轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

スバル・レヴォーグ

2014-10-31 19:12:18 | SUBARU
助手 「しばらくさぼってた間に、レヴォーグとか、デミオとかいろいろ出てますね。」

所長 「じゃな。外車もベンツのCクラスとかFFのBMWなんかも出たみたいじゃな。」

助手 「ですね。ちょっとペースを上げていかないと、どんどん溜まってしまいますよね。」

所長 「言えとるの。」

助手 「じゃあ、まず、出た順でいくとスバルのレヴォーグですかね。」

所長 「・・・レヴォーグか。」

助手 「なんか含みのある言い方ですね。」

所長 「うーん、なんちゅうか、期待しとったんじゃ。」

助手 「期待外れだったってコトですか。」

所長 「そうとまでは言わんが、思っとったのと違とったって感じかのぉ。」

助手 「どういう風に違ってたんですか。」

所長 「ほれっ、前にスカイラインの話をしとったときに、海外向けは海外向けでつくって、日本向けにこれぞスカイラインって感じのクルマをつくったら面白いんじゃないかって言っとったコトがあったじゃろ。」

助手 「確かそんな風なコト言ってましたよね。」

所長 「今度のレヴォーグってまさにそれをやっとるじゃろ。」

助手 「ですね。北米を重視して大きくなったレガシィを、日本市場向けに特化したのがレヴォーグですしね。」

所長 「考え方は大いに賛同できるんじゃ。それも国内専用をしつらえても採算が合うというのも、レガシィならではこそじゃしな。」

助手 「ですよね。日産なんかはどんどん海外市場向けのモデルばっかりになってますからね。その時代に国内専用って簡単にはつくれないですよね。」

所長 「じゃろ。スカイラインやレガシィなんかの人気モデルじゃったら、お客の要望に沿ったクルマを提供できれば可能性があると思うんじゃ。」

助手 「言えてますね。そう考えると国産車でも実現できそうなクルマって限られてますよね。数の出ないスポーツカーじゃ厳しいでしょうし。」

所長 「そういうコトじゃな。で、レガシィの市場を受け継ぐレヴォーグが登場したワケじゃ。じゃが実際見てみて、ワシが欲しかったのってこんなクルマじゃったかなぁ、と疑問に思ったんじゃ。」

助手 「まぁ、レガシィに乗ってない所長がどう思おうと関係ない気がしますけどね。」

所長 「悪かったのぉ。」

助手 「で、どう違ってたんですか。」

所長 「レヴォーグって、ようするにインプレッサをベースにして、レガシィの市場を受け継ぐクルマをつくったワケじゃろ。」

助手 「まぁ、簡単に言えばそういうコトになりますね。」

所長 「じゃが、インプレッサの小ささも、レガシィの面影もどっちも受け継いどらんじゃろ。」

助手 「えっ、所長の考えてたのって、小さいレガシィですか。」

所長 「そうじゃ。」

助手 「それは違うでしょ。初めっから誰もそんなのつくろうとしてませんよ。」

所長 「じゃあ、どんなのをつくろうとしとったんじゃ。」

助手 「レガシィが大きくなったんで、それに変わるワゴンをインプレッサベースでつくろうとしたトコまでは合ってますよ。ただ、そこでデカくなる前の4代目のレガシィをインプレッサベースでつくろうとしたんじゃなくって、新たなコンセプトのクルマを新規車種として導入したワケですよ。」

所長 「ふーん、それで。」

助手 「で、選ばれたのが、スポーツカーとワゴンの融合なんですよ。ようするにスポーティーなデザインのボディにワゴンのユーティリティーを足したモノ。そう考えてレヴォーグを見ると見え方が変わってくるんじゃないですか。」

所長 「うーん、確かにスポーティーな感じはレガシィより強まったのかもしれんが、それでもワシにはワゴンにしか見えんがの。スポーティと言ってもスポーツカーのそれと違って、いわゆるスポーツ風とかスポーツ調ってヤツじゃ。ホンダのストリームとなんら変わらんじゃろ。」

