轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

トヨタ・スープラ

2019-06-07 18:19:24 | TOYOTA
助手 「トヨタのスープラが復活しましたね。」

所長 「17年振りの復活とか、言う話じゃな。」

助手 「販売終了からは17年ですけど、先代のスープラが出たのは93年ですし、26年振りのモデルチェンジって言い方もできますけどね。」

所長 「もうそんなになるんじゃな。」

助手 「どう思います、新しいスープラ。」

所長 「うーん、そうじゃな、これからのスポーツカーの在り方のお手本になるかもしれんの。」

助手 「えー、スープラがですか。あんなにカッコ悪いのに。」

所長 「いや格好の話じゃなくって、BMWとの協業の話じゃ。」

助手 「ああ、そうですよね。びっくりしました。」

所長 「まずトヨタ単独で考えると、市場規模を考えても今のご時世、スポーツカーを開発するのは、相当ハードルが高いじゃろ。」

助手 「採算を考えれば無謀かもしれませんね。」

所長 「で、理想とも言える直6エンジンを持っとって、FRレイアウトもお手のモノのBMWはトヨタにとって格好の相手と言えるじゃろ。」

助手 「でしょうね。」

所長 「もしトヨタが単独でやっとったら、コストの兼ね合いで他の車種との部品の共用とか妥協せんとイカン部分も出てくるじゃろ。」

助手 「その点BMWと組んだコトによってスポーツカーの専用設計ができたワケですし、まさにBMWさまさまですね。」

所長 「BMWにしてもZ4の開発にトヨタが噛んでくれたお陰で開発費が安く済むじゃろうし。どっちにとってもいいコトづくしじゃろ。」

助手 「言えてますね。特にトヨタにとってはBMWと組んだのは、大正解でしょうね。なんと言ってもBMWって日本でも大人気のジャーマンスリーの一角の憧れのブランドですし、デメリットは見当たらないんじゃないですか。」

所長 「その『ジャーマンスリー』って最近よく聞くんじゃけど、言ってて恥ずかしくないか。」

助手 「えっ、『ドイツ御三家』よりはマシでしょ。いかにも昭和って感じですし。」

所長 「どっちも恥ずかしくって死んでも使いたくないがの。」

助手 「・・・。」

所長 「それにベンツ、BMWはわかるんじゃが、あとの一つはアウディなんじゃろうけど、販売台数の話なんかではフォルクスワーゲンになったりするしの。それでなんの話じゃったかの。」

助手 「えーっと。トヨタにとっては今回の提携でデメリットは見当たらないってトコまででしたね。BMWにとってはどうなんでしょうね。少なくとも日本の市場ではトヨタのクルマと兄弟車っていうのは、プラスにはならないと思うんですけど。」

所長 「ま、大枚はたいてZ4を買ったモンにすれば面白くないかもしれんの。じゃがトヨタと言ってもカローラやクラウンなんかと共用じゃったら問題あるじゃろうけど、トヨタの中でも別格扱いのクルマじゃし、そんなに気にならんのじゃないかの。」

助手 「そんなモンですかね。」

所長 「それに今回の提携で一番上手いと思ったのは、両方並べても兄弟車には見えんようにしたところじゃろ。」

助手 「確かに、言われないと気づかないかもしれませんね。」

所長 「スポーツ色を前面に出したスープラと、オープンボディでラグジュアリー色の強いZ4とで性格もずい分違っとるし、お客も競合するコトはまずないじゃろ。」

助手 「それはそうかもしれませんね。」

所長 「少量生産車の開発にとっては理想的と言えるんじゃないかのぉ。」

助手 「それでこれからのスポーツカーのお手本ですか。」

所長 「そういうコトじゃ。じゃがスポーツカーって昔からメーカーの威信を懸けとるトコってあるじゃろ。そういう意味ではよその会社に開発を任せるっていうのはどうなんじゃろうな。」

助手 「そういう側面はありますよね。」

所長 「ま、スポーツカーの位置づけ自体が昔とは違ってきとるからの。昔は最先端技術の集大成と言えばスポーツカーって相場が決まっとったんじゃが、今では環境技術、安全技術の方に重きを置いとるしの。」

助手 「そうですね。そう考えれば他社と共同開発であってもスポーツカーの根を絶やさないって言うのが、重要なのかもしれませんね。」

所長 「じゃな。」

助手 「で、これからのスポーツカーづくりのお手本と言うべき存在のスープラですけど、あのデザインはどうなんですかね。ボクはあのデザインがどうも苦手なんですけど。」

所長 「うーん、今のところあんまりいいようには思えんの。」

助手 「F1みたいなフロント、盛り過ぎのリアフェンダー、後ろ姿も気持ち悪いですし、フォルムもモッコリしてて到底カッコいいとは思えませんけどね。」

所長 「酷い言われようじゃな。」

助手 「所長はどうなんですか。」

所長 「確かにひとつひとつのディテールは受け入れ難いモンがあるの。」

助手 「やっぱり。」

所長 「じゃが、遠目から見たらそういう細かいところってあんまり気にならんのじゃないかのぉ。」

助手 「そりゃ、遠目から見たらそうなるでしょうけど。」

所長 「案外、遠目から見ると異様なまでの迫力だけが残るんじゃないかの。」

助手 「確かに迫力は感じますけど。」

所長 「だいたいこの手のクルマって、後ろから凄いスピードで迫ってくるのを、バックミラー越しに見るモンじゃろ。で、あとは一瞬で抜き去って小さくなっていく後ろ姿じゃな。」

助手 「ま、高速で出会ったらそんな感じになるんでしょうけど。」

所長 「そのときに残る存在感は他のクルマに負けてないんじゃないかのぉ。」

助手 「うーん、確かに強烈なインパクトはありそうですね。」

所長 「それこそ、出会った日には誰かに言いたくなるような、そんなクルマなんじゃないかの。」

助手 「でもスポーツカーって所有して眺めるだけで満足できる美しいデザインも売りなんじゃないですか。」

所長 「もちろん、そういう方向を狙うのもアリじゃろうけど、そういうクルマって他にいっぱいあるじゃろ。」

助手 「それはそうですけど。」

所長 「それに走り去る姿を一度目の当たりにすれば、見方が変わってどんどん格好よく見えてくるのかもしれん。」

助手 「えー、それはないでしょ。」

所長 「じゃから、かもしれんと言っとるじゃろうが。」

助手 「はい、はい。」

所長 「案外、スープラ復活って言うより昔の2000GTみたいなクルマをつくりたかったんじゃないかって気がするんじゃ。21世紀版のトヨタ2000GTじゃ。」

助手 「いやいや、それはいくらなんでもないでしょ。」

所長 「ま、気がするだけじゃけどな。」


参考資料
トヨタ・スープラ(トヨタ自動車株式会社)
BMW Z4(ビー・エム・ダブリュー株式会社)

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8 コメント

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Unknown (ミスター某)
2019-06-08 08:28:53
こんにちは。

スタイルの好みはさておき、その復活は素直に喜んでおきたいと思う私がいます。

問題のスタイルですが、個人的にはもう少しマッシブさを抑えてシュッとした感じが出せたら、もう少し印象が変わったような気がします。
ドーピングで無理矢理筋肉を増強させたような、そんな歪さを感じてしまいますね。
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Unknown (宇垂)
2019-06-08 17:05:08
ミスター某さん

確かにマッシブというかマッチョなスタイルですね。
この印象がどう変わるか楽しみです。
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Unknown (B.Y)
2019-06-12 08:29:56
ZEEK70スープラとかベルサイド80スープラの後継がメーカー純正でデビューな感じで、フルエアロチューンドカーみたいなノーマル車ですね。
オッさんに成った自分の感性が今のデザインについて行けないのかなぁ?とも思いつつ70スープラはカッコ良かったけど80スープラはカッコ良いプロポーションに変な細部デザインで好みでは無かったの思い出し、スープラはカッコ良いプロポーションにエグい細部が伝統なんかなぁと。
買える環境ならZ4の方が欲しいです。
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Unknown (宇垂)
2019-06-12 18:22:40
B.Yさん

ここだけの話、実はボクも80スープラってどこがいいのかさっぱりわかりません。
その80スープラをモチーフにしている新型も好みじゃないですね。

Z4も正直言ってカッコいいとは思いません。
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Unknown (実用本位)
2019-07-04 15:30:55
私も助手さんに全面的に賛同で、「醜いラインを入れるな!」と思います。

トヨタやレクサスは、悪趣味でデザインセンス0の福●というのが幅を利かせている内は形に関して全滅かつ絶望的です。

エンジン出力も貧弱だからスポーツカーの癖に遅く、値段だけ無駄に高いと最悪です。
280馬力規制時代の車の方が(他社のだけど)遥かに高性能で形も良いとか、救えません。
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Unknown (宇垂)
2019-07-04 19:13:29
実用本位さん

なかなか手厳しい意見ですね。

>トヨタやレクサスは、悪趣味でデザインセンス0の福●というのが幅を利かせている内は形に関して全滅かつ絶望的です。

●市さんがデザイン本部長に就任されたときは、期待したんですけどね。
あの初代エスティマをデザインした方ですし、きっとトヨタのクルマが魅力的に変わるんではと。
変わったのは違いないですが・・・。

まだスープラの実車にお目にかかってないんで、街で見かけたらきっとカッコよくみえるはず・・・と期待してるんですが。
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Unknown (実用本位)
2022-03-21 15:45:05
これ、エンジン出力によって3タイプ有りますね。
エンジン自体が別物なら価格が変わっても(上がっても)仕方ないですが、『同じエンジンで過給圧だけ上げて価格上昇』って汚いやり口ですよね。
まあどこも似たものかもしれませんが。
“ぼろい商売”ってやつですかね?
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Unknown (宇垂)
2022-07-29 17:03:48
実用本位さん

最近多いですよね。同じエンジンで出力特性を変えてラインナップを充実させてるんですよね。
キャラクターに合わせてエンジン出力を変えるのは解るんですが、同じ価格でいいのでは?って思いますよね。
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