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【247】〈別冊推理〉や〈季刊実話〉や〈放浪ルポ〉

〈別冊推理〉には既出の短編小説の寄せ集めというハンディがあったうえ、落丁本だったのか物忘れがひどく、誤字脱字どころか肝心な犯人すら特定できなかったため、事件の被害者と同じようにバラバラにされ、列車が通るたびに放り込まれていったのだが、取材のために各地をめぐっていた〈季刊実話〉が膝下を発見してからは、列車に乗るごとにパーツを集めていったのでほぼ人型【217】に復元された(頭部は見つからなかった)。〈別冊推理〉を交えて経緯を語るつもりでいた〈季刊実話〉だったが、持ち主に顔を忘れられて家に入れてもらえず、路上生活をするはめになった。事実上の廃刊である。そんな彼らに助言したのが〈放浪ルポ〉である。彼は数家族から共同購入されている読者参加型の人気雑誌なので、どこに放浪していても、持ち主たちは居所を探り当てて話を聞きに来てくれるのだ。存在論的に路上生活を強いられている彼と生活することで、二人がどれだけ救われていたのかは〈放浪ルポ〉に詳しい。

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【241】物心ついた頃
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