映画『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』

2012年10月31日 | 映画の感想



監督: バリー・レヴィンソン
ダスティン・ホフマン
ロバート・デ・ニーロ
アン・ヘッシュ
ウディ・ハレルソン
デニス・リアリー
ウィリー・ネルソン
キルステン・ダンスト
ウィリアム・H・メイシー
スザンヌ・クライヤー
ハーランド・ウィリアムズ
スージー・プラクソン

 デ・ニーロとD・ホフマンの二大名優が競演したシニカル・コメディ。現役合衆国大統領が執務室で少女と淫行に及ぶという衝撃的事件が発生。通称もみ消し屋ことブリーンが、大衆の目を事件からそらすように依頼される。ブリーンはハリウッドのプロデューサー、モッツを利用し、架空の戦争をでっちあげる。爆撃作戦を実行したように思わせ、反戦ソングを一晩で作り上げる。すべてはうまくいったように見えたのだが……。

★★★☆☆
ここ数年、ご近所のゲオでもっぱらレンタルしていたけれど、TSUTAYAだけ!っていう『キックアス』を見んがために、少し離れたTSUTAYAまでチャリンコをこいで出掛けてビックリ、発掘良品なんてコーナーがあって、ボクにとって幻の名作がズラリ。そんなわけで先週から映画三昧に拍車がかかっている。これもその中の一本。

ロバート・デ・ニーロとダスティン・ホフマンの掛け合いが楽しい政治ブラックコメディ映画。あんまり二人のおしゃべりが多いもんだから、なんだか舞台劇でも見ている感じ。そう言えば、『アナライズ・ミー』&『アナライズ・ユー』もそうだったな。あの主演ふたりの掛け合いをデ・ニーロとダスティン・ホフマンで演っている。で、中身は精神分析医とマフィアの首領ってワケじゃなくて、大統領側近のモミ消し屋デ・ニーロと、映画プロデューサーのダスティン・ホフマンが協力して大統領再選を果たすために、スキャンダルから大衆の目を逸らすためにメディアをいかにコントロールしていくかが描かれた映画。
実際、クリントン大統領の性的なスキャンダルが話題になったことがあったけど、あのときはイラクの問題に目を逸らせるような動きがあった。しかも、スキャンダル自体、アメリカにイラクに介入させるためにイスラエルが仕組んだのではないか?なんて謀略説すらあったりする。日本でも世間が大騒ぎするような事件が起きている最中に、イチャモンつけられそうな法案を通しているみたいな話を聞かないでもないし。
そのへんのメディア操作をこれでもかと描いたのが本作。大統領が執務室で見学に来た少女に淫行って、もうこの時点で大統領選どころの話じゃないというか資格もない気がする。スキャンダルをモミ消すために、戦争をでっちあげたり太平洋戦争の英雄を仕立てたりと大衆を欺こうとする。戦地アルバニアを逃げまどういたいけな娘を合成で作るあたりや、平和を願う歌を「ウィアーザワールド」並みの歌に作るあたり、英雄のはずがブチ切れた強姦魔ってあたりが最高に面白い。しかも、その少女役が若き日のキルスティン・ダンストだったり、歌を作るのがウィリー・ネルソンだったり、強姦野郎役のウディ・ハレルソンなど、なんかもうゲスト出演的なノリで楽しんで演じている。
うん、そうだ。『アナライズ・ミー』とかと一緒。みんな、楽しんでいる現場の空気がそのまま映画から伝わってくるようなタイプのブラックコメディー映画だ。
映画の冒頭に丁寧に説明されているけれど、犬が尻尾を振るかわりに、尻尾が犬を振るってのが、ワグ・ザ・ドッグという題名の意味。つまり本末転倒なわけ。さて、犬と犬の尻尾の関係はいったい何だろう?大統領と側近の関係か?マスコミと大衆との関係か?いやもしかしたらこの映画と観客の関係だったりして。


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