夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

今日聴いた音楽~ポール・マッカートニー「リヴァプール・オラトリオ」ほか

2005-10-15 | music

○ヤナーチェク弦楽四重奏曲(クロイツェルソナタ、内緒の手紙)&バルトーク弦楽四重奏曲:東京クヮルテット
 ヤナーチェクの弦楽四重奏曲は今ひとつユニークさや切れ味に欠けるような気がして、それはこの演奏でも払拭できなかったですね。バルトークの弦楽四重奏曲はショスタコーヴィッチと並ぶ名作ですが、演奏は間然するところがないって言えばいいのか、優れた演奏なんでしょうけど、最高峰の4番や5番でリズムにしても特殊奏法にしても凄みと言うか、端正すぎて怖いようなものがないですね。

○ダングルベール(1635-91)・クラヴサン作品集:クリストフ・ルセ
 こういう時代にこういう音楽がたくさんあったんだろうなって感じの作品でした。どうも私はチェンバロと相性がよくないみたいです。

○ヘンツェ・バレエ音楽「オンディーヌ」:ナッセン、ロンドン・シンフォニエッタ
 現代のバレエ音楽ってどうしてもストラヴィンスキーの影響を脱するのがむずかしいのかなって思いました。聴きやすいんですが、折衷的な音楽のような感じでした。

○ポール・マッカートニー「リヴァプール・オラトリオ」:カール・ディヴィス、キリテ・カナワほか
 ポールの最初のクラシック作品だそうです。戦争、学校、教会堂地下室(Crypt)、父、結婚、仕事、危機、平和という8楽章構成、2枚組みCDの大作です。ポールの半生を描いたものって思いたくなりますが、一応そうではなく、シャンティという戦時下で生まれた子どもがメアリーという女性と結婚していくというストーリーを持っていて、ミュージカルって思った方がいいような。最初はラテン語で始まってえらい気合入れてますが、すぐにポールっぽいポップなところとイギリスの音楽らしいのびやかさ(緊張感がないとも言えます)が支配してとても聴きやすい楽曲に仕上がっていますw。正直言ってビートルズ時代の天才的メロディ・メーカーの作品を期待してはいけません。

○シベリウス「クレルヴォ交響曲」:パーヴォ・ヤルヴィ、ロイヤル・ストックホルムフィル
 フィンランドの叙事詩「カレワラ」に取材した作品で、父を殺され森を独りさまよっていたクレルヴォが出会った乙女を強引に誘って犯した後で、互いに生い立ちを語ったところ、妹とわかり、乙女はすぐに自殺してしまいます。彼も父の仇を討った後で同じ場所で自らの剣の上に身を投げて死んでしまうという、なんだかヴァーグナー好みの話です。全5楽章のうち、第3楽章「クレルヴォと彼の妹」と第5楽章「クレルヴォの死」が独唱と合唱によるカンタータというかオラトリオ仕立てで、他の楽章は交響詩的な音楽でストーリーを描写します。歌詞は口承されてきた叙事詩だけに「クレルヴォ、カレルヴォの子、とても青い靴下を履く子」といった言い回しが何度も出てくる素朴な感じのものです。音楽としては、シベリウスが好きな人にはいいんだろうなぁって思いました。

○SIGNAL!:東京トロンボーン四重奏団リサイタル
 サティ、テレマン、スコット・ジョプリンらの作品をトロンボーン4本で演奏したもので、へえトロンボーンって音域も表現の幅も広いんだなって感心しました。なんか男声合唱団って感じです。

○ラス・ウェルガスの写本(13世紀スペインの音楽):パウル・ファン・ネーヴェル、ウェルガス・アンサンブル
 11世紀に起こったシトー派修道院によるカトリックの刷新運動は、労働を尊び、簡素な生活を送ることを旨として、音楽においても過度な装飾を排するようになったそうです。12世紀の終わりにカスティーリャ王によって建てられたシトー派の女子修道院ラス・ウェルガスにおいて180曲以上が収められた写本から演奏したのがこのCDというわけです。内容のほとんどはラテン語テクストによる宗教声楽曲ですが、典礼用の曲よりは自由詩につけた曲の特に器楽部分が地方色やトルバトゥールの音楽(4/3の記事参照)のようなエキゾチズムを感じさせて、おもしろかったです。最近の私は、どうも19世紀以降の音楽よりこういう古い音楽の方がなじみやすいですね。そうそう、ラテン語の発音について、例えばAgnes Deiがアニュズ・デイだったり、Dona nobis pacemがドナ・ノービス・パセムだったりして気になったんですが、解説によるとこれも当時のスペインでの発音を考証したものだそうです。ちょっと驚きました。


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