映画『誰も守ってくれない』

2011年12月23日 | 映画の感想

 


監督 君塚良一
出演 佐藤浩市 (勝浦卓美)
    志田未来 (船村沙織)
    松田龍平 (三島省吾)
    石田ゆり子 (本庄久美子)
    佐々木蔵之介 (梅本孝治)

 幼い姉妹の殺害事件で未成年の容疑者が逮捕される。その瞬間から容疑者の家族は、マスコミや世間の目を避けるため警察の保護下に置かれ、中学生の妹・船村沙織の担当は刑事の勝浦に任される。ホテルや自宅アパート、友人のマンションを転々とするが、マスコミの執拗な追跡に行き場を無くした勝浦は、かつて担当した事件の被害者家族が営む伊豆のペンションに身を寄せる。そこへ沙織のボーイフレンドが駆けつける。

★★★★☆

被害者の家族にここまで焦点を合わせた映画は見たことがなかった。問題提起のある映画だ。加害者の妹役、志田未来の目がいい。この娘がけっこう身勝手な被害者意識なのもリアルだと思った。だからこそ、最後のぐしゃぐしゃの忘れ物を手渡すシーンが素敵だ。単身、志田未来を守る佐藤浩市も渋い。加害者の家族、被害者の家族、警察の上層部や末端部、テレビや新聞などのマスコミ、ネットの住人、それぞれが身勝手な自分の論理で動いている様が描かれている。身勝手であることを自覚しても感情的にどうしても許せない、次の一歩を踏み出す重さがひしひしと伝わってくる映画だった。ただし、被害者妹をたったひとりの刑事が担当して私的な場所を連れ回し、報道されて支障が生じても担当し続けるのは、ありえないかなぁ。柳葉ペンションに避難するのは、被害者加害者の心情を浮き彫りにしたり、佐藤浩市のトラウマ的な部分を掘り下げたりするうえでドラマとして必要なのはわかる。でもあの状況では、なんの面識もない宿泊場所を転々とするが普通かなぁ。

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