萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚40

2014-03-23 19:33:20 | 雑談寓話
こんばんわ、
今日の富士山は真白が綺麗でした、写真は紅梅@昨日の城山公園ですけどね、笑
出掛けたんで遅くなりましたが、コノ雑談もバナー押して下さる方いらっしゃるので続き載せます。



雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚40

同僚御曹司クン告白@金曜日から三日後月曜日@年末繁忙、
いつも通りフツーに御曹司クンと昼一緒したんだけど呑みに誘われ→月曜からフザケンナ笑って断って、
だけど帰り一緒になった田中さん=花サンとコーヒー飲んで話してさ、で、帰りの電車でメール受信した。

From:御曹司クン
本文:俺の呑み断って田中さんとスタバ寄るなんて、やっぱ俺のこと嫌い?(絵文字泣顔)

ナンカ乙女系だなコイツ?笑

とか思った、客観的判断力<主観なアタリ冷静になれよと。
週初め月曜+コッチの精神的余力を考えたら解かりそうなモンなのさ?笑
そういうの解らないアタリが信頼度と気楽度が違うんだよね、だからソレのまま返信してみた、

T o:御曹司クン
本文:呑みとコーヒーは所用余力が違う、おまえと田中さんは癒し度が違う、月曜からメンドクサイこと訊くな、笑

なんてカンジのを送信してさ、
扉口で文庫本を開いたらまた受信した、

From:御曹司クン
本文:コーヒーだったらOKくれた?

この質問ちょっと考えこまされた、
月曜に呑みとか無理、だけどコーヒー寛ぎ時間は疲れてるからこそむしろ有り。
それでも相手誰でも良い訳じゃない、なにより金曜日の件がナントナクの気疲れなことも本音だった。

ホント同僚@職場かつ友達なのって難しいな?

って改めて思った、職場が同じだと視界に入る→言動が見えているワケで、
近すぎる距離が見ないでイイコトまで見せるから今回みたいな質問が来る破目になる。
個人携帯の番号+アドレスも知っているだけに、御曹司クンみたいな直情タイプは即質問しやすい、

あーこういうの疲れるかも?

そんな感想ごとメール文を見てさ、
こういう感想を持っちゃう自分だよって率直に綴った、

From:御曹司クン
本文:OKされたいならコッチの思考パターン考えろ、
    とりあえずヒントするなら束縛されるの自分は無理、笑

ほんと束縛されるの苦手なんだよね、アレコレ行動チェックされるとマジ冷める。
それは友達でも恋人でも誰が相手でも同じでさ、そういう自分だよって今までも言ってるんだよね。
ソノヘン気づかず解からずで「大好き」って言われても自分の何見てるんだ妄想恋愛かよ笑ってなる、

そういう本音のまんま送信してさ、
あとは文庫本のページにハマりこんでるうちに最寄駅へと着いた。
で、歩いて帰宅して風呂のんびり入って、晩酌モードになったとこで携帯電話の受信ランプに気づいて開いた。

From:御曹司クン
本文:おまえの自由なトコ好きだよ(顔文字笑顔)
    お願い、今週ドッカで夜一緒してよ?友達のままでも良いから話したい、

花畑×真剣ってカンジのメールだな思ったよ、笑
この返事どうしよっかな考えてさ、で、正直なまんま返信した。

T o:御曹司クン
本文:今週マジ忙しいから確約は無理だけどコーヒーならイイよ、そのとき次第だけどね?笑

そのとき次第っていうのが本音だった、笑

ホントのトコちょっと考えこんでる自分がいるんだよね、
友達だからこそイイカゲンに出来ない、そして多分きっと告白にYesなんて自分は言えない。
そういう擦違いが自分には解っていて、そういう擦違いの差は一緒にいるごと大きくなるだろなって思った。

いつか自分がYesと言ってくれる、そんな期待が御曹司クンはある。
自分が御曹司クンを好きになる瞬間が一緒の時間に生まれると思ってる、だから昼も夜も一緒にいたがって誘う。
それでもソンナ瞬間は来ないだろうって解かるから、だから「そのとき次第」っていうのが本音で、だから思ったよ、

自分がYesと言わないことを、いつまで御曹司クンは耐えられるんだろう?

第3回 過去記事で参加ブログトーナメント

とりあえずココで一旦切りますけどまだ続きます、
おもしろかったらコメントorバナー押すなど頂けたら嬉しいです、で、気が向いたら続篇載せます、笑

第74話「芒硝8」加筆これからします、倍くらいはするかなと。
そのあと短篇連載かナンカの予定です、小説ほか面白かったらバナーorコメントお願いします、笑

取り急ぎ、



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雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚39

2014-03-22 22:20:09 | 雑談寓話
こんばんわ、
天気良かったんで近場に出掛けて来ました。
で、遅くなりましたがコノ雑談もバナー押して下さる方いらっしゃるなら続き載せます、笑



雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚39

同僚御曹司クンの電話告白@金曜があって、
明けて月曜の昼ゴハン一緒したけれど今まで通りな会話だったんだけど、
昼の後はナントナク視線を感じることもあり、それでも忙しかったから集中したまま終業時刻は過ぎてさ、
年末らしく?フツーに残業して21時半ごろ退社して、そしたら帰り道は田中さん=花サンと一緒になった。

「トモさん、なんか微妙にオツカレ?」

なんて訊いてくれてさ、
彼女こういうトコ気づくなあ思いながら笑った、

「解かる?笑」
「うん、ナンカ困ってるって言うか哀しそうっていうか?」

歩きながら言ってくれること図星だなあ想った、
で、時計見ながら提案してみた、

「スタバしてく余力ある?笑」

なんとなく家に真直ぐ帰りたくなかったんだよね、
仕事忙しかったから疲れてるし早く寝たいなって気持ちもあるんだけどさ、
でもナントナク独りになりたくないなって感じして、そしたら花サン笑ってくれた。

「余力あるよー甘いの飲みたかったし、いこ?笑」

で、駅への途中の道いつものスタバでいつもの席に座った。
いつものコーヒー頼んでさ、だけど珍しくメープルシロップだかナンだか入れたら彼女に笑われた、

「トモさんがブラックじゃないって珍しいよね、そんなにオツカレってナンカあった?笑」

ほら鋭い、笑
こういうとこ自分としては楽なんだよね、って思いながら笑った、

「脳ミソが疲れてるかもね、甘いの欲しくなってるし、笑」
「あー、そういうのあるね?笑」

軽く頷いてくれながら甘そうなキャラメルなんたらいうヤツ飲んで、
あー甘いとか言いながら花サンは笑った、

「もしかして、このあいだのメールの人から告白されたとか?笑」

コーヒー噴くかと思った、笑

ほんと図星だなあって可笑しくてコーヒー噴きかけて、
だけど普通に飲みこんでから笑った、

「前のメールってドレ?笑」
「このあいだグランドのカフェで来たメールあったでしょ、何してるの?って、笑」

即答された図星がまた可笑しかった、
だけど相手が誰とか解らないだろなー思いながら半分降参してみた、

「電話でだけどね、笑」
「やっぱりね、だから言ったのに?笑」

可笑しそうに笑って、けれど「誰?」とかは訊かないでくれた。
無駄な詮索とかはしない、そういうトコ気楽でいい相手だなって思いながら訊いてみた。

「なんで告白されたって思った?」
「うーん、オツカレの空気感かなあ?」

考えながら答えてくれる目がコッチ見てさ、
で、言ってくれた、

「なんとなく困ってるみたいな貌だからかな。でも告白されて困るってことはトモさん、YESじゃないけど相手のコト嫌いじゃないんでしょ?」

ホントよく見てるんだよね、笑
こういう賢さが彼女の良いところで彼女自身が持て余すところでもあるんだけどさ、
ナンテ考えながらも自分にとっては気楽でいいなあ思いながら笑った、

「アタリ、よく解かるね?笑」
「だってドウでも良い相手ならトモさん、適当に笑っておくでしょ?」

なんて笑って言ってくれてさ、その通りだなって思った。
だからこそ自分が今「困ったなー」思ってるアタリ御曹司クンのことイイカゲンじゃないワケで、
それでもお互いの感情は違う方向を見ちゃってる、そういうギャップと差異に「困ったなー」思ってたら彼女が笑った。

