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Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

野生への回帰

2014-12-24 | 

 

土曜日は退院後三度目の診察日だった。

術後4カ月が経過する。

さぁ、やっと待ちに待った完治宣言をもらえるかな?

もう心準備も身体づくりも出来ている。

雪山からの、わくわくする便りに、心此処に在らずの日々。

ところが…

「まだ、くっついていません」

レントゲン画像を拡大して主治医は説明する。

「隙間に薄い膜が広がっています」

「でも、これは膠(にかわ)が広がっている状態で、

骨が完全にくっつくと隙間が白く塞がります」

あまりの落胆に言葉もない。

4カ月も、ずっと我慢して来たのに。

(秋に少しハメを外したけど)

骨をつくるためにカルシウムだって、

毎朝の牛乳にイワシやアジだってビタミンCと一緒に摂ってきた。

う~ん、我慢も限界だ。

 

 

日本列島が風雪で大荒れになった翌日、皿ヶ嶺へ出かけた。

これが初めてではない。

最初の大雪の後も実は出かけている。

「大人しく我慢していた」というのは、ちょっと正しくない(汗)

自転車で近場のヒルクライムもやっているので重ねて正しくない(汗、汗)

まぁ、私としては冬山装備の重い荷物を担いで石鎚や瓶ヶ森へ入山する、

という15年間繰り返してきた年中行事を我慢しています。

そう言いたかったのです…

う~ん、自業自得か?

 

 

また出発が遅れた。

例年だと雪山入山に向けて気持ちと身体を整えてゆく。

それが今年は出来ないので、どうも体調管理と意気が上がらない。

風邪も頻繁にひく。

寝坊した朝、やっと身体を覚醒させ出発したのは正午過ぎ。

自転車で走る川沿いの道は、正面に真っ白に雪化粧した石鎚連峰。

橋を渡って、今度は正面に皿ヶ嶺。

どうも霧氷は正午過ぎでは落ちてしまった様子。

でも麓の上林まで昨日の雪で白い。

林道入り口まで自転車。

後は登山道を登る。

冬季は林道が凍結しているので、林道入り口の駐車スペースには車がずらり並ぶ。

今日は林道の上の方で事故があったようだ。

警察車両が何台も上ってゆく。

下山してくる人に事情を訊くが、どうも情報が錯綜している?

トンネルを越えると久万署の管轄だから、

水の元から上林トンネルまでの間の事故だった様子。

水の元で、久しぶりにNさんと再会。

正月三ヶ日には石鎚へ入られるとか。

夏の自転車旅で骨折した事情を話す。

お元気そうで嬉しい。

 

さくさく雪の感触を確かめながら冬の森を歩く。

もう三時を廻っている。

西の山影に傾いた夕陽と競うように足を速める。

竜神平分岐から尾根道へ。

ブナ尾根が夕陽を浴びて緋色に燃え上がる。

これで霧氷に覆われていれば、

と詮無いことを。

森の小径を周回して竜神平の雪原へ。

誰もいない雪原に夕陽が落ちる。

日没と共に急速に気温が下がってくる。

駆け足で雪道を下る。

 

杉林に入ると、光は樹間の残照と雪の白さだけ。

どんどん闇が深くなってゆく。

足元の雪が解け、登山道は黒い影。

そして周囲の雪の白。

益々、樹間の光が力を失い圧倒的な闇に消え入りそうだ。

拾った杖で足元を探る。

真っ黒な影では落差が分からない。

何度か浮石に足を取られバランスを崩す。

登山靴越しの足が、めいっぱいセンサーを働かせ、

地面の状態を感知している。

真っ暗な闇の中で、身体全体が野生の本能を蘇らせている。

視覚も聴覚も触覚も…

感度をどんどん上げてゆく。

それも、ついにお手上げ。

漆黒の闇だ。

360度まったく見えない。

黒ベタに塗り潰された闇の底。

諦めてヘッドランプをつけた。

野生の時間は終わった(笑)

