○スーク交響曲、ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲:ノイマン、スーク、チェコ・フィル
孫のヨセフ・スークがヴァイオリニストとして非常に有名なので、同じ名前の祖父(1874-1935)も名前は知っていましたが、作品を聴くのは初めてです。ドヴォルザークの娘を妻にしたから言うわけではありませんが、義父の音楽と似ていて、シンフォニーはあまり感心しませんでした。幻想曲は孫が弾いたもので、内容的にはヴァイオリン・コンチェルトと言ってよく、独自性を感じますし、スークの独奏も甘い調べを奏でて心地よいものです。
○ベートーヴェン・ピアノ協奏曲全集:ポリーニ、アバド、ベルリン・フィル
ポリーニにとって2回目のベートーヴェンのコンチェルト全曲録音で、1992年12月から93年1月にかけてのライヴです。これだけの演奏をライヴでやれるというのは驚きで、めまぐるしい音色の変化、ニュアンスの付け方などさすがですし、第1、第2と第5とでは、アプローチをかなり変えるなど綿密なアナリーゼを感じました。アバドの指揮によるベルリンフィルの演奏も響きの均質性が鮮やかです。
○ヨンゲン協奏交響曲、フランク・ファンタジー、パストラーレ:マレイ、エド・デ・ワールト、サンフランシスコ・シンフォニー
ヨンゲン(1873-1953)はベルギー生まれの作曲家だということです。オルガンがソロを務める協奏交響曲は、19世紀フランスのオルガンを使ったいろんな曲を想起させるものです。あまり大したものではないなというのが正直な感想です。
○シューマン・ピアノ四重奏曲、ブラームス・ピアノ五重奏曲:グールド、ジュリアードSQ、モントリオールSQ
グールドが合わせ物なんかすると相手は大変だろうって思いましたが、さすがはジュリアードSQ、ちゃんと揺れるテンポをピアノのないところでもやっちゃうなんてこともして、バラバラってことはありませんでした。かなりストレスがたまってどちらのSQとも一緒にやることはなかったようですがw。演奏としてはどうなんでしょうね。別にグールドにシューマンらしく、ブラームスらしくとは思いませんが、わざと薄っぺらな音を出したり、結局何がしたかったのかよくわかりません。
○リスト・メフィストワルツ、ノルマの回想、ドン・ジョヴァンニの回想ほか:ホルヘ・ボレット
ホルヘ・ボレット(1914-90)はハバナ生まれで、キューバの外交官になったり、GHQで音楽担当ディレクターを務めたりしたちょっと変わった経歴の持ち主です。この2枚組みのCDはフィッシャーのと同じ「20世紀の偉大なピアニスト」のシリーズのもので、ぜんぶリストの曲(ベルリーニとヴェルディを編曲したものを含む)です。
あんまり期待してなかったんですが、びっくりしました。これまで聴いた数々のリストの演奏の中でいちばん説得力があるように感じました。明眸皓歯、澄んだ瞳と白い歯っていう意味ですけど、そんな絶滅wしてしまった美少女のような透明感のある、粒のそろった音で、とても深い味わいのある、時に官能的な演奏を聴かせてくれました。時々こういうのがあるので、何でも聴かなきゃって思いますね。