「でもトモさんが告白されたとか聴いたら御曹司サン、拗ねそう、笑」

またコーヒー噴きそうになった、笑
コンナコト言われるのが可笑しくてさ、なんでだろって思って訊いてみた。

「なんで御曹司クンが拗ねるワケ?笑」
「だって好きでしょ?笑」

さらっと言ってくれるトーンは当たり前のコトってカンジだった、
でも御曹司クン本人の「好き」と花サンが言ってる意味は違う、その通り彼女は笑った。

「お昼になると御曹司サンよくトモさんの方を見てるよ、誘いに行きたいなって感じでね?仲良くしたいんだろなって、笑」

そうだったんだ?笑
なんて感心しながら、で、気づいたことを訊いてみた。

「花サン、御曹司クンのことよく観察してるね?笑」
「席からちょうど見えるからねー笑」

なんでも無い貌で笑ってカップ口付けて、
甘いよコレって笑いながら花サン、窓の向こう見て笑った、

「あははっ、噂をすればになったよ?アレって御曹司サンじゃないかな、」

言われて見たガラスの向こう、知ってるスーツ姿が歩いてた。
夜の道、表情とか解らなかったけれどコレはミスったかなあ思ったよ、

今晩って呑むの無理?

って昼のとき御曹司クン誘ってくれたけどさ、
繁忙期の月曜に何言ってんだよって断ったんだよね、それなのに花サンとスタバ寄ってるワケで。

こんなとこ見たらホント拗ねまくるんだろな?

なんて想いながらコーヒー飲んで、花サンと他愛ない話してさ。
その夜はコーヒーだけで解散した帰りの電車、案の定メールはやって来た、笑


とりあえずココで一旦切りますけどまだ続きます、
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第74話「芒硝7」加筆まで終わりました、ちょっと読み直し校正します。
そのあと短篇連載かナンカの予定です、小説ほか面白かったらバナーorコメントお願いします、笑

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第74話 芒硝act.7―another,side story「陽はまた昇る」

2014-03-22 11:01:02 | 陽はまた昇るanother,side story
To me alone there came a thought of grief 愛惜の孤愁



第74話 芒硝act.7―another,side story「陽はまた昇る」

こととっ、

ゆるやかな音から湯を注いで、くゆらす芳香に鎮まらす。
フィルターゆっくり甘く苦く薫り立つ、この音に香に懐かしい。
こんなふう誰かにコーヒー淹れることも久しぶりで、ただ懐かしい時間に周太は微笑んだ。

―誰かにコーヒーを淹れられるって良いな、マグカップふたつ並べて、

入隊テストから独り暮らしになって、もう2ヶ月近くなる。
その前まで何処の単身寮も共同スペース付設で食堂や談話室に行けば誰かがいた。
けれど今は同じ寮でもワンルームマンションで誰もいない。そして誰か招くことも守秘義務から難しくて、孤独になる。

自宅、でも自分以外の誰も来られない部屋。
それが本当は寂しかったのだとマグカップの数に気づかされてしまう。
こんな自分は甘ったれかもしれない、それでも「寂しい」と認められる分だけ強くなったろう。

―前の僕なら寂しいって認める事すら怖かったんだ、今まで全部を壊しちゃいそうで…英二に逢うまでは、

大切な俤ひとつ、ほろ苦く甘い湯気に見つめて認められる。
あのひとに出逢って誰かの隣が嬉しいと気づいた、その想いがただ大切だった。
大切だから、だから独りは寂しいのだと素直に認められて、寂しさの分だけ想いは深い。

そうして今も穏やかに願える、あのひとにコーヒー淹れる時間を再び叶えたい。

「…ん、いいかな、」

微笑んでフィルター外しマグカップ2つ盆に載せる。
携えて踵返した視界、窓ふる木洩陽のデスクから白衣姿ふり向いた。

「佳い香だな、ありがとう湯原くん、」

笑って長身は立ち上がりソファに座ってくれる。
その前にカップ2つ据えながら周太は微笑んだ。

「すこし熱めに淹れてあります、気をつけて下さいね、」
「お、熱めが好きって憶えていてくれたな?ありがとう、」

精悍な瞳ほころばせマグカップ口付けてくれる。
向かい自分も腰下した湯気の向こう深い声が尋ねた。

「環のこと、似てるけど年齢差が変だと思ったんだろう?」

もう核心を言葉にされて鼓動そっと呑みこまされる。
こんなふう率直な問いかけは受けとめた方が良い、そう肚決めて頷いた。

「はい、雅人先生と環くんは目の感じが似ています、でも中学生なら弟さんにしてはって思いました、」
「そうだろうな、でも弟なんだ、」

深い声が答え笑ってくれる。
その回答ごとマグカップ抱えこんだ前、真摯が真直ぐ周太を見つめた。

「湯原くんは光ちゃんと雅樹のこと、どのくらい聴いてるかい?」

なぜ光一と雅樹のことを訊くのだろう?
この意外な質問に考えこまされて、それでも聴いたまま答えた。

「誰より大切な人って聴いています、ずっと一緒にいて…今も一緒にいるんだと思います、」

ずっと雅樹さんは俺の傍にいる、

ガキの頃と同じに俺を抱きしめて、いつも一緒に泣いて笑ってくれてる。
ずっとアンザイレンしてずっと恋して愛してる、キスも何もかも全部お互いが初めての相手同士で独り占めしあってる。
そんなの一生変えられっこない、体が消えたって心まで消せないね、姿が見えなくても触れなくっても変んない、ずっと両想いで大好きだ、

そんなふうに夏、光一は話してくれた。
アイガー北壁を超えた夜その身を英二に委ね愛されて、それが雅樹への想い確かめさせたのだと教えてくれた。
あのとき微笑んでくれた涙を忘れられない、そして気づかされた自分の犯した過ちを呼吸ひとつ、言葉に変えた。

「雅人先生、僕は光一を傷つけました、光一の雅樹さんへの気持ちを僕が傷つけたんです…ごめんなさい、先生、」

ごめんなさい、

そう告げるまま瞳の熱こぼれだす。
あふれてしまう、ずっと謝りたかった想い零れて頬から墜ちてゆく。
こんなふう泣いてしまうことは卑怯だ、そう想いながら止まらない涙に周太は泣いた。

「ごめんなさい、先生の大事な弟さんを傷つけたんです、僕が自分勝手だからっ…僕は光一ごと雅樹さんを傷つけてしまったんです、」

雅樹は光一を愛していた、そして今も愛している。
それが今なら解かる、今こうして英二から離れている今だから尚更に傷む。
きっと人間はどんなに離れても、生と死ほど遠ざかっても裂かれない想いがある、だから自分の罪が赦せない。

「ごめんなさい、せんせいっ…ごめんさい、僕は、雅樹さんも光一も傷つけて…っ、それなのに診てもらってるなんてごめんなさい先生…っ」

ごめんなさい、そう幾度を言っても赦されない、それくらい解かっている。
あのとき自分は結局は英二のことしか考えていなかった、そんな自分勝手が光一も雅樹も傷つけた。
あの二人を雅人は大切に想っている、それが今された質問に解かって堰を切らせて、隠していた後悔あふれだす。

「雅人先生、僕は…先生に診てもらう資格はありません、先生の大事な人を傷つけた癖に甘えて…ごめんなさい、」

秋の初め、他に頼る人はいないと主治医を依頼した。
体に抱いた不安を縋りたくて転がりこんだ、あのとき自分の過ちを見返る余裕もなかった。
けれど今、光一とも英二とも離れて独りワンルームの部屋に見つめる記憶たちから噛みしめている。

夏、アイガーの夜の境界線で自分は光一ごと雅樹を傷つけて、そして英二まで苦しめてしまった。

―僕は自己満足したかっただけなんだ、光一を言い訳にして英二を諦めたかっただけ…こんなの卑怯だ、

『光一の気持ち俺には解るよ?だって俺も本当は、もう何度も考えてきたんだ。もし周太が消えたらって何度も泣いてる。
きっと俺も光一と同じなんだ、雅樹さんとも同じだと思う。きっと俺も周太が消えたら必死で探すよ、死んだなんて嫌だから信じない、』

ほら、夏のキャンパスの片隅で英二が泣いてしまう。
美しい切長の瞳あふれる涙が告げてくる、あの言葉たちに自分の欺瞞が痛む。
あんなふうに泣かせたかったんじゃない、それでも現実に大切な人は泣いて、そして光一まで巻きこんだ。

「先生、光一に言われたんです…どんなに他の人を好きになっても雅樹さんだけって、そんなに器用じゃないって…泣きながら光一、笑って、」

惚れてもダメなもんはダメだね。そんなに俺は器用じゃない、やっぱり雅樹さんだけだ、

そう告げて笑ってくれた笑顔は綺麗で、哀しかった。
英二との夜に光一は雅樹の死を超えたろう、それでも自分が犯した過ちは赦せない。
もっと他に選択肢はあったはず、そんな仮定に時経つごと赦せなくなった涙に長い指がふれた。

「湯原くん、ごめんな?」

ごめんな?