助手 「酷い言いようですね。レヴォーグとストリームのユーザーを同時に敵に回してしまいましたよ。」

所長 「スポーティにするのは構わんが、せっかくのワゴンの良さを殺してしもとるのがイカンわ。窓枠が下がっとるせいで、ハッチバックみたいに見えてしもとるじゃろ。あれじゃあ、ちっとも荷物が乗るような感じがせんわ。」

助手 「確かにウィンドウグラフィックが大きく変わったせいで、ワゴンらしくなくなりましたけど、積載性なんかは4代目のレガシィよりも増えてるんですよ。」

所長 「そんなのは当然じゃろ。4代目のレガシィを睨んでつくっとるんじゃから、数値で負けとるようなクルマ出せるワケないじゃろ。そうじゃなくって、見た目で機能を表現するのも立派なデザインじゃと思うんじゃがな。確かに狭そうに見えても、実際使ってみたらたくさん積めるっていうのも魅力的じゃとは思うんじゃ。じゃが、それはワゴンじゃなくって、スポーツカーでやればいいじゃろ。ワゴンをつくるんならそんなトリックのようなモンじゃなっくって、見た目でこれは使えそうって思えるモンの方がいいと思うんじゃがな。」

助手 「所長の言わんとしてるコトもわかりますけど、それって従来のワゴンの考えじゃないですか。レヴォーグはスポーツカーとワゴンのクロスオーバーだと考えれば、アリだと思いますけどね。」

所長 「そこがワシとお前の認識の違いなんじゃろうな。ワシにはスポーツ風のワゴンにしか見えんし、このクルマがいくら速く走れたとしても、スポーツカーを買うときに候補には挙がらんわ。」

助手 「じゃあ、WRXのワゴン版として考えたらどうですか。あれはちゃんとスポーツカーに見えるでしょ。ランエボのワゴンなんか、セダンと同等って感じに見えませんでしたか。」

所長 「ま、WRXのワゴンって考えたら、これでいいのかもしれんの。じゃがWRXのワゴンにレガシィの後釜が務まるとは思えんがの。」

助手 「でも実際の使い勝手でレガシィを上回ってますし、問題ないんじゃないですかね。」

所長 「そこも気に入らんトコじゃ。レガシィって4代目と比較しての話じゃろ。4代目が出たのっていつじゃ。もう10年も前の話じゃろ。10年前のクルマと比較してどうこうってどうなんじゃろうな。」

助手 「でもその10年前も前に出た4代目が評価が高いんですし、そこを目指すのは間違ってないと思いますけどね。これが先代の5代目を基準にしてたら、日本に合わないクルマになって本末転倒ですしね。」

所長 「違うんじゃ。ワシがいいたいのは10年の間の進化が見てとれんと言うとるんじゃ。例えばボディサイズを見ても4代目とほぼおんなじサイズで荷室容量も少し増えただけじゃろ。それを居住性や荷室容量はちゃんと確保して、もっと小さいサイズのクルマが出来んかったモンかのぉ。それでこそ10年の進歩が見てとれるってモンじゃろ。せっかく小さいインプレッサをベースにしとるんじゃから、何もサイズまで4代目と合わせるコトはないと思うんじゃがな。」

助手 「でもサイズを小さくしてしまうと安っぽく見られてしまうんじゃないですかね。ただでさえ、インプレッサベースにしたコトで負い目があるワケですし。」

所長 「そこをなんとかするのがコンセプトとかデザインのチカラじゃと思うんじゃがな。レヴォーグはレガシィのサイズにしたコトで緊張感が欠けとるんのじゃ。あと10センチほど短くすれば、もっと凝縮感が増すし、それを上手くデザインに生かせば、小さくても安っぽいクルマにはならんと思うんじゃがな。」

