川に沿ってネイチャーセンターまで下るルートが人気のようだ。GW連休とあってその数は結構多い。

鞍部手前の風の弱い場所で昼飯を摂る。その後、ヘルメットを被りスキー板をザックに括り付け、滑走点である湯殿山山頂へと続く尾根に取り付く。姥ヶ岳方面から滑って来た10名ほどのスキーヤーとボーダーが同じ尾根を先行する。先行者がいることに内心安堵する。

休憩をとる先行グループを追い抜き、尾根を登ってゆく。クラックを慎重に越えて進む。尾根は狭く藪を越える個所もある。根曲り筍の根本はアルペンブーツの底がよく滑り足を取られる。振り返るとこれまで姥ヶ岳に隠れていた月山が姿を現した「大きい!」。庄内平野側の風景も眺望できる。「素晴らしい景色ですね。」と言葉を発するも、内心はこの後のルートの危険性が気になり風景をじっくり楽しむ余裕はない。先輩はそのこと察してか先頭に立ちリードして行く。二つの小ピークを過ぎたところで鞍部が現れる、その先が湯殿山山頂のようである。滑走点はそこ。ここまで来たら先輩について行くしかないと覚悟を決める。

山頂直前に藪が現れた。これを越えて高みへ進むか、越えずに目の前の雪稜を横切るか。先輩の判断で急な雪稜をトラバースし山頂直下から滑りだすことにする。滑走点到着。先輩のGPS機能付きデジカメで座標を記録しておく。先ほど追い抜いてきたグループも私たちの後を追ってきている様子。

シールを剥がし板を履く。滑り込む先は急斜面。場所によっては下が見えない。先輩は「下から動画撮影するから」と言ってカメラを携え急斜面に滑り込む。頼もしい。私は「昔取った杵柄」などと、この場においてそんな自信は禁物と自分に言い聞かせ滑りだす。「腐れ雪だから転んでも止まるから大丈夫!」と先輩の言。厳しい登山経験のある先輩はカリンッカリンの斜面を経験している。滑落したら…の世界を。

途中からは私が先行して滑ってゆく。なおも急斜面は続く。大き目にターンをしてゆくと、ターンの時に蹴り散らされた雪の塊が自分を抜いて斜面下に転がり落ちてゆく。滑走終了点の石跳川が近づくあたりからやっと気持ちに余裕が出てきた。小さなターンを刻み滑走を楽しむ。先ほど見上げて絶対無理だろうと思っていた斜面を、いま滑り降りている。満足感が湧き上がる。自分の冒険心の枠を越えられた満足感である。近年ブームになっているバックカントリースキーの魅力を味わい、湯殿山東斜面大滑走を終える。

その後、ネイチャーセンターまでは石跳川に沿って緩やかな斜面を、右に左にのんびりとターンしながら滑り降りてゆく。所々、スキーにブレーキのかかる春の雪を踏ん滑ってゆくとネイチャーセンターが見えてきた。

20数年前、カナダでのスキー活動を経験し山の魅力を知り、帰国帰郷後、地元の山をずっと歩いてきた。今回の湯殿山東斜面大滑走は、その中でも記憶に残る山行となった。そんなことを先輩に話しお礼を言い今回の山行を無事終了する。山ってやっぱりイイですね。

石跳川沿いを登る先輩


正面には姥ヶ岳


中央支尾根の左側の谷を滑る。


先行するグループ


振り返ると月山


湯殿山山頂直下をトラバースする先輩


反射して浮かび上がる数日前のシュプール


東斜面滑走中間点で


中間点から石跳川を見下ろす。


滑り降りてきた湯殿山東斜面
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石を踏んで

2014-05-01 | 日記
先日、風呂の洗い場で何かを踏んだ。米粒大の無色透明のもの。突き刺さるような感じはないから、ガラスの破片でもないし。と、特に気にも留めず風呂から上がった。

翌日、家内がアクセサリーの石をどこかに落としてしまったと言う。「そう言えば風呂場で何か踏んだぞ。」「ふ~ん。」

翌朝、風呂掃除に行った家内、なんとそこで失くしたアクセサリーの石を見つけたのだ。やっぱりあの時の。「よくもまぁ、偶然にも踏んづけものだ。」と、ふたりでビックリ。

そんなことがあった数日後の今日、台所の流し台の上にゴマ粒大の黒い物体が落ちていた。よーく見た。じっくり見た。もしかしてこれも何か大切なものでは⁇⁇

あの高価な小さな石を、偶然にも踏んで以来、目の前にあるただのゴミにもやけに敏感に反応し、顔を近づけて見入っている。しばらく過敏症が続きそうだ^^;
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