深い声の微笑んで白衣姿ゆっくり立ち上がる。
ふわり、ほろ苦く優しい香くゆらされて気配ひとつテーブル回りこむ。
座るソファの隣すっと沈んで、日焼あわい貌は穏やかに笑ってくれた。

「光ちゃんと雅樹のこと、君が何して傷つけたのか俺は解らんよ?でもな、君が本気で泣いてることは解かる、ふたりを大事に想ってるんだろ?」

笑ってくれる言葉を見つめながら頬の涙ぬぐう。
こんなふう泣いてしまう弱さ恥ずかしい、それでも告白できた本音に微笑んだ。

「はい、すごく大事です…雅樹さんとお会いしたことないけど、でも光一の話で会って好きになりました、だから…自分が赦せません、」

好きだからこそ自分を赦せない。
そんな本音に笑った涙ごし、涼やかに切長い瞳そっと笑った。

「それなら湯原くん、罪滅ぼしに秘密ひとつ預ってくれるかい?」




(to be continued)

【引用詩文:William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」】

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雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚38

2014-03-21 19:58:05 | 雑談寓話
こんばんわ、
春彼岸らしく昼間は青空が多かったです、が、今は寒めです。
予定より遅くなりましたがコノ雑談もバナー押して下さる方いらっしゃるので続き載せます、笑



雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚38

実家に帰った土曜日、夕方には自宅へ戻って家事ちょっとして。
風呂すませて、もらってきた野菜やら惣菜やらで晩酌のんびりしてさ。
録りだめてるドラマ流し見しながら本読んだり、パソコン開いてアレコレやって。

あー休日夜ってカンジだなー

なんて独り寛いでいたんだけど、
そしたらメール受信が鳴って案の定だけど御曹司クンだった、笑

From:御曹司クン
本文:今ごろドッカの圏外にいるんだよな、元気なら良いけどさ(顔文字笑顔)
    コッチは昼寝しまくってから友達つかまえて呑みに出た、オールになる予定。
    またオールで飲みとかって誘っていい?

友達と呑んでるのにメールなんかしてんのかよ?笑
とか思ったらちょっと面白かったから笑った、で、メールもう1通入ってた。

From:御曹司クン
本文:おはようメール送った後に昨夜のメール読んだ、あんなこと言うなバカ(顔文字怒顔)
    坊ちゃんクンの前科あるから信じてもらえないかもだけど、おまえは次元が違うんだよ?

次元が違うってドウいう意味だよ?笑
そんな疑問また笑って、だけど返信もちろんしなかった、
この土日で一度クールダウンして欲しいなって思ったんだよね、

一途すぎ=思いこんだら突っ走る直情バカ

そういう御曹司クンだから醒めることも一気かなっても思ったわけ。
朝起きて「好きだー」なったって言ってたから、また朝起きたら「あれ?好きでもないかも?」なるかなと、笑
そんな推定をしたのは坊ちゃんクンにフェードダウンしていく過程を見たからでさ、アレと同じ現象が起きるかな思った。

ま、土日ホッタラかされてるウチに他へ移転するかもね?

なんて楽観&両親の言ってた言葉もあるから、フツーに友達してくれるなら良いなと思ったよ。
そんなワケで翌日もメール着信→放置して、そのまんま月曜朝になってフツーに出勤した。
で、駅→職場の道で再会した、笑

「おはよおー金曜夜はどーも、笑」

なんて能天気な笑顔で御曹司クンは再登場してくれた、
ああこいつやっぱり花畑になってるよ笑 って思ったから言ってやった、笑

「おはよ、おまえ浮かれて仕事ミスったら終了だから、笑」

恋愛体質のヤツって恋愛一色ボンヤリ→心在らずでミス発生 ってトコあるからさ、
ソレやられたら自分の仕事にも支障くる困るなあ思って言ったんだけど、御曹司クンは焦った、笑

「え、なにそれ?なに終了とかってドウいう意味??え?」
「変な気まわし過ぎて集中力を欠くなってコト、仕事に支障とか馬鹿だろ?笑」
「えー…っと、それは俺だって頑張るけど終了とか言うなよ、な?困」
「仕事に響く馬鹿は要らん、去れ、笑」
「や、待ってよ頑張るってば、」

なんて会話しながらビルに着いてさ、エレベーター前で先輩や同僚たちと挨拶して。
ソレゾレ他の人に話しかけられてるうちに別行動になって、でも視線がたまに痛かった、笑

こんな見てくるんじゃこの先ちょっと困るよな?

なんて心配ちょっとしながら席着いて、いつも通りパンと缶コーヒーの朝ゴハンしながらパソコン開いた。
そのまんま仕事モードに入って忙しい時間は始まってさ、集中したまま定刻遅れて昼休憩の席を立った。
で、御曹司クンが笑顔でやって来た、笑

「昼飯だろ、行こ?笑」

ホント犬が散歩綱もってくるカンジの貌だった、笑
こいつホント直情バカだなあ想ってさ、呆れ65%+感心35%しながら外出たんだけど。
いつもの定食屋に入ってお互い好きなモン頼んで、人まばらな15時の昼ゴハンに御曹司クンは訊いてきた。

「あのさー今晩って呑むの無理?」

週初めからナニ言ってんだコイツ?って思ったよ、笑
で、まんま言ってやった、

「師走の週初めだけど?ソンナ提案するってオマエ既に酔っぱらってんじゃない?笑」
「やっぱダメだよなーごめん忘れて、凹笑」

笑いながらも凹んだ貌は、散歩終了もう帰るって言われたワンコみたいだった、笑



とりあえずココで一旦切りますけどまだ続きます、
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Aesculapius「Mouseion12」加筆まで終わりました、ちょっと読み直し校正します。
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第74話 芒硝act.6―another,side story「陽はまた昇る」

2014-03-20 19:30:00 | 陽はまた昇るanother,side story
As to the tabour’s sound 時の鼓動



第74話 芒硝act.6―another,side story「陽はまた昇る」

木洩陽に床のダークブラウン深い艶ゆれて、木目が浮かぶ。

窓の青空は赤い実と金色の葉を揺らす、かすかな風に枝交わす音が立つ。
揺れる梢の向こう陽は高い、そんな刻限に午後の予定を思案しかけて周太は呼ばれた。

「湯原くん、経過だが思ったよりは悪くないぞ?」

思ったよりは悪くない。
そんな言い回しに結果が解かるまま尋ねた。

「雅人先生、あの…夏よりは悪いってことですよね、」
「ああ、だが予想よりは良い、」

深い声さらり笑ってくれる。
その精悍な瞳大らかに微笑んで教えてくれた。

「9月の終わりに熱を出したけど、1週間ちゃんと静養したろう?あのとき診てくれた医者の処置と養生が良かったんだな、可能性はある、」

可能性はある、そう告げて浅黒い顔ほころばす。
穏かに闊達な笑顔は明るい、この明るさに希望を見つめ問いかけた。

「可能性って、僕の喘息は治るかもしれないってことですか?」
「そうだよ、正確には再発を防げる可能性ってことだが、でもな、」

答えてくれながら困ったよう精悍な瞳が微笑む。
その微笑が告げる事実に周太は覚悟ひとつ微笑んだ。

「静養すれば治るかもしれないってことですよね、警察官を辞めて、家に戻って、」

厳しい訓練、埃っぽい空気、そんな環境が気管支に負担を強いる。
それくらい解かるから納得するしかない、その想いに医師は告げてくれた。

「その通りだ、医者としては1日も早く退職して静養してほしい、」

言われて当然のこと、そう解かっている。
それでも今日も確信してしまった以上は辞められない。

『周太くん、湯原の人事ファイルなら削除されてるよ。少なくとも26年より前だ、』

青梅署山岳救助隊副隊長、後藤が教えてくれたことは事実だろう。
もし嘘を吐くなら「ちゃんと今もある」と説得する、そうして真相を隠すだろう。
けれど後藤は「削除されている」と言った、それは26年前から今も現在進行形だと示している。

―後藤さんもお父さんがSATに居たことを確信してる、僕が何のために警視庁の警察官になったのかも解かって…ね、

自分だけじゃない、後藤も父の所在と謎を考え続けている。
こんなふう父の「殉職」を探している者は他にもいるかもしれない、そう思うほど自分は辞められない。
だって唯一の息子である自分が父の真実も想いも探せなかったら、父の生きた軌跡は誰が継ぐのだろう?

「すみません雅人先生、まだ辞められません。あと1年、11ヶ月だけ僕に時間を下さい、」

願い見つめた真中で精悍な瞳が真直ぐ自分を映す。
シャープだけれど穏やかに深い、その眼差しが問いかけた。

「湯原くん、どうして期限を区切ろうって決めてくれたんだ?」
「約束したんです、夏に家族と、」

正直に答えて夏の俤たちが記憶を見つめる。
あと1年の約束をしたのは9月の終わり、だから11ヶ月もう切ってしまった。
それなのに父の証拠は見つからない、この焦り抱きしめたまま周太は微笑んだ。

「実家で倒れた時、約束しました。喘息のこと1年間は内緒にしてほしいって家族にお願いしたんです、だから今はあと11ヶ月です、」

警察官を一年以内に辞めること。それを私と約束してほしいの、出来るかしら?

そう願ってくれた深いアルトの声、涼やかな切長の瞳、あの笑顔を裏切れない。
あの瞳が泣いてくれた後悔を繰り返させない為にも約束は守る、そんな意志に雅人は笑ってくれた。

「家族に話せたなら良かったよ、でも診てくれた医者の口止めは大丈夫だったのか?」
「あ、…、」

問われて言葉呑みこんでしまう。
あのとき医者をどう手配したのか、その事情ありのままは言い難い。

―おばあさまと僕の血縁関係は言わない方が良いんだよね、だって英二が隠したがってる、

あのとき看病してくれたのは英二の祖母、顕子だった。
なぜ彼女が滞在してまで看てくれたのか?その真実を明かす事は英二の本意ではない。
なにより父も顕子との血縁関係を隠していた、それでも今話せる部分だけ周太は言葉にした。

「あの、英二のお祖母さまがホームドクターを呼んでくれたんです。信頼できる先生だから病気のことも秘密に出来るって言ってました、」

顕子がそう言ってくれたなら本当なのだろう。
この信頼に微笑んだ向かい医師も笑ってくれた。

「それなら大丈夫だな、俺の所に来られない時はその先生に掛かることも出来そう?」
「はい、必要ならお祖母さまが手配してくれるそうです、」

素直に告げた向こう精悍な瞳やわらかに笑ってくれる。
その穏やかで優しい眼差しが今日、初めて見た少年の空気と重なった。

―あ、目の感じが似てるんだ、雅人先生と…環くん、だよね?

さっき院長室で出会った少年は雅人を「兄」と呼んでいた。
けれど兄弟というには齢が離れすぎているようで思案また廻ってしまう。

―塾の模試の結果を持って来たんだよね、環くん…都立高校の受験について話してたな、中学3年生かな、

いま11月、高校受験を控えた塾通いは模擬試験も受けるだろう。
その相談を雅人にしているのを昼食を摂りながら聞えてしまった。

『いま塾から帰ってきたんだ、模試の結果が出たから真直ぐお兄さんのところへ来たんです、』

そんな言葉と雅人を見上げた少年は不思議と「似ている」と思わされた。
目鼻立ちの似たところは少ない、けれど眼差しと空気感が似ていて血縁を想わされる。
それでも雅人の両親、吉村雅也夫妻の年齢では中学3年生の実子がいることは考え難くて、そんな思案に闊達な声が笑った。

「おい湯原くん、そんなに俺の顔じっと見てどうした?」
「あ、」

笑いかけられて意識すっと戻される。
瞳ひとつ瞬いた向かい可笑しそうに見つめられて、恥ずかしくて周太は謝った。

「あの、すみません僕ぼんやりしてて…ぶしつけなことしてごめんなさい、」

見つめていたことも恥ずかしい、それ以上に詮索していたことが恥ずかしい。
ただ申し訳なくて恥ずかしいまま首すじ熱が昇りだす、そんな前から大らかな笑いが弾けた。

「あははっ、もしかして環のこと考えてたんだろう?」

ほら、図星しっかり刺されてしまう。
こんなこと恥ずかしくて紅潮また熱くなる、それでも正直に頷いた。

「はい…詮索してすみません、ごめんなさい、」
「あははっ、まあ詮索するのも仕方ないよ。誰でも不思議がるだろ、」

笑って肯定してくれながら白衣姿はカルテひとつファイルに綴じる。
かたん、抽斗に仕舞いこむと雅人は提案してくれた。

「そんなに悪いと思ってくれるならさ、もし時間大丈夫だったら茶を淹れてくれるかな?湯原くんの淹れたの旨いから、」

茶でも飲んで話そうか?
そんなトーン笑ってくれる眼差しは穏やかで温かい。
けれど深く、なにか決意ひとつ燈すような瞳に周太は左手首のクライマーウォッチを見た。

―予定の時間より遅くなるかもしれないね、でも、

でも、目の前の決意が語りたい声を受けとめたい。そんな想い周太は微笑んで頷いた。

「はい、淹れさせて貰います…日本茶とコーヒーと、それとも紅茶がいいですか?」




(to be continued)

【引用詩文:William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」】

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雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚37

2014-03-20 17:10:11 | 雑談寓話
こんばんわ、仕事オツカレサマな時間です、笑
こっちは朝から冷たい雨、吐く息白いけれど雪にはなっていません。
で、遅くなりましたがコノ雑談もバナー押して下さる方いらっしゃるので続き載せます、笑



雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚37

同僚御曹司クン電話の翌日、土曜日だった。

フツーに洗濯なんかして朝ゴハンして、
今日は図書館でも行こうかドッカ行こうか考えて、
そんなフツーの週末休日だったけど、とりあえず出かけよっかなって外に出たら携帯がメール受信した、笑

From:御曹司クン
本文:おはよ、今朝も起きて最初におまえのこと思った(顔文字笑顔)圏外ってドコ行くの?

ああ昨夜の電話ってマジ現実なんだ?笑
って思ってさ、で、文面に考えて返信しないままトリアエズ圏外に行こうと思った。

圏外=電波届かない=山方面

ってコトだからとりあえず山行こうと思ってさ、
でも12月だから装備は冬仕様になる、そうすると行ける範囲も限られる。
それに山登る準備してなかったんだよね、元々はのんびり寝貯め@家のツモリだったから、笑

だったら車で行けるドッカの山にしようかな?

思ってさ、そうすると実家方面だなって思って予定変更した。
走行中もある意味で圏外だし、実家で親と話してる時もある意味で圏外だし、
ソンナ感じで思いついたまんま好きなケーキ屋に寄って郊外=山近い実家まで帰ってみた、笑

「ただいま、ケーキ買ってきたよ、笑」

いつもどおり自分で鍵開けて入ってさ、そしたら母が笑ってくれた。

「あら、急なご帰宅ねえ、どうしたの?笑」

ちょっと驚いて、でもあまり動じないんだよね母、笑
そんないつも通りがなんか嬉しかった、で、自分もいつも通り笑った、

「昼ゴハン食べに帰ってきた、母さんの好きな苺のヤツ買ってきたよ、笑」
「あら嬉しい、だったらお昼作ってくれる?畑の小松菜とかもう採れるし、久しぶりにあなたのゴハン食べたいわ、笑」

なんてねだってくれるからアリモンで昼ゴハン作ることになってさ。
母は料理上手で小さい頃から自分もアレコレ自然と教わって、高校くらいから母が忙しいと代りに台所やって、
おかげで学生時代も自炊は苦労しなかったし、社会人になっても時短で料理できるから食事の苦労は少ないんだよね。
そういうワケで冷蔵庫&畑にあるモンとりあわせて作ったんだけど、簡単なイタリアンのコースっぽくしたら二人とも喜んだ。

「おまえが作ると洒落たモンになるなあ、今度はポトフとか僕は食べたいよ、笑」

とか言って父は次回リクエストしてきてさ、また帰ってきてほしいなって伝えてくれた。
こういうの親ってありがたいなー思ったよ、で、御曹司クンの両親のコトちょっと考えた。

息子がゲイでバイセクシャルなこと知ったら御曹司クンの両親は何て思うんだろう?

シャンデリア×クラシック音楽、ワインセラー、レストランみたいな献立、
なんだか見栄っ張りドラマみたいな食卓だけど御曹司クンにとったら現実の世界で、
そんな食卓を好む人達は自分の息子がセクシャルマイノリティで家が嫌いだって知ったら、何を想う?

なによりも、親として息子の恋愛をドウ思うんだろう?
そんな疑問を考えながらゴハンして最近読んだ本の話とかしてさ、
買ってきたケーキ&コーヒーになったころ何気なく父が訊いてきた、

「最近、職場はどうだい?忙しそうだけど面白い事とかあったかな、笑」

あったなあ、笑

って思ってさ、で、ウチは結構オープンな家なんだよね。
自分がドンナ人に告白されたとか付合ったとか両親ホボ全部把握してるくらいオープン、笑
自分も両親の恋愛譚とかフツーに知ってて、特に父は映画のR18シーンとか気にせず子供と観れるタイプ。
ちょっと日本の平均的父親とは違う人なんだろうけど、こんな時はホントイイ相談相手になってくれるから言ってみた、

「昨夜、同僚のヤツに告白されたよ?前もちょっと話した御曹司クン、だからトップシークレットだけどね、笑」

両親の貌が「へー」ってなった、笑
こんなこと簡単に人には言えないけれど両親の反応は見てみたかったんだよね。
で、両親ちょっと驚いて考えこんで、それから母がフォーク動かしつつ困り顔で笑った。

「お母さんは彼ちょっと困るなあ、男の人も女の人も好きって言うのは困るわー浮気360度ってコトだもの、ねえ?」

問題点ソコなんだ?笑

こんな点に「困るわー」な母が面白かった、
バイセクシャル=恋愛対象360度全員だから困るっていうのが面白いな思ってさ、ちょっと訊いてみた。

「母さんが困るのって浮気問題でってことなんだ?笑」
「そこ大事でしょ、なにより子供の問題だってあるわよーお母さんだってあなたの子供は抱っこしたいし、ねえ?」

なんて自論を言いながら好物のケーキ食べてる母はちょっと困り顔で笑ってた。
その困り顔が何を言いたいのかも解かるから、ただ笑って相槌打った。

「そうだね、笑」
「そうよ、」

母も頷いて笑ってた、
笑顔は優しいけど哀しそうでもあってさ、それでもいつもの陽気が言ってくれた。

「孫を抱っこしたいって彼の親御さんも同じじゃないかしらね、私は子供を生んで育てたらソウイウ願い持っちゃってたわよ、いつの間にか、笑」

明るく笑ってくれる声は「母」なんだなーって思わされたよ、
彼女自身の経験から話してる、そういうリアルは尊重したいなって思えて訊いてみた、

「そういうもん?笑」
「そういうもんよ、親のエゴかもしれないけど、笑」

ワガママだけど良いでしょ?
そんな目で母は笑ってさ、で、今度は父が言った。

「父さんの仕事仲間でもゲイの人っているよ、アメリカとかは結構いるんだ、」

やっぱり父は事例の分母がデカい、笑
だから今回のことも訊いてみたいなって思ったんだよね、で、父が話しだした。

「留学してた時も男同士のカップルがいるって噂は聴いたけどね。今はゲイパレードとかもあって随分オープンになったかな、でも国でも違うよ、
その国の宗教観みたいのが結婚観と恋愛観にもなってるからね、キリスト教の国は宗教的にもタブーだから難しいとこや偏見も未だ多いみたいだよ、
日本も昔は衆道ってあったろう?アレは武士のプライドみたいなものだし武士社会のシステムでもあるからね、今の所謂ゲイとは違うなって僕は想うな、」

比較文化から時代比較までしてくれる、こういうトコが父らしい、笑
こういう経験と知識があるとこ面白いなあって聴いてたら、父は笑って教えてくれた。

「その彼が武士寄りなのか今時のゲイっぽいのか、僕には解らないけどね。君のこと好きだって言うことは勇気が必要だったんじゃないかな?
でも君のことだから恋にならんだろうし、ノーマルの方が生きやすいのも本当だからね。お互いに人として誠実に向きあえたら良いなって思うなあ、」

告白する勇気を評価して、擦違うことも理解して、現実のアドバイスもくれる。

そういう父の言葉は真っ正直なまんま優しいって思った、
いつも日本常識から外れ気味なトコ多いから困ることも多いけど、笑
それでもコウイウ父の子供に生まれて幸運だったなった思ってさ、で、改めて思った、

御曹司クンの両親もこうして向きあえる人だったなら、彼が泣いた回数は半分で済んだかもしれない?



とりあえずココで一旦切りますけどまだ続きます、
おもしろかったらコメントorバナー押すなど頂けたら嬉しいです、で、気が向いたら続篇載せます、笑

第74話「芒硝6」読み直し校正またします。
そのあと週間連載の続き→日付変わる頃にAesculapiusかナンカの予定ですが、ソッチも面白かったらバナーorコメントお願いします、笑

取り急ぎ、



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雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚36

2014-03-19 21:41:00 | 雑談寓話
こんばんわ、曇りの寒めな今日でした。
遅くなりましたがコノ雑談もバナー押して下さる方いらっしゃるので続き載せますね、笑



雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚36

金曜夜20時台、同僚御曹司クン電話に乱入されたワケだけど、

「圏外でも俺メールするから。良い休日過ごしてくれな、おやすみ愛してるよ、」

なんて台詞で切れた電話に溜息と座りこんで月ぼんやり見て、
あーそうだ風呂が沸いたんだったなと思い出したから風呂入った。
で、さっぱりして買ってきた惣菜と缶ビールでソファ凭れ座りこんだ。

とりあえずテレビつけて、
撮っておいたドラマ観ながらプルリング引いて、呑んだビールがやけにスッキリした、笑

1週間終わったなー残業続き疲れたなー、

なんて考えながらビール飲んで、デリの惣菜もいつも通り好きな味で、
いつもの静かな時間と晩酌なんだけど、なんとなく昨日までと違う違和感みたいなモンがあった。
で、ホント参ったなあ思った、笑

御曹司クン=同僚の告白とかって困ったなあ?

っていう違和感、これが正直なとこ参ったワケ。
同僚だから職場の仲間なんだよね、それが恋愛ドウのってなると仕事の邪魔になることもある。
そういうのメンドクサイから社内恋愛とか職場恋愛ってNGなトコもあるんだけど、相手が相手なだけに困った。

正直なトコ職場恋愛は御曹司クンより前にもあったんだよね、笑
ちゃんと付合ったのは1人だったけど告白は1人じゃなくて、だから免疫ゼロってわけでもない。
それでも友達としてコンダケ仲良くなった同僚からっていうのは初めてだったから、正直参ったなあ思った。

仕事でチーム組むこともある、
フツーに呑んで面白い相手だし、メールとか電話もフツーに愉しい。
職場で席近くなったトコから仲良くなって1年とか経っていて、ただの同僚っていうには親しかった。

だから困ったんだよね、笑

From:御曹司クン
本文:本当に俺は、あなたを信じて良い?

そんなメールをくれた坊ちゃん事件からズイブン遠くに来ちゃったなって思った。
あのとき自分に告白が来るとかナンも考えることなく単純に思ったまま返事してた。
そのまんま数ヶ月が過ぎて気がついたら12月で、部屋着もパーカー着ないと寒くなってた。

ホントどこで自分は間違ったんだろ?

そんなこと考えながら缶ビール片手に携帯電話を開いて、
夏の初めまで遡った受信データ眺めてみた。

From:御曹司クン
本文:ありがとう、本当に俺はあなたを信じたかったんだ。
   だから仲良くなろうって思ったんだよ、あなたなら聴いてくれるんじゃないかって信じたかったんだ。
   俺のこと気持悪がらないでくれてありがとう、さっきは酷いこと言ってゴメン、

信じたかった、だから仲良くなろうと思った。

そんな言葉はバイセクシャルでゲイな御曹司クンの声が精一杯で、
こういうこと言えるヤツって正直なんだろなって思ったから自分も話してみたかった。
本当は正直に言いたいこと沢山あって、それを言えないでいるから「信じたかった」って言う、
そういうヤツの言葉を聴いてみたいって思ったから一緒に昼飯して、夜通し呑んで、色んなこと話してた。

そういう時間から自分は御曹司クンを何だと思ってるんだろ?

そういうこと改めて考えなくちゃいけないなー思ってさ、
つけっぱなしのドラマはBGMになって考え始めて、で、結論はすぐ簡単に出たんだよね、

大事な友達だな?

って思った、それ以上でも以下でもなく。
ガキンチョ甘ったれの困ったヤツだけど、笑顔仮面メンドクサイヤツだけど、なんか好きだなって思った。
でも「好き」の意味が御曹司クンが求めてくれる感情とは全く違う性質で、そのズレが困ったことになるだろなって思った。

ホントどうしようかなー職場イザコザ痴情沙汰とか無理、笑

なんて想いながら独りビールとメール文面にぼんやりして、
こんな考えごと週末にぶっこんでくれた馬鹿タレにイラッともした、笑

あいつ絶対に職場で困るだろうとか考えてないだろ?ほんと直情バカだ、

っていうの解かるからイラッとしたんだよね、笑
それでコンナことイラッとする自分は恋愛体質ってやつとは程遠いんだろなっても思った。
そんな自分と対極に生きてる御曹司クンは能天気に見えるし、どっかワンコっぽいなあとも思ってさ、
だから余計に想ったんだよね、

あいつが男でも女でも自分が本気で恋する可能性=まず0%だろな?

なんて回答が出た、笑
でも友達としては大事なのも本当だなって思ったよ、
大事な存在じゃなかったらコンナ考えこんだりしない、もっと適当にあしらって雑にイイ貌しておけばいい。

どうでもイイor嫌い、それだったら適当な笑顔で誤魔化していればいい。

甘ったるい台詞で適当に合せて、相手の妄想に合うよう笑って満足させておけば事足りる。
ソレで都合よく解釈させて便利に遣えば良い、ホントどうでも良い相手なら上辺キレイに見栄ハリボテで構わない。

でも欠片すこし「好き」があるんならイイカゲンな笑顔とかしたくない、
自分の等身大を見て、自分の言葉を聴いて、それで好きになってくれたなら向きあいたい。
それが「大事だな」って想える相手なら尚更で、だからこそ困るなあ想ってたら掌のなかメール受信した。

From:御曹司クン
本文:さっき電話を切らないでくれてありがとう、
    ちゃんと話聴いてくれて嬉しかった、そんなおまえにまた惚れた。
    今ほんと逢って話したい、顔見て告白したい、でも直接おまえの顔見たらヘタレるかも。

ああ今こいつ完全に花畑の住人だ、笑

なんて感想ごとビール片手に笑ってさ、
ホント温度差あるなあ笑って、で、一途な彼を偉いなって思った。
こんなふうに誰かへ一生懸命ぶつかれる純粋さみたいの綺麗だなって思ったよ、だからこそ絶対に無理だと思った。

大事にしたい相手、だから絶対に恋愛関係は無理だな?

そんなこと思いながらメールに笑って、
とりあえず週末ラスト便ってことになる返信をした、

T o:御曹司クン
本文:勝手にオカズ妄想するなよ、ヤったら終了、笑     



とりあえずココで一旦切りますけどまだ続きます、
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で、気が向いたら続篇載せます、笑

Aesculapius「Mouseion11」校了しています、雅樹と由希の対話です。
このあと短編連載の続き→日付変わる頃に第74話かナンカの予定ですが、ソッチも面白かったらバナーorコメントお願いします、笑

あと【blogramランキング】バナーは→バナー押す+跳んだ先[blogram]の「萬文習作帖」を押す、がワンセットでカウントになるようです。
お手数ですが宜しくお願いします、笑

取り急ぎ、



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Short Scene Talk ふたり暮らしact.40 ―Aesculapius act.50

2014-03-18 23:35:00 | short scene talk
二人生活@ playground3
Aesculapius第3章act.10-11の幕間



Short Scene Talk ふたり暮らしact.40 ―Aesculapius act.50

「吉村ほんと無事で良かったー俺らホント心配したんだぞ?(あー無事でほんと良かった安堵)」
「ん、なんでソンナ心配させたかね?(のーてんきな荒木がこんなに言うってよっぽどだろね雅樹さんもアレほんとは怒ってた感じだし)」
「そりゃ心配するって、先輩ら追っかけてったの見たからさあ(ナンカ悪い顔してたもんな先輩ら何する気だったんだろ)」
「ふうん、先輩ら追っかけて来るとこ見たんだ、荒木?(まあ4人ぞろぞろ歩いてたら目立つよね雅樹さんも話し声とかで見つけてくれたかな)」
「見たから探しに行ったんだよ、マジ心配したんだって。若杉も山本も、なあ?」
「うん、ほんと心配したよ?晴美なんて泣きそうだったんだから、(晴美ホント必死で探してたよね)」
「そんなに山本、ありがとね?(笑顔)(そんなに心配してくれるなんてドウしてだろね雅樹さんも心配顔通り越して怒ってるの隠してる顔だったけど)」
「もう…ほんと無事でよかった吉村くん(泣笑顔)(だって先輩たち変な目で見てる感じだったんだもの吉村くんが綺麗だからよねきっと)」
「でも吉村、なんか丸く収まってる感じだったケド何がどうなってたワケ?父さんと姉さんまでいたしさ(美男と美女だったなあさすが吉村の身内)」
「あ、さっき一緒にいたのって吉村くんのお父さんとお姉さんなの?綺麗な人たちだったけど(遠目だけど綺麗だったな背も高くて)」
「だねっ、あの別嬪ふたりが俺の雅樹さんと姉ちゃんだねっ(ドヤ笑顔)(やっぱ二人とも綺麗だよね別嬪だよねっ)」
「あのひとが話してたお姉さんなんだ、高校生って言ってたよね?(すごく大人っぽくて綺麗なカンジのひとだったな)」
「ん、高3だよ、今年は受験生なんだってさ、(姉ちゃんどこの大学にするんだろね雅樹さんに今日すこし相談するって言ってたけど)」
「俺んちの上の兄貴も去年受験生だったけどさ、試験前はケッコウ気ぃ遣ったぞ?風邪とか絶対家に持ち込むなって言われた(って吉村と姉さん別のトコ住んでるんだった俺またアホなこと言ったかもゴメン吉村あれでも気にして無いカンジかな良かったあ)」
「へえ、そういうのあるんだね?俺も気を付けなきゃ、(遊び行ったりするとき気をつけないとね謙造ジイさんにも言っとく方が良いかねでも雅樹さんいるからメディカルチェック大丈夫だろうけどっ)」
「吉村くん、お姉さんの家にもよく行くの?(仲良さそうだったもんね)」
「うんっ、雅樹さんと車で行ってるよ(ドヤ笑顔)でも、コッチいるなら一人でも電車で行ってみようかなってさ(電車一人でも乗れるよう慣れたいねそしたら雅樹さんも大人って今より想ってくれるかねっ期待)」



Aesculapius第3章act.10-11の幕間というか裏より光一@運動会
中学生のワンシーン+雅樹のことばかり考えている光一3です、伏線的なカンジで、

Aesculapius「Mouseion 学舎の光 act.10」校了しています、
第74話「芒硝5」草稿UPしたんですけど、加筆校正まだします。
それ終わったらAesculapiusか短篇連載かナンカの続き掲載します、

取り急ぎ、笑



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第74話 芒硝act.5―another,side story「陽はまた昇る」

2014-03-18 13:30:08 | 陽はまた昇るanother,side story
while the birds thus sing a joyous song 告げる聲



第74話 芒硝act.5―another,side story「陽はまた昇る」

窓ゆれる赤い実が、空の青きらめかす。

艶やかに黒い枝から朱赤こぼれる、その梢に金茶色ゆれて風が鳴る。
木洩陽の黄金ガラスを透かして廊下に揺らせて、澄んだ光まぶしく周太は微笑んだ。

―まるで木がお喋りしてるみたいだね、風に声を載せて、

ベンチ独りの待合室、しんと静寂は病院を寛がす。
いま昼休みに誰もいない、その安堵に膝のページ繰る向こう明るい声が呼んだ。

「湯原くん、待ってる間お昼一緒にいかが?」

懐かしい声に顔上げた先、日焼あわい笑顔きれいにほころばす。
澄んで明るいトーンに緊張また解かれながら立ちあがり頭下げた。

「ありがとうございます、お昼休みに伺ったりしてすみません、」
「そんな謝らないで?お昼に呼んだのは吉村先生の方なんでしょう、どうぞ、」

大らかに笑ってパンツ姿は踵返してくれる。
その後へ素直に付いて行きながら呼吸ひとつ、聴きたかったことを口にした。

「あの、鹿野さんは僕がどうして来たのか知ってるんですか?」
「定期健診でしょう?」

さらり答えて端正な横顔ふり向いてくれる。
穏やかにも凛と涼やかな瞳は微笑んで、率直に言ってくれた。

「雅人先生は湯原くんの主治医になったと聴いています、それだけで私には充分よ?」

詮索はしない、けれどサポートを欠かさないでくれる。
そんな意志やわらかな笑顔は院長室の扉を開いてくれた。

「冷めないうちに食べましょう?すぐ先生も結果と戻られるから、」

薦めてくれる食卓に心遣いが温かい。
この献立を選んでくれた感謝に周太は微笑んだ。

―蓮根の料理が2つもある、はさみ焼きときんぴらと…僕の喘息を気遣ってくれてる、ね?

蓮根は喘息に効果がある、そう雅人医師から教えてもらった。
だから自分でも毎日摂るようにしている、それを鹿野も気遣ってくれたのだろう。
こんな所にも彼女が抱いている想い伝わるようで、その真摯と愛情に笑いかけた。

「鹿野さんは雅人先生のこと、本当に大切にしてるんですね…こんなふうに気遣えて、」

雅人が向きあっている患者を理解して、雅人と共に向きあおうとしてくれる。
たぶん事情の詮索などしていない、それでも濃やかに治療を支えてくれる笑顔は羞んだ。

「献立、ちょっと見え透いてたかな?」
「嬉しいです、ありがとうございます…なんか羨ましいです、」

素直な言葉と座った前、白いシャツ姿も座ってくれる。
味噌汁を椀に注いでくれながら少し恥ずかしそうに鹿野は微笑んだ。

「羨ましいって、どうして?」
「ん…雅人先生の仕事を理解して援けられているから、素敵だなって、」

想うまま声になって懐かしい笑顔ひとつ探してしまう。
あのひとを自分も援けられたなら?そんな願いと今の現実に鼓動そっと噛まれながら笑いかけた。

「夏に伺ったとき話してくれましたよね、雅人先生のこと好きだから援けたくて御岳まで追っかけて来たって。その通りに鹿野さんしてるでしょう?
雅人先生が診ている僕の病気を理解してくれて、少しでも治るようにって蓮根も出してくれて…こういうの、雅人先生の気持ちから大切にしてるなって、」

雅人は自分の喘息を秘密にしてくれている。
だから周囲に持病を明かさず診察を受けられるように今回も大学の演習と合せてくれた。
この2ヶ月も電話の問診で診続けてくれている、そんな隠した意図ごと受けとめる明眸は恥ずかしそうに微笑んだ。

「ほんと追っかけって感じでしょう?二十半ばなのに落着き無いわね、私、」
「え、」

言われた年齢につい声こぼれて見つめてしまう。
まだ鹿野は三十前だろうとは思っていた、けれど意外と近い齢に驚かされるまま悪戯っ子な瞳が微笑んだ。

「やっぱり湯原くん、私のこと何歳も上だと思ってたでしょう?でも私も最初は湯原くんのこと高校生と思ってたから、おあいこね?」

2ヶ月すこし前の初対面、医学部希望なのかと質問された。
あのとき鹿野も雅人との出会いを話してくれている、その記憶に周太は謝った。

「あの、ごめんなさい、夏にお邪魔したとき伺っていたのに…高校生で雅人先生と出会って8年って、」
「ちゃんと憶えてくれていたのね、でも幾つも年上って思っちゃったんだ?あははっ、」

可笑しそうに笑ってくれながら茶碗をよそってくれる。
どこか少年のような瑞々しい闊達ふり向いて、愉快なトーン微笑んだ。

「こんど26歳なの、湯原くんと2歳しか違わないのよ?私って齢より上に想われるみたいでね、十四も上の人を追っかけてるせいかな、」

可笑しそうに話してくれる瞳は黒曜石のよう澄んで温かい。
白いシャツの肩に束ねたダークブラウンの髪ゆれて、その向こう扉がノックされ開いた。

「お兄さん、模試の結果が…あ、」

深いテノールの声とセーター姿こちらを見、ジーンズしなやかな脚が立ちどまる。
窓ふる光に黒髪きらめいて白皙の肌に映える、その端正な貌やわらかな桜いろ羞みだす。
のびやかに華奢な体躯は中学生くらいだろうか、どこか生真面目で透明な容子に周太は微笑んだ。

―すごく綺麗な子、男の子だよね?…誰かな、

初対面、けれど綺麗で見つめてしまう。
春3月と夏と、この医院に来るのは今日が3度めになるけれど初めて見る。
けれど慣れたふうは此処に通いなれているだろう、そんな推定と見つめるまま鹿野が微笑んだ。

「ごめんね環くん、雅人先生はまだ診察室なの、」
「ありがとうございます鹿野さん、お話中にすみませんでした、」

確りとした言葉遣いに頭下げてくれる。
その白皙の貌が見覚えあるようで首傾げた前、優しい笑顔が尋ねてくれた。

「湯原くん、環くんに今ここで待ってもらっても良いかしら?」
「はい、僕に遠慮とかしないで下さい、」

思ったまま笑いかけた前に澄んだ瞳も笑ってくれる。
そのままシャツ姿は立ち上がり少年へ笑いかけた。

「環くん、雅人先生もうすぐ戻られるから待っていたら?お茶淹れてあげるわ、」
「はい、ありがとうございます、」

素直に頷いて部屋に入って来てくれる。
歩く姿勢もきれいな少年はこちら向き直り、切長い瞳やわらかに微笑んだ。

「お邪魔してすみません、僕も兄を待たせてもらって良いですか?」
「はい、どうぞ、」

頷いた先、長い睫の瞳きれいに微笑んでくれる。
その明るい穏やかなトーン見たことあるようで、けれど思い出せない。

―この感じ誰かと似てる…いま兄って言ったよね、雅人先生がお兄さんってことなら吉村先生の息子さんってこと、だけど、

雅人はたしか今年で40歳になる、あの少年が中学生なら25歳は差があるだろう。
そして吉村医師は60半ばだから少年が生まれた頃は50歳ということになる。
そんな年齢差に関係が不思議で考えこんだ向こう、快活な声が笑った。

「お、ちょうど環も来たのか。昼飯はもう済んだか?母さんが待ってたろう、」

朗らかなトーン笑って扉から白衣姿が入ってくる。
その若い笑顔を仰いで少年は嬉しそうに笑った。

「いま塾から帰ってきたんだ、模試の結果が出たから真直ぐお兄さんのところへ来たんです、」
「そうか、見せてみろ、」

気さくに笑って白衣の手は書類を受けとる。
その日焼あわい横顔と、見あげる白皙の笑顔は造りも肌の色も似ていない。
それなのに空気が似ているようで、不思議で見つめるまま精悍な瞳こちらへ笑ってくれた。

「お待たせして悪いな、湯原くん。もうすこし待ってもらってもいいかい?」
「はい、」

頷いて笑いかけながら見つめてしまう。
いま話している二人は年齢差から言えば親子だろう、けれど雅人は未婚だと聴いている。
それに「兄」と少年は言っていた、そんな事実関係が緩やかに考えを廻ってしまう。

―やっぱり吉村先生の息子さんなのかな、雅樹さんの下ってことだから三男で…遅い時のお子さんなのかな、

50歳でも男は子供が作れる、そんなことを保健体育の授業でも教わった。
そして女性は年齢制限があると聴いている、けれど吉村の妻は若く見えるけれど夫と同齢くらいだったはず。
そう考えると少年が雅人の弟であることが不思議で、それでも辿る記憶からも少年の話は見つかってくれない。

―雅樹さんの弟なら光一が知らないはず無いよね、でも、あの子の話って光一から聴いたことなくて…どうして、

吉村医師の息子、それは説明がつくかもしれない。
けれど吉村の妻の年齢から考えたなら夫妻の実子とは考え難いだろう。
そんな事実関係に少年はむしろ雅人の息子だと思う方が納得できる、でも、雅人は未婚だ。

それなら誰があの少年を産んだのだろう?



(to be continued)

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雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚35

2014-03-18 01:23:00 | 雑談寓話
こんばんわ、春っぽい青空な今日でした。
で、遅くなりましたが、コノ雑談にもバナー押して下さる方いらっしゃるようなので続き載せます。



雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚35

或る日の20時台、ベランダの窓から月見ながら携帯電話を持ってた。
スーツのパンツとシャツのまま月ぼんやり見てる、そういう電話から御曹司クンが言った。

「おまえだけ違うんだよ、女とか男とか関係ない、誰よりおまえが好きだ、大好きだ!」

しまったな、そう心底から思った。
相手が男でも女でも、誰が相手でも関係なくソウイウコト言われたくなかった。
こういうの誰にも言われたくないのが自分の本音でさ、ホントしまったって思いながら笑った、

「おまえさ、今ドコで叫んでんの?笑」

電話の向こう雑踏みたいの聞えるんだよね、
だから外のドッカで電話してるんだろなって思ったら御曹司クン笑った、

「ビルの前の広場、笑」

ビルの前って、もしかして?

「ビルって職場のビルのコト言ってる?」
「そうだよ、だってすぐ言いたかったしさ、だからビル一歩出た瞬間に電話した、笑」

即答してくれる声は笑って少し得意そうだった、
犬が喜んで褒めてもらうの待ってる、ソンナ感じのトーンにSってやった、笑

「おまえ馬鹿だろ?職場の近くで告白電話とかすんなよ、誰かに聴かれたら迷惑だろが?モット大人になりな、ガキだねえ、笑」

ホント馬鹿でガキだよね?笑
ってカンジに笑ってやったら御曹司クン、御機嫌で笑った。

「ゴメン、ほんと俺いま馬鹿になってるから。でも俺ほんと言いたかったんだ、だから帰り捕まえたかったのに気がついたらいねえんだもん、笑」

あー今日は早く帰れて良かったなって思った、笑
なんて思ってたら電話ごし御曹司クンが言ってきた、

「なあ、オマエは?おまえ俺のコト好き?教えてよ、俺のコト好きになってよ?」

いきなりソレなんだ?笑

こんなことイキナリ言ってくるアタリ子供だなって思った、
そういう「子供」を御曹司クンがホントにしたい相手は他にいる、それが解かるから言ってみた。

「おまえさ、今の台詞そのまんま親に言いたいだろ?」
「…え、」

小さい声に御曹司クンが止まった、
なんで今そんなこと言うんだろう?そんな途惑いに笑ってやった、

「おまえが言ってるセリフ、子供が親に大好きだよって抱きつく言葉と同じだよ?ほんと親代わりとかって無理、笑」

大好き、そう両親と言いあってみたい。

大好きと言って大好きだと笑ってほしい、そうやって両親に無条件で愛されたい。
そんな傷みを抱えこんでる御曹司クンだと解かるから、自分への台詞がドコにあるか解かるなって思った。

両親と交わすはずだった無条件の愛情を求めたい、

そういう恋愛もあると思う、でもソウイウ相手に自分はなれない。
そんなこと自分で解かってるまんま言った電話ごし、御曹司クンが言った。

「親代わりとか俺よく解んねえ、でも確かに俺、子供が駄々ってるみたいだな、笑」
「ふうん、そこは自覚してるんだ?笑」

笑って答えて、風呂の準備完了の呼出し音が鳴ってさ、
あー風呂入ってスッキリして考えまとめたいな思ってたら、言われた。

「でも、俺だって誰がいちばん大好きで一緒にいたいのか解かってる、だから今も電話してんだ、だから真面目に応えてよ?俺のコト好き?」

そういう追い詰め止めてほしいな?って思った、

嫌われるより好かれる方が嬉しいだろうし、恋されることも嫌いじゃない。
だけど相手のペースで感情を言葉にしてくれても、それが自分のペースに合うとは限らない。
何よりもコウイウの誰が相手でも今の自分は難しい、だから今想うことそのまんま言ってみた、

「今言われて、すぐ答えろって言われても何にも言えない。電話で告白とか趣味じゃないしさ、笑」

ほんと何も言えない、
時間を掛けても言えないかもしれない?
そんなふう想いながら笑った電話ごし御曹司クンが笑った。

「じゃあ今から俺のコト好きになってよ?俺、好きになってもらえるまで頑張るから、」

頑張ってもらっても無理だよ?ってホントは思った、

相手が御曹司クンだから無理なんじゃない、相手が誰でも無理だろうって思った。
御曹司クンが言うところの「好き」にはなれない、だけど一生懸命に言ってくれた言葉は大事だと思った。
きっと応えるなんか出来ない。それでも今笑ってくれてる想いは大事にしたくて、だから軽くSってやった、

「友達として好きになるなら努力で可能性あるケドね、恋愛ならハードル高いから無理じゃない?笑」

ホント無理だよ止めときな?
そんな想い笑ったら御曹司クン訊いてきた、

「恋愛なら無理って、さー…バイでゲイだから無理ってこと?」

バイセクシャルとかゲイとか気持ち悪いって思われる、恋愛対象になんかなれない、だからカミングアウトが怖い。
そんなふう前に御曹司クンが言ったときの貌を今もしてるのかな、って思いながら正直に言ってやった、

「オマエが男でも女でも無理だろなってコト、笑」
「なんだよそれーひでえなあ、拗笑」

拗ねながら御曹司クン笑ってくれた。
で、訊いてきた、

「あのさー…これからも飯とかフツーに誘ってイイ?変なコトとか絶対しねえから、」

こいつ前科あるから不安なんだろな?笑
って思いながら普通に頷いた、

「友達づきあいなら歓迎だよ、オマエに好き勝手される程ヤワじゃないしね、笑」
「あーまたそういう言い方するホントS、どうせ俺はヘタレだよ、拗笑」

ヘタレ自認で笑って、すこし空気が止まった。
なんだろなって一拍の後すぐ御曹司クン笑って言った、

「ホントおまえのこと大好きだ、俺。また明日な、」

言ってくれるトーン明るくて嬉しそうだった、
こいつ今きっと笑ってるんだろな、そんなこと思いながら月見ながら言ってやった、笑

「明日は土曜だろ?圏外のトコ行く予定だからさ、また週明けな、笑」

ちょっと週末2日ほっといてほしいなって思ったんだよね、
すこし考えまとめたいのとインターバル置きたいのと、所謂ほとぼり冷ましたかった。
で、そんな想い知ったかドウだか御曹司クンは拗ねながらも意地+ナニかを気張ってくれた、

「圏外でも俺メールするから。良い休日過ごしてくれな、おやすみ愛してるよ、」

なんて台詞で通話が切れて、ベランダの窓辺ため息ごと座りこんだ。


まさかの出来事ブログトーナメント

とりあえずココで一旦切りますけどまだ続きます、
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で、気が向いたら続篇載せます、笑

Aesculapius「Mouseion10」草稿UPしてあります、加筆校正倍くらいの予定です。
それ終わったら第74話か短編連載の続き予定ですが、ソッチも面白かったらバナーorコメントお願いします、笑

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お手数ですが宜しくお願いします、笑

取り急ぎ、



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