Tomotubby’s Travel Blog

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川村記念美術館で「マティスの子供たち」を見る体験

2008-05-06 | Henri Matisse 特集
久々のマティス展。DIC創業100周年記念展「マティスとボナール ―地中海の光の中へ―」を観に佐倉の川村記念美術館まで出かけました。「大日本インキ化学工業株式会社」が創業百周年を記念してか、「ディーアイシー株式会社」に社名変更していたことは全く知らなかったです。昔から「ディック」と呼ばれていたんだから「ディック株式会社」でも良かったんじゃないか。と思いますが。「ディック」では、やはり外人受けが悪かったからでしょう。(゜ー゜;)

今回、観客動員が見込めるマティスにボナールを抱き合わせざるを得なかったのは、やはり海外からの作品借用数に限りがあったためでしょう。予想通り、日本国内にあるマティスとボナールが総動員された展覧会になっていました。そうなるとマティスは、自動的に、自分にとって魅力に乏しいニース時代と晩年の作品に偏ってしまいます。副題「地中海の光の中へ」をつけてなんとか体裁を整えた感があります。収穫といえば「モン・タルバンの風景」(1918)、「黄色い帽子」(1929)あたり。ちょうどニース時代の最初と最後に当たる、ニース時代らしからぬ作品でした。

それで、この展覧会を楽しめなかったかというと、さにあらず。

「マティスとボナール」展に至るまでに展示されている常設の川村コレクションが何より素晴らしいのです。以前からこの美術館の目玉だった、抽象表現主義彩色派のマーク・ロスコ「シーグラム壁画」、バーネット・ニューマン「アンナの光」には、それぞれの作品に合わせて常設展示場が新設されていました。ロスコには静謐で落ち着いた部屋、ニューマンには窓から光の差し込む明るい部屋が。

二大巨匠の部屋の後には、彼らを継ぐ世代、モーリス・ルイスとフランク・ステラの巨大な作品が待っています。特にステラは、初期のミニマルアートのようなブラック・ペインティングに始まり、異形カンバスに色彩の溢れる分度器シリーズ、さらにレリーフ作品を経て、90年代の完全な立体作品に至るまで、時代ごとに大きく作風の変わる作品を大きな空間で一覧できる秀逸な展示でした。彼は最近建築をも意識した巨大な黒い作品を作りあげており、それらは最初期の作品ともテイストが似てきていると指摘を受けていますが、この部屋においても、時代を追って円環のように展示された作品を見ていくと、同様の傾向を感じ取れました。

アメリカ抽象表現主義以降の現代絵画を見た後で、彼ら彩色絵画の祖とも言えるマティスの作品を観るのは、とても新鮮な体験でした。「マティスとボナール」展はこの後、神奈川近代美術館へ巡回するそうですが、これから観に行こうという方には、5/25日までに川村記念美術館のコレクションとともに観られることをオススメします。


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