助手 「なんとかするとか、上手く生かせばって、もっと具体的に示せなければ、説得力がないですよ。」

所長 「別に誰かを説得しようなんて思っとりゃせんわ。単にレヴォーグを見て思ったコトを言っとるだけじゃ。」

助手 「それなら仕方ないですけど。」

所長 「あと、ようわからんのが。」

助手 「まだあるんですか。」

所長 「レヴォーグってエンジンが1.6リットルターボと2リットルターボの2種類あるじゃろ。どうして1.6リットルもGTにしたんじゃろうな。」

助手 「ターボモデルだからじゃないですか。」

所長 「あれって4代目にあった2リットルNAのダウンサイジング・ターボなんじゃろ。じゃったらGTよりも1.6Rとか1.6iにした方が良かったんじゃないかのぉ。それでボンネットの大層なエアインテークもなくした方がいいと思うんじゃがな。」

助手 「それはボクも思いましたね。でもエアインテークありきでデザインしてますし、なくしてしまったらのっぺりした顔になってしまうって、何かで読みましたよ。」

所長 「ふーん、じゃったら初めっからエアインテークなしでデザインしたらいいんじゃないのか。で、2リットルの高性能モデルに後付けっぽくエアインテークを付ければいいんじゃ。多少デザインのバランスが崩れとったとしても高性能の証しって感じで受け入れられると思うんじゃがな。」

助手 「それはそうかもしれませんね。」

所長 「ま、悪口ばっかりになってしもうたけど、レヴォーグを見てそんな風に感じたんじゃ。」

助手 「ホントに悪口ばっかりでしたね。」

所長 「なんて言うか、いいクルマじゃと思うから惜しいトコが目に付くんじゃ。」

助手 「いや、もうフォローはいいですよ。散々言ったあとですし、何を言ってもいいようには聞こえませんし。」

所長 「違うんじゃ。クルマ自体は素晴らしいと思っとるんじゃ。さっきも言ったように、海外重視になって日本の需要とズレてしまったレガシィの穴を埋めるために、国内専用で日本の市場だけを見てつくったトコとか、エンジンもようやく欧州並みのダウンサイジングターボを用意して、性能と燃費を両立させてきたじゃろ。」

助手 「確かに内容を見ると日本で乗るには最も適してるクルマかもしれませんね。」

所長 「おまけにすこぶる評判のいいアイサイトじゃろ。」

助手 「ヴァージョン3に進化してさらに良くなったみたいですね。この間の自動ブレーキの試験でも満点だったみたいですし。」

所長 「じゃろ。じゃから残念でならんのじゃ。XVとか新しいレガシィとかを見てもスバルのデザインって決して悪くないと思うんじゃがな。」

助手 「そう言えば所長、XVが出たときもあんまりいいコト言ってませんでしたよね。ひょっとするとレヴォーグもそのうち変わるんじゃないですか。あんまり偉そうに言わない方が身のためですよ。」

所長 「うっ・・・。」



参考資料
スバル・レヴォーグ(富士重工業株式会社)
開発ストーリー(富士重工業株式会社)
スバル・アドバンスドツアラー・コンセプト(富士重工業株式会社)
スバル・レガシィ(轟クルマ文化研究所)

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8 コメント

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Unknown (宇垂)
2014-11-14 18:55:14
さたろさん

インテリア、ダメですか。
あんまりじっくり見てなかったんで、気にならなかったんですけどね。

>BPの方がスポーティさと質感も上回っていると思います。

あらら、10年前のクルマに負けちゃってますか。それは具合悪いですねぇ。
実際買われる方には気になるところですし、要改善ですね。
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Unknown (さたろ)
2014-11-14 00:19:48
レヴォーグすごく気になっています。
ただ、インテリアがなー。
インプレッサべーすなのは仕方ないのかもしれないけど、もう少し新しいデザインにならなかったのかなーと。
BPの方がスポーティさと質感も上回っていると思います。
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Unknown (宇垂)
2014-11-06 20:39:42
simoさん

