或る日、少年は怖い夢を見て目を覚ました。夢の中で、それと見て正体の分かる、悪魔に声をかけられたのだった。悪魔は医者のような白衣を着ていて、にやにやしながら、おまえの願いどおりに厳つい鼻を小さくしてやろうと誘った。もちろん代価なしにではないぞ。魂とまでは言わないが、おまえの寿命1年を貰うと。
少年は翌日の夢で悪魔に再会した。彼は迷うことなく悪魔と契約する。悪魔は「よかろう。後悔するなよ」と言って、白衣のポケットから出したメスで、少年の首のまわりの浅黒い皮膚に切れ目を入れた。すると不思議なことに血は一滴も流れず、少年の首は胴体から抜けた。首はその意思に逆らって、両方の耳を翼のようにして空中を浮遊し始める。
白衣の悪魔は浮遊する少年の首を抱えて別室に運んだ。少年はだんだん意識が遠のき、終いには頭の中が真っ白になった。かちゃかちゃと、どこかで施術に使うメスや鋏の音が聞こえたような気がしたが、次に気づいたときはベッドの中にいた。恐る恐る首の切れ目を触ってみるが、異常はなかった。次に鼻に触れてみた。指先だけでも違いがあるのが分かった。獅子鼻が幾分小さくなっているのだった。
少年は翌日の夢で悪魔に再会した。彼は迷うことなく悪魔と契約する。悪魔は「よかろう。後悔するなよ」と言って、白衣のポケットから出したメスで、少年の首のまわりの浅黒い皮膚に切れ目を入れた。すると不思議なことに血は一滴も流れず、少年の首は胴体から抜けた。首はその意思に逆らって、両方の耳を翼のようにして空中を浮遊し始める。
白衣の悪魔は浮遊する少年の首を抱えて別室に運んだ。少年はだんだん意識が遠のき、終いには頭の中が真っ白になった。かちゃかちゃと、どこかで施術に使うメスや鋏の音が聞こえたような気がしたが、次に気づいたときはベッドの中にいた。恐る恐る首の切れ目を触ってみるが、異常はなかった。次に鼻に触れてみた。指先だけでも違いがあるのが分かった。獅子鼻が幾分小さくなっているのだった。