江副 康成 鳥栖市の未来を語るブログ

鳥栖市議会議員として鳥栖市の未来に対する思いを語るとともに、その活動の様子を議会および議会外についてお知らせします。

早期の改廃を望む条例が成立しました

2012-04-23 14:40:36 | インポート
大変多くの問題を抱えた条例が成立してしまいました。
九州国際重粒子線がん治療センターに係る固定資産税等の
課税免除に関する条例であります。もとより賛成討論もなく、
つまり賛成反対の意見をぶつける場面もなく皆で粛々と成立
させてしまいたいという議会の雰囲気ではありましたが、反対
討論で賛成できない理由を私が所属する天桜会(会長松隈
議員)を代表して説明させていただきました。

(その様子は鳥栖市議会インターネット中継平成24年4月臨
時会4月23日本会議の再生録画の中で16分27秒付近から
見ることができます)



一寸先は闇がここでも
この問題は自民クラブに所属(私と松隈議員は平成23年3月
まで)するときから色々と問題を抱えているとのことで、会派
(自民クラブ、天桜会)を上げて追及してきたところです。
ところが自民クラブが最後の最後で賛成に回り賛成多数で可
決することとなりました。議案審議の時我々以上に痛烈なこと
を言っていた自民クラブの議員もいましたけど。もっとも久しぶ
りに出席した同じ会派の柴藤議員は共産党議員の反対討論
を聞いてその場で賛成にまわったとのことです。(私はその
反対討論は正論であり、大凡的を得たご指摘であると思いま
した。すべての議員に賛成反対の評決に至った理由を是非
明らかにしていただきたいと思います。少なくとの議会基本条
例を昨年制定した鳥栖市議会の議員としての責務ではないで
しょうか。) 
色々ありましたけど、これからはこの成立した条例
が実際には使われることのないよう願うのみです。

こうした市民にとって不幸な出来事はこれが最後であってほし
いと思い、これからも頑張って議員活動をしていきたいと思いま
す。



不適切なひな形条例の提案
なお、参考までに私の反対討論を以下に転載させていただきま
すが、その中に示した問題点を簡単にご説明いたします。
一つは、条例そのものが、個別の事情をよく考慮せず、無理やり
一般的なひな形を安易に焼き直ししているということです。

努力目標という言葉は無責任の裏返し
もう一つは、橋本市長がよく使われる努力目標という言葉にあり
ます。25億円という資金貢献が期待されている状況において努
力目標という言葉を安易に組織の中で使うことは許されません。
トップは結果責任を問われる立場にあります。努力目標などとい
う甘い責任などありません。努力目標とは責任回避のための保身
的な言葉にしか聞こえてきません。









天桜会の江副でございます。ただいま議題となっております議案
甲第5号九州国際重粒子線がん治療センターに係る固定資産税
等の課税免除に関する条例について反対討論をさせていただき
ます。
この議案につきましては3月定例会で多くの委員より慎重を期す
べきであり、なお十分なる審査が必要であるとの意見が出され閉
会中の継続審査となったものであります。その後、4月5日と17日
に委員会が開催され5日は私が所属する委員会の開催日と重なっ
たため17日の総務常任委員会のみ傍聴させていただきました。
しかしながら、この委員会でのやりとりを聞けば聞くほどあいまい
な部分が浮かび上がり、いかに誘致要望活動の先頭に立たれた
橋本市長の対応がイージーゴーイングであったかが明確になった
有様でありました。

さて、これまで、一般質問、質疑、委員会の審査と多くの時間が
この問題にかけられました。そして「この条例案の問題点とは何
か?」も明らかになってまいりました。
その最大かつ根本の問題点は、平成20年2月の誘致に際して
「鳥栖地域において民間中心に25億円の資金を集めること」を決
定したにも関わらず、そのことを議会や市民に隠し続けたことであ
ります。
議会がそのことを知り得たのは、平成23年の9月定例会の一般
質問での答弁であり、この固定資産税の20年間の免除が市議
会の各会派の代表者に提案された平成23年7月よりも後の話で
あります。
初めは、支援の拡大の理由としては、このことは触れられなかっ
たのです。しかし、一般質問や質疑、委員会審査と進むにつれ、
今回の支援の拡大の原因がこの25億円にあることが判明いたし
ました。
つまり、我々から問い詰める事がなければ、本来の原因である
市長の決定した誘致に際しての基本方針は最後まで明かされ
る事は無かったのではないかと言う疑念が湧いてくるのであり
ます。
委員会では「なぜ、このことを議会や市民に公表しなかったのか
?」という質問に対し、「民間資金だけで調達する予定であったの
で、報告する必要はないと考えた」との答弁でしたが、結果として、
当初よりも10億円も支援を拡大することになっているのでありま
す。
これが、当初より議会も市民も承知していることであれば、民間
で調達出来なかった場合の対応などが事前に協議できていたで
しょうし、平成20年の3月から今日まで25億円という巨額の資金
の調達具合を常に監視出来ていたのであります。
しかし、我々はその機会を奪われました。
そして、何も知らされぬまま、東日本大震災で資金が集まらない
事が原因のように説明をされるのであります。確かに震災の影響
もあったでしょう。しかし、執行部は誘致が決定した平成20年2月
下旬から震災の起こった平成23年3月11日までの3年間、まった
く資金集めの実績がないのであります。25億円にも上る巨額の資
金を調達しなければならないのに3年間もの間、何もせずにすべ
てを震災のせいにして市民に負担を押し付けるとは言語道断であ
ります。
この1点においても今回の提案は賛同しかねるものでありますが、
更にもう1点指摘しておかねばならない事がございます。
それは、20年間にわたる固定資産税の免除という手法そのもの
であります。先の議案審議でも指摘いたしましたが
地方税法総則逐条解説によれば地方税法第六条第一項課税免
除について次のように記述されています。
租税の基本原則は公平の原則にある。ところで、一定の範囲の
ものに対して課税をしないこととすることは明らかにこの公平の原
則と矛盾する。したがって、公平の原則を害することによる弊害よ
りも課税免除の措置による利益が大きいときに、はじめて、課税
免除をすべきであって、個々の地方団体は課税免除を行う場合
には、常にこの一般的な負担の公平と特定の政策目的と価値に
ついてその軽重を比較検討すべきである。
そして、行政実例によると、政策目的に基づく課税免除等はそれ
がひろく住民一般の利益を増進するものである場合に限り認めら
れるものであり、単に特定の企業の利便のために本条の規定を
適用することは法の趣旨に反するとしてされています。
よってこの課税免除規定が濫用されることのないようにするためは、
特に次の四点に注意すべきとされています。

一 当該施設の誘致が当該地方団体の住民の一般的な公益を
増進するものであること。一部のものの利益のために課税を免除
することは、第6条の規定に反するものであること。

二 課税免除の取り扱いは、なるべく短い一定時間に限られるべ
きものであること。永久または長期間の課税免除は適当でないこ
と。
また、公益上の理由が消滅した場合には直ちに課税免除の取扱
いを取り消すこと。

三 地方交付金の算定の基礎となる基準財政収入額には、当該
課税免除に係る地方税も参入されるものであること。

四 課税免除の取扱いが政治的取引の手段となりまたは地方ボ
ス暗躍の地盤とならないよう特に注意すること。

まず、初めに「当該施設の誘致が当該地方団体の住民の一般的
な公益を増進するものであること。一部のものの利益のために課
税を免除することは、第6条の規定に反するものであること。」に
ついてであります。
この場合の住民つまり鳥栖市民の一般的な公益を増進するもの
であることに本件を該当させるには無理があり、また一般的な負
担の公平という観点からしても無理があります。
第一このような優遇策は誘致際して提示するものであって、誘致
決定後の拡大はまさに特定の企業の利便のために本条の規定を
適用することに該当するのではないかと言うことであります。

次に「課税免除の取り扱いは、なるべく短い一定時間に限られる
べきものであること。永久または長期間の課税免除は適当でない
こと。
また、公益上の理由が消滅した場合には直ちに課税免除の取扱
いを取り消すこと。」についてであります。

課税免除とは一定の範囲一定の要件に該当する者には地方自治
体の判断で特に課税を免除するというものであることは言うまでも
ありません。そこでその前提条件やその後の履行条件や付帯条件
に問題があった時に第3条(課税免除の取り消し)により調整が図
られるということになります。
特に第4号市長が必要と認めるときというのが重要になって来ると
思うのですが、この件につき私の質問に対する執行部のご答弁は、
資金支援をするという公益性を失った場合の課税免除の取消しに
つきましては、本条例案第3条第4号の「市長が必要と認めるとき」
という項目に含まれるものと考えているとのことでした。資金支援す
るに値する公益性とは何か、またその範囲はいかに考えるかという
議論を先の3月議会及び閉会中の総務常任委員会で議論してきた
かと思います。ここが最大の論点でもあります。そこを明確にするた
めの議論ではなかったのでしょうか。
そして先の委員長報告の中で、「資金確保できた場合の課税免除
の廃止、課税免除を廃止する基準及び県等との確認状況について
は、鳥栖地域での25億円の資金確保ができた場合には、課税免
除を廃止し、このことについては県とも確認しているが、全体の150
億円の資金確保ができた場合における課税免除の廃止については
確認していないと執行部から説明があったとありました。
本来であればこの点を明確にし、第3条(課税免除の取り消し)に規
定すべきでありますが、そもそも25億円集まるかとか、150億円集
まるかということは市民の公益性とは直接的には関係の無い議論
であります。このような法の趣旨を歪めるような拡大解釈こそ問題が
大と言わざるを得ません。
次に三番目として「地方交付金の算定の基礎となる基準財政収入
額には、当該課税免除に係る地方税も参入されるものであること。」
とあります。
これは免除によって実際の市税収入がないにも関わらず、その収入
があったものとして交付税を算出されるものであり、14.6億円の歳入
減の他に地方交付税の減額もありますよという事です。財政当局は
そうした想定される交付税に及ぼす負のシミュレーションを果たして
チェックされたのでしょうか。
個々の地方団体は課税免除を行う場合には、常にこの一般的な負
担の公平と特定の政策目的と価値についてその軽重を比較検討す
べきであるという指針を繰り返しご指摘させていただきました。
同様に徴税をご担当の税務課として一般的な負担の公平という観点
から特定の民間団体を特別扱いする政策について納税者が不公平
感を持たないよう、納税意識を維持していただくご説明ができるとお
考えでしょうか。
また殖産興業、産業を起こし雇用の場を増やし地域経済をより強くす
るための企業誘致、その任務をご担当の環境経済部においては企業
立地奨励金は3免2減までが相場かなという一般的な認識において、
九州国際重粒子線がん治療センターのみを特別扱いする理由説明
をいつでもどこでもすることができるのでしょうか。是非来てほしい企
業に積極的にアプローチをかける企業誘致活動において、本件が足
を引っ張ることになりやしないかという事を私は一般質問の中でも指
摘させていただきました。特例を作るという事の重大性に対する認識
が全く伝わってこないのであります。

最後に4番目、「課税免除の取扱いが政治的取引の手段となりまた
は地方ボス暗躍の地盤とならないよう特に注意すること。」とあります。
先に述べたように今回の条例の提案は鳥栖市が民間中心に25億円
を集めるという基本方針を立てているのにその資金が集まっていない
ことが原因となっています。
それは、執行部もたびたび答弁されているように、「誘致自治体の責
任」という性格のものです。
その責任とは何なのか。誘致するために条件として提示したものを形
にして履行せよと県から求められているのであります。
確かに最初は県が他自治体なら準備できる20億~30億円について、
用意できるのかとの打診はあったことは事実ですが、それを受けて25
億円を民間中心に集めると提示したのは紛れもなく鳥栖市であります。
そして、それに対する主体的責任を果たすことなく、代替手段として固
定資産税等の免除という手段を選び政治的決着を図ろうとすることが、
濫用事例として慎むべきとする課税免除の取扱いに相当し、政治的取
引の手段となっているではないかと何度も何度も指摘してきたのであり
ます。

色々とお話しさせていただきましたが、今回の事態にいった最大の責任
は橋本市長にあると私は思います。私の知り得るところではの話であり、
慎重に物申さなければならないとの思いから、3月議会の議案審議では
3回目の答弁は橋本市長自らお願いしますと念を押していたところです。
しかし何の答弁も、何の反論も橋本市長からはありませんでした。
橋本市長は25億円の資金を民間企業を中心に鳥栖市で調達するとの
方針固めをした上で古川知事に誘致の要望に行かれました。そして専門
者会議のご提言という形式を伴いながら、鳥栖市へと決定していったわけ
であります。プロジェクトリーダーである県と鳥栖市との関係で言えば、
実質的には平成20年2月15日の県庁での会談により決定されたわけ
であります。その時、橋本市長は25億円は努力目標だと思っていたとの
ことです。一方佐賀県としては25億円という資金調達の件は公文書を交
わしたわけでもなく努力目標と言われても仕方ないが、県と市との永い
信頼関係の中でそれ相応の頑張りを見せていただかないと困りますよと
いう事です。
努力目標という主観的であいまいな言葉のやり取りの中に今回のような
意思の齟齬を来す原因があったと考えます。もし努力目標といえども25
億円もの資金協力を私が誰かとお約束したとするならば、その大よその
資金手当の目途や当てでもない限り安心して眠ることもできず、食べ物
がのどを通らず、胃はきりきりと痛むことでしょう。一方県としては当然本
プロジェクトの重要性を認識しての誘致要望と捉え、成功するために一生
懸命してもらっていると期待するでしょうし、25億円の資金に穴が開けば
大変な迷惑になるからよもやそうした事態には陥らせないだろうと思って
いますでしょう。
トップが努力目標だとの認識を庁内に示したら、そして集まらなかっ買った
時の悲壮感緊張感がない中での庁内伝達であればそれ相応の対応しか
しない、対応しか出来ないのは当然の事であります。
橋本市長が副知事から予めの打診をうけた1月8日そして知事に要望に
言った2月15日までには1月以上も時間があります。25億円の金策等の
感触ぐらいは確かめるべきであり、その後の庁内方針決定とすべきであり
ました。副知事が橋本市長に打診したことと同様に橋本市長においても心
当たり先の感触ぐらい確かめてみるべきでありました。それは資金の問題
だけではありません。それはこの場でこれ以上申し上げませんが、その手
抜き責任感の無さが本条例案をよく精査もせずに提案せざるを得なくなっ
た原因だと私は考えます。
以上、多くの点から問題のある今回の条例案には賛同できない事を強く申
しあげまして私の反対討論とさせていただきます。


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