 

加齢と共に暗がりでの視界が衰えてゆくのを痛感していた。

雪山遭難の経験から0.04だった視力を0.7まで視力回復させた。

鳥目だって治せるのじゃないかと試してみた。

これから益々、厳しい時代を迎えることだろう。

生き延びてゆくために、人本来の野生の力を取り戻さなければ。

 


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
えっ! (鬼城)
2014-12-25 08:31:15
まだくっついていない、4ヶ月も経ったのに・・・
相当なダメージだったのでしょうね。
医者でないので分かりませんが、もう少しですね。
皿が峰も厳冬期、間近に鳴なるといろんな表情を見せてくれます。
夕闇、さすが光の取り込み方がすばらしいです。
また、最後の雪だるまの表情が何ともいえません。
無理をされないように・・・
返信する
気分転換 (ランスケ)
2014-12-25 11:04:25
骨折の完治は三カ月くらいと見当をつけていました。
改めてネットで検索すると、
骨折箇所や年齢によって様々ですね。

鎖骨骨折の場合は、高齢者でも平均五カ月くらいで完治するようです。
リハビリの作業療法士さんは、骨が細かく砕けているので普通よりも時間がかかるだろうと。
主治医も30kgの荷物を担いでの雪山登山にはOKを出してくれません。
日帰りの軽量登山で今年は諦めるしかなさそうです。

大人しく家に籠って本ばかり読んでいると、
気分が滅入ってくるので、こうやって息抜きもしないと。
週一くらいで自転車と山登りの気晴らしを心掛けます。

鬼城さん、いつも心遣いありがとうございます。
返信する
同じく (misa)
2014-12-25 12:21:18
同類哀れむと申しますか、お互い自業自得とは言え辛いですよね、お察しします
我慢も限界~よーっくわかります
misaも近場散策数回、樹氷の瓶にも早朝出かけたし、室戸も京都も悔いなく楽しめたし
そして我慢限界で先日ダルマ朝日に走ったし・・・・

後悔だけはしたくないとギリギリのラインで動いてます
同じく先月の時点で「まだ完全に治りきってない」と言われた時はえっ?でしたよ
2月の骨折が原因ならもう10ヶ月になります
それだけ年を取ってると言うことでしょう

正に端境期の色・・・・素敵です
この雪だるま、何処かの画像で見たような?
気のせいかな?
Homegrandへ行きたくなりましたよ
返信する
可愛いサプライズ (ランスケ)
2014-12-26 00:02:21
misaさん、どうも。

まぁ、身体が万全ならばリスクを負ってでも厳冬期の山岳風景のために
躊躇わず行動できると思っています。
でも、この状態で厳冬期の山へ入るのは、進んで命を捨てにゆくようなもの。
今年は自重しておきます。

冬の間に身体が鈍らないようにトレーニングだけは続けます。
一度、炬燵ネコと化すと、そこから抜け出すのは大変ですからね(笑)


今回掲載した画像は、前回の皿ヶ嶺と自転車ヒルクライムの3回分を載せています。
最後の雪ダルマは、12月初旬の大雪の後です。
誰か皿ヶ嶺へ行った人が、すでに何処かで発表しているかも?
今回も同じ場所(登山道脇のベンチ)に雪ダルマがありました。
同じ人が作ったものなのでしょうか?
今度は三本指の両手(枝で)をつけた顔なしのダルマさん。
結構いいセンスですね(笑)
こういう可愛いサプライズは、心が和みます。
返信する
2014 You tube best of web7 (ランスケ)
2014-12-26 14:20:08
さぁ、今年も残すところ、後わずか。
今年も色々楽しませてくれた You tube でした。

恒例のBest of web7 を貼っておきます。
あの動画、この動画、目を見張る命知らずたち(笑)
全画面の迫力でどうぞ。

https://www.youtube.com/watch?v=axgDgH6f7Pw
返信する

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