大工の学校 

築き人(きづきびと)を志す、職業能力開発校の徒然日記
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台かんなの調整 前編

2014年05月19日 | 工作法
今回は台鉋の調整を説明します。

改めて台鉋の調整ポイントをあげてみると。

刃の砥ぎ

刃の裏押し

裏座の砥ぎ

台の調整

刃の仕込み


等が考えられます。





先ず初めに刃裏についてです、大工道具の切れ味のポイントは刃先にあるのは言うまでもありませんが、それを陰で支えるのは刃の裏の平坦の具合です。

つまり、刃の裏がデコボコだと、いくら砥いでも先端は真直ぐにはならないということです。


そのために、まず最初に行うのは「裏出し」といわれる作業です。


先ずはこの写真を見てください。
 

目標は、一番右の、いわゆる糸裏と呼ばれる状態です。
左の状態を「裏切れ」真ん中を「べた裏」と呼びます。

何も行わず、ただ裏を砥ぐとべた裏になります。それは刃先の先端の真ん中部分が少し引っこんでいるからなので、少し裏側に曲げなければいけません。

これを行うのが、裏打ちと呼ばれる作業です。


金床などに、かんなの刃を充てて、先端から3分の2程度を金づちで叩きます。




すると、この図のとおり、柔らかい地金が伸びて、かたい鋼の部分の方に押し出されます。


同じところを、均等に叩くのは意外と難しいので、下のようなヒッターがあると便利です。







これでやっと、裏を砥ぐ準備が整いました。

裏を砥ぐ作業は「裏押し」と呼ばれ、使用するものは金盤に金剛砂、押し棒などです。


写真のように、金剛砂を小豆程度、金盤に乗せ、水を少量撒いたあとはひたすら押し続けます。


あまり激しくすると熱がこもるので、優しく押すのもポイントです。



すると、だんだん裏を叩いた部分が磨かれてきます。叩きが少ないところは、先ほどの工程を繰り返します。


均一に糸裏に近づいてきたら、最後は水のみで仕上げましょう。



自分の顔が写ったら、合格ですね。






これでいよいよ砥ぎに入ります。

前回も言ったとおり、先ずはしのぎ(かんなの刃の砥ぎ面)を真っすぐ研ぐのがポイントです。


先端は荒かんなは少し山なりに、仕上げかんなは、ほぼ平坦にそして中仕込かんなはその中間程度、山なりにします。



この形を自由に仕上げられることができれば砥ぎもある程度はマスターしたといっても過言ではありません。
ちなみに、CGにある数字はmmです、解り易く極端にしましたので、CGのとおりの形に仕上げてはいけませんよ。あくまでも数字を目安に仕上げてください。



一番いけないのは、中央部分がへこみ、両端が尖るいわゆる「耳が立つ」状態です。
これだと全くかんなが掛けられません。のみは逆にこの形がベストなんですけどね。

砥石全体で研がなければ、すぐにこのような状態になるので要注意ですね。


中砥でほんの少し、刃返りができた状態で、すぐに刃返りを折り、仕上げ
砥石で仕上げていきます。

注:)刃返りとは砥ぐことによって、先端にできるバリのこと、刃裏を指の腹でなでると引っかかるような感覚があります。



あまり刃返りが大きすぎると、返って刃自体を傷めてしまいますので気を付けてくださいね。





大事なのは、使う水とふきあげる布がきれいな事、こんなことにも気を使わなければ満足いく砥ぎは仕上がりません。


それから、角度を固定し、素直に砥ぐということ、とにかく刃先に集中することが大事です。
精神集中、これから細かい作業をするときにも、とにかく注意力と集中力が必要となります、道具を砥ぐのと同時に心も研ぎ澄ます訓練も兼ねているのです。



仕上がりはしのぎがあまりに光る状態だと、しのぎが丸い状態です、少し曇るような感覚が真っすぐに砥げた状態になります。





しのぎの角度については、刃の厚み1に対して、しのぎの面を2倍にします。
すると、しのぎの角度はほぼ30度になります。

基本は30度を目安ですね、これより角度を鋭くすると大切れ刃と呼び、軟らかい木には有効です。
逆に角度が大きいと小切れ刃となります。これは木工などの堅い木にお勧めです。




この辺の微妙な感覚は、一度砥ぎが上手な人のかんなを見せてもらうしかないようです。



とにかく砥ぎは実践あるのみ、やればやるほど上達し、気付きも増えると思います。


それにしてもかんなは奥が深い・・・・・


ということで台直しその他は次回に持ち越します。







おしまい


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まな板にかんなをかけたい (窪田勇雄)
2016-06-23 08:02:40
まな板がでこぼこなっているので水平にしてもらいたい。鹿児島市内
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