轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

MAZDA 3

2019-06-28 18:03:59 | MAZDA
助手 「アクセラの後継、マツダ3がいよいよ発売しましたね。」

所長 「販売台数はともかく、話題性では今年一番の目玉じゃろうな。」

助手 「ですよね。あのデザインは何度見ても見とれてしまいますよね。」

所長 「コンセプトカーの何て言うたかの、そうじゃ魁(かい)コンセプトじゃったかの。まさかあのまんま出てくるとは思わんかったのぉ。」

助手 「言えてますね。ホイールハウスなんかは少し大人しくなりましたけど、ほぼあのままですからね。これまでカッコいいコンセプトカーの市販版に何度泣かされてきたコトか。」

所長 「言えとるの。ワシなんかは市販化される段階でどうせぼやけたモンになると高を括っとるからの。今度のマツダ3にはホント驚かされたわ。」

助手 「そのマツダ3ってネーミングはどうですか。」

所長 「いいんじゃないか。ワシに言わせると変更が遅いぐらいじゃ。先代で魂動デザインを採用したタイミングで変えてもよかったんじゃないかの。」

助手 「所長、前から言ってましたよね。」

所長 「マツダって世界のどこに出しても恥ずかしくない素晴らしいクルマをつくっとるのに、肝心の日本でのイメージがあんまり良くないじゃろ。」

助手 「最近はそうでもないと思いますけどね。昔はマツダ地獄とかいろいろ言われてましたけど。」

所長 「イメージを変えるのって案外時間かかるモンなんじゃ。今の評判の良さもクルマ好きにとっては当たり前の話でも、そうじゃないモンにとってはまったく浸透しとらんかもしれんしの。」

助手 「それはあるかもしれませんね。」

所長 「で、ファミリアからアクセラに変わっても新しいクルマが出た程度にしか思われんが、アクセラからMAZDA3に変わったら、ちょっとマツダってブランド自体が変わったように感じるんじゃないかのぉ。」

助手 「うーん、どうでしょうね。」

所長 「あとはそれを販売現場でどう表現するかじゃと思うんじゃがな。」

助手 「かもしれませんね。」

所長 「あと今回、一番感心したのが、ハッチバックとセダンのデザインを別々にしたトコじゃ。」

助手 「外装パネルはほとんど供用がないって話ですよね。あとハッチバックじゃなくってファストバックですけどね。」

所長 「先代のセダンを見て、何て綺麗なクルマなんじゃろうって思ってたんじゃが、新型と比べるとハッチバックのデザインに引っ張られとるのがよぉわかるんじゃ。」

助手 「窓枠が後ろ上がりになってるトコとか、確かにハッチバックありきのデザインですよね。」

所長 「新型はファストバックのあのデザインだと、どう考えてもセダンとして成立せんじゃろ。」

助手 「ですね。それでファストバックとの供用を諦めたコトにより、伸びやかなセダンらしいフォルムになりましたよね。」

所長 「じゃろ。で、ファストバックはセダンと供用を気にせんでよくなったから、思い切ったデザインにできたワケじゃ。マツダ規模のメーカーじゃと出来るだけ共用部分を多くしてコストを下げたいところじゃろうけど、わざわざ別々のパーツをつくってまでデザインにこだわっとるのが好感が持てるわ。」

助手 「確かにそうですね。ただちょっと気になるのが、デザインを優先したせいