映画『ガール・スパークス』

2012年01月15日 | 映画の感想

 

監督 石井裕也
井川あゆこ、猪股俊明、中村無何有、桂都んぼ、二宮瑠美

空に意味不明のロケットが飛び交う不穏な世界に「世界ちょーむかつく」と言い放つ女子高生。彼女の周りには、娘を想うあまり謎の行動にでる父親、彼女に近付きたいのに空回りばかりを繰り返す同級生の男子など、一癖も二癖もある人間ばかり。どこにぶつけていいのか分からない怒りに彼女は走る、叫ぶ。理不尽で青臭くて反骨的な女子高生の暴走と迷走。

★★★☆☆

ロケットに象徴される意味不明な外の社会が、実生活と繋がるという演出に震えた。父親に、学校に、世の中に、男という存在に、友だちにも自分自身にさえも、むかついて仕方がない女子高生の、とらえどころのない感情の暴発を描いた映画。冴子が台詞を噛もうがおかまいなしって勢いが逆に新鮮。娘との関係を模索し続ける父親の「ごめんなさい」の切なさ。冴子に思いをよせる男子の、わかってなくても「わかるよ」の空虚さ。台詞の裏っ側に思いをこめることが実に巧いと思う。爽やかに描こうとすればするほど気恥ずかしい青春ドラマの対極にあるような、不思議な魅力に満ちた映画だ。ただ、男性教師と女性教師の図書館でのシーンは教師の本音と建前を露骨に描きたかったんだろうけど、滑稽すぎ。十分他のシーンで伝わってくる。最初の受精の授業シーンもあまりにもな内容。犬のフンもちょっと。この映画に関しては、ついおふざけをやりすぎているキライがある。ネジ工場の部品のカットもやたら多くて、編集が粗いと感じた。

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