>復活を首を長ーくしてお待ちしておりました。

あんまり期待されると、プレッシャーが・・・。
ほどほどでやって行きたいと思ってます。

>以前に、4代目レガシィを販売していた側から言うと、
何か、玩具っぽさを感じてしまいます。

分かる気がします。玩具っぽいと言うか、レガシィに比べて子供っぽくなってますよね。


>全くクラスが違いますが、プレオからR2への代替が、ことごとく失敗した事を思い出してしまいます。

今のところ、好意的に受け止められているような気がしますが、初期受注分が掃けたあと、どうなるか気になりますね。
R2、好きなクルマなんですが、プレオ後継と考えれば、やっぱり厳しいですね。
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Re:復活おめでとうございます (宇垂)
2014-11-06 20:26:25
muchoさん

>ひさびさの更新、心待ちにしておりました。

いやいや、そんなたいそうな。
あんまり時間が取れないんですが、ひさびさの更新と言われないよう頑張ります(笑)

muchoさんもB.Yさんと同じく、欧州販売を視野入れたという意見ですか。
向こうで売る気なら、国内専売とか言ってないで、初めっから、持って行けば・・・って感じもしますね。
日欧で販売ならセールス的にもネガには写らないでしょうし。

>市場的にはミニバン→ワゴン回帰の傾向もあるそうで、トヨタや日産がどうするのか興味深いです。

ワゴン回帰ですか。これも知りませんでした。
個人的にはワゴン回帰大歓迎です。
ウィングロードはどうでしょうね。今の日産を見てるとあんまり期待できない気がしますが。

それよりもレクサス各車やスカイライン辺りにワゴンが設定されれば面白そうな気がします。
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Re:お久しぶりです (宇垂)
2014-11-06 20:14:00
B.Yさん

欧州向けですか。
その視点で見てませんでしたね。言われてみれば欧州なら商売になりそうなスタイルですよね。
今のところ国内専売らしいですが、今後新たな展開があるかもしれませんね。
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Unknown (simo)
2014-11-02 07:30:10
復活を首を長ーくしてお待ちしておりました。

以前に、4代目レガシィを販売していた側から言うと、
何か、玩具っぽさを感じてしまいます。

エンリコ・フミア氏が関った(フロントのデザイン)と言うデザインの上質さや気品が感じられないのです。

全くクラスが違いますが、プレオからR2への代替が、ことごとく失敗した事を思い出してしまいます。
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復活おめでとうございます (mucho)
2014-11-02 01:05:38
ひさびさの更新、心待ちにしておりました。

レヴォーグ、顔がイカチィのが好みではないですが、ボディラインはA4・Golf&Passat Variant・V40あたりの今時の欧州ツーリングワゴンに共通するスポーティ風味(≒実用車臭を消す表現)に追随してて、スバルもちゃんとマーケティングできるようになったんだなぁと感じておりました。メーカーは「日本のための」と連呼していますが、B.Yさんも書かれてる通り、欧州輸出も強く意識した商品企画のような気がします。

国内では現状アテンザワゴンしか競合がないですが、市場的にはミニバン→ワゴン回帰の傾向もあるそうで、トヨタや日産がどうするのか興味深いです。たとえば次期ウイングロードが今の商用ワゴン併用のデザインを踏襲するのか、はたまたレヴォーグっぽくスポーティに演出してくるのか、とか。
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お久しぶりです (B.Y)
2014-11-01 09:24:23
今の所日本専用で売ってても、ラゲッジネット付けたり左ハンドルにしたり顔をインプよりにしたりして欧州向けに輸出したいんじゃないですかねぇ。
レガシィはモロに北米向きな感じですし。
ゴルフやフォーカスのクラスのワゴンってならレガシィみたいな沢山積めるアピールのデザインよりスポーティーなデザインが受けそうな気もしますし。
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