大工の学校 

築き人(きづきびと)を志す、職業能力開発校の徒然日記
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継手について

2007年06月05日 | 大工の学校生活
 さてさて、本日から本格的な継手の実習に入る「大工の学校」まず最初は「腰掛け蟻継ぎ」からです。

と、その前に継ぎ手についてだけど、木材には上と下に呼び名があって、つまりは木が立っていた先端の方を「末」、逆に根本にあった方を「元」と呼びます。

この継ぎ方にも、ルールというかある程度の決まりがあります。

末と元を継ぐことを「送り継ぎ」と言って一番ポピュラーな継ぎ方です。
続いて、末と末を継ぐことを「行き合い継ぎ」といってこれも使用される継ぎ方です。
最後に、元と元を継ぐことを「別れ継ぎ」といって、これはあんまりお勧めする継ぎ方ではありません。


まず第一に縁起が悪いということがあります、それとどうしても元の方が強度に大きい木材の赤身(赤太)の部分が多く存在し、逆に差し口などのより荷重がかかる部分に、弱い白太の部分が来てしまうということでしょうか?

このような、家を少しでも長く持たせようとする心配り、プレカットなどではどうなんでしょうかねぇ。

また、男木・女木についても受ける側(つまりは女木)の方が強くないといけないので、赤太の多い元を女木又は下木に使用することが基本です。ただしこれは縁起が悪いとか、そういうことは無いので、どちらでもまぁOKでしょう。


次に強度についてだけど一概にはいえませんが、どうしても材を継ぐと強度が弱くなります。

INAX出版の「継手・仕口」のデータによると、継手の強度の劣化は継手無しを100とした場合、腰掛け鎌継ぎで約1割まで落ちてしまいます。


頑張っているのは追掛大栓継ぎで、剛性で縦方向の劣化は約15%にとどまってます。
このように検査をする意味自体不明だけど、なかなかプレカットなどでは利用されない追掛継ぎをもう少し全面にアピールすることってできないのかなぁ?って考えちゃいます。


まぁ、継手の種類なんか知っている人が少ないでしょうから、某フランチャイズ系ハウスメーカーなどは

「うちは、コンピューターで管理された機械で寸分違わず加工しますので、大工さんが手で加工する継手よりもキレイで丈夫ですよ~」なんて営業トークがあるくらいなのです。
こんな言葉にだまされないようにしてもらいたいですね。

大工さんが作る継手とプレカットで作る継手の強度の勝負をテレビかなんかで、特集してくれたらいいのになぁ~と思いますけど、スポンサーの絡みでまず実現しないでしょね・・・ マニアック過ぎるか。


今日は墨付けを行い、明日から本格的な刻みになります、どれくらい上手な継手ができるか楽しみです。

ノミ砥いどけよ~  おしまい。



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (あっちゃん)
2007-06-06 01:31:46
でたぁ~秘密兵器

生徒さんの反応はいかがでしたか

プレカットでは、行き合い、別れは関係ないですよ~

そこまで気にしているオペは居ないのかな~

あと、プレカットの追っ掛けありますよ~込み栓が五分の丸棒ですけどね~
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あっちゃんへ (TOM-P)
2007-06-06 08:31:41
お疲れ様です。

秘密兵器なかなか公表ですぞ

別にプレカットと競うわけでは無いけど、誤解を与える表現で、大工さんの仕事より機械の方が優れているという事を言われるのはいやですね。

とことん木を生かす仕事を、プレカットのオペさんなども勉強して欲しいものです。



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Unknown (しんちゃんの嫁)
2007-06-06 10:00:25
プレカット工場のオペさんには ぜひ 「木のいのち木のこころ」を読んでほしいですね。

あっ・・・?!
某フランチャイズ系ハウスメーカーさんにも ぜひ。

この間 またまた 図書館でこの本を 再度借りて
読み直しました。(だったら買えよ!っていう話ですが・・)(笑)

何度も何度も読み直したくなる本ですよね。
TOM-Pさん。
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しんちゃんの嫁さんへ (TOM-P)
2007-06-06 10:42:13
 お疲れ様です。

そうですよね、木の命を生かすと言うか分けてもらう・・・

そのような心配りをすればきっと、地球温暖化ももう少しゆっくりになるでしょうね。

ちなみに、木のいのち 木のこころ のカセットテープバージョン知ってます?

大分県立図書館にあるけど、西岡棟梁がずずっ~って、お茶を飲みながら、木についてだったり、山についてだったり、大工の口伝などをぼそぼそしゃべるのです。(失礼)

知っている人には大変おもしろいけど、運転中に聞くと大変危険な代物です、僕も思わず棟梁の元へ行きそうになります・・・

ということで、やっぱり本が良いですね。

ちなみに、床の間で語っているビデオバージョンも・・・
でもやっぱり、本が良いです。

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