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夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

8月最後の週末の日記

2008-09-01 | diary
土曜日の朝は5時半頃に目が覚めました。まだ寝ようかなと思いながら、週末にやっておきたいことを思い浮かべました。すぐにいくつも思いついたのとPCを使わないとできないことが多いんで、起き出してしまいました。

まず区の図書館のサイトにアクセスして、「藤原定家」で検索しました。思った以上に文献がそろっています。メモを取っておきます。次にHMVのサイトでベートーヴェンとシューベルトのピアノ・ソナタを検索します。先日、グールドのベートーヴェンの最後の3つのソナタとアファナシエフのシューベルトのやはり最後の3つのソナタなどをお店で買ったんですが、その時もうちょっと買いたいのを我慢したのが尾を引いています。この2人のCDについて言うと長くなりますが、自分の言いたいことがあって、それを聞かせるテクニックも十分あるという当たり前だけど、実は少数の人たちといったところでしょうか。

そんなことをやっているうちに8時くらいになって、大島で買った冷凍のトビウオで朝ご飯を食べて、フィットネスに行きました。火曜日と木曜日の仕事帰りと土曜日の午前中のプログラムにはよほどのことがない限り参加しています。まるで仕事みたいですが、生活を決まりきったように過ごすのが自由にものを考える条件のように思っています。……終わる頃にはTシャツはずぶずぶに重くなっています。夏はやたら汗が流れるばかりでトレーニングとしてはあまり効率的じゃないような気がします。

シャワーを浴びて、近くの図書館に行きます。さっき検索した「明月記」や「藤原定家全歌集」や彼が若い頃書いたと言われる「松浦宮物語」は中央図書館にしかないので、取り寄せようとしましたが、全部で10冊ほどあるのをいちいち名前や住所も含めて書かなきゃいけないんで、ネットで申し込むことにしました。

定家の歌についてはこれまでも何回か書いてきましたし、概説書は読んでいますが、ちょっと企んでいることがあって少し文献を揃えてみようと思ったんですね。で、そこにあった入門書的なものと俊成が主催した「六百番歌合」を借りました。その他に電車の中で読むための文庫本を書棚をぶらぶらしながら探し、生物学のと小説を選びました。

お昼にそうめんを食べ、朝飯前にやっていたことの続き、ネットで定家の予約をし、HMVからCDを購入しました。DVDで昨日、眠くなってすぐにやめてしまった「アラバマ物語」を見ます。その間はPCが空くので、通勤時に聴くためにリッピング(PCに落とすこと)します。PCがものすごく遅くなるんで、本を読んだり、DVDを見たり、ご飯を食べている時にやるわけです。バッハのカンタータとかプロコフィエフのコンチェルトとかショスタコーヴィッチのシンフォニーとかタン・ドゥンとかレスピーギとかヴェネチア派とか適当に選んでCDを出し入れする単純作業です。

「アラバマ物語」は「サンセット大通り」とカップリングされていたものです。監督も違うし(ロバート・マリガンとビリー・ワイルダー)、内容も雰囲気も全然違って、ただパブリック・ドメインだから一緒にするっていうのもどうかと思います。原題は"To Kill a Mockingbird"ですから、邦題は「ツグミを殺すのは」とかの方がいいような気がします。モノマネというニュアンスは、黒人であるがゆえに有罪にされるトムや知的障害者であるがゆえに閉じ込められているブーには関係なさそうです。タイトルの意味も作品のテーマも「弱い無垢のものを殺しちゃいけない」という父親から主人公の女の子スカウトが教えられたことでしょうし。

で、この映画は名画だそうで、それに異議を唱えるつもりもありませんが、繰り返し見たくなるような意味深さは感じられません。アメリカ人が意外に好きな(というと叱られそうですが)静かな正義のヒーローというか、教師が感想文を書かせたがるような映画というか。「キューポラのある街」とかを想起させるカメラワークで、作りの古さが気になります。

その中で、スカウト役のメリー・バダムはボーイッシュでかわいらしいです。最初は「アパートの鍵貸します」のシャーリー・マクレーンの少女時代かと思いました。DVDを止めて検索してみて、そうじゃないと知るとかえって「そう言えばジャニス・ジョプリンにも似ている。ビョークにも。……どうもこの手の顔に自分は弱いらしい。いや、似てると思うのはたぶん自分だけで、共鳴弦のようなものか」などとあらぬことを考えていました。

夕方になって近所のお肉屋さんに行き、ちょっとぜいたくな肉を買ってしゃぶしゃぶを食べました。降ったり、やんだりの季節外れの変なお天気が続いていますから、こちらもお付き合いしたわけです。食後、CDを聴きながらゴーゴリの「死せる魂」を読みます。トロワイヤの「大帝ピョートル」については以前に書きましたが、その後もイヴァン雷帝、アレクサンドル1世と読み進めて、今は「女帝エカテリーナ」を電車の中で読んでいます。ロシアに興味を覚えて、ずっと前に買って未読だった「死せる魂」にも手を出したというわけです。この週末でもう少しで終わるところまで読みましたが、風刺の効いた冷静な筆致の第1部よりも、神秘主義に染まった作者によって何回も原稿が火に投じられ、そのたびに書き直された未完の第2部の方がはるかにおもしろく感じています。

戸籍制度がいい加減なのに目をつけて、死んだ農奴の戸籍がそのままになってるのを担保に金融機関からカネを引き出そうとするチーチコフがあちこちの地主を巡るロード・ムーヴィのような第1部がよく整理されているのに対し、第2部は人物をいっぺんにたくさん出し過ぎていたり、主人公が急に回心したりして、破綻は覆いがたいものがあります。でも、それが小説の建設現場を見るようでもあり、優れた才能の廃墟を見るようでもあるわけです。死せる魂というのは死んだ農奴と地主階級を始めとしたロシア人の荒廃した心とのダブル・ミーニングですが、後者への批判の矢は次第に鋭く深くなっていくのを見ると小説は壊れたものの方がおもしろいんじゃないかとさえ思います。

日曜日の朝はゆっくり寝ることができました。フランスパンの包装紙にあったブルスケッタという、オリーブオイルとにんにくを塗ってトーストしたものにモツァレラチーズと刻んだトマトを載せたのを食べました。バジルがなかったんでタイムを使いました。

近くのホームセンターに行って、テーブルクロスと花を買いました。テーブルで新聞を読むため、引っ越した時に取り替えたテーブルクロスもかなり汚れていました。今度はちょっと派手目の花柄のです。花の売り場には菊の仲間やリンドウが出ていて、やっぱり秋の風情です。バルコニーが広くなったのと近所で買えるんで、花や観葉植物をちょくちょく買うようになっています。ペチュニアや日日草は丈夫で、よく花を咲かせますが、そればかりではつまらないと可憐なものを選ぶのですぐに枯れてしまったりします。それが造花やドライフラワーと違ったよさでもあるように思います。前に黄金比と植物の関係について書いたときには、全然植物の世話なんかしなかったのに今頃になって「やっぱり花には五弁のものが多いなあ」と思いながら、日光に当てたり、水をやったりしているんですからおかしなものだなと思います。

お昼には「ためしてガッテン」でやっていた「ほぐさずに焦げ目をつける」という方法で焼きそばを作って食べました。確かにもちもちした感じで違いがわかりました。昨日、注文したCDがもう宅配便で来ました。便利なものですが、また面倒なリッピングです。ポリーニのベートーヴェンの後期のソナタ、内田光子のシューベルトのソナタ集、プレヴィンのヴォーン・ウイリアムズの交響曲全集などですが、ちょっと聴いただけでも内田の慈しむようなアプローチはいい感じです。通常「楽興の時」と訳される"Moments Musicaux"は「音楽の生まれる瞬間」と訳したらいいなと思いました。

夕方になってちょっとさみしくなって、離れたところにいる友だちに電話しました。お祭りに行くそうで、なんだか楽しそうに話すのを暗くなっていく部屋で聞いていました。……ごくふつうの週末ですが、したいなと思ったことのほとんどすませられてすっきりした気分でした。


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なんかいろんなものがあるサイトです。


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4 コメント

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早起きは三文の…w (ぽけっと)
2008-09-05 16:42:46
えらく知的に充実した休日ぶりの中、ごはんのことが必ず出てくるのが小学生の日記みたいでなんか生活感漂っていいですねw
ノン・フィクションなのかなあ…なんとなく習作のようにも読めるような…

「楽興の時」は訳分からんけど名訳のようにも思いますね。「音楽の生まれる瞬間」は消える瞬間でもあるんですよね、はかなさが素敵ですね。
そう思うとラフマニノフの同じ名前のものは仰々しすぎw
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信じようと信じまいとw (夢のもつれ)
2008-09-05 17:35:21
すべて実話です。。まあ、都合の悪いことは書いてないという意味でノンフィクション的ではありますが。

小学生の日記みたいでなんか生活感漂ってるってうれしいですね。継続的に日記を書けないのは、はしょれないからで、何か特定のことやものについて書くと批評かフィクションになっちゃいますね。でも、それだと生活感というか全体感がなくなるしなって思ったんですよ。

「楽興の時」っていうとくつろいだ感じですが、内田さんのを聴いてると「なまの音楽獲って来ました」って気がしたもんで。
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ほらねw (ぽけっと)
2008-09-09 18:25:43
淡々と書きながらも、何か文章の雰囲気をまとめようとしてるかな、て気がしたんですよ。
そのために事実じゃないことも混ぜてるのかな、て思ったのは考えすぎだったみたいですけどw

「なまの音楽」いいですね。ピチピチとれとれですね。
ライブでは経験したことありますが、CDでそれってすごいことですね。
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ああ雰囲気ですか (夢のもつれ)
2008-09-15 16:12:44
それはありますね。。だってそれが伝えたかったことのコアの部分ですから。

内田さんのシューベルトはホントにすばらしくて、最後のピアノソナタに寄せる悲しみは「ピエタ」のようです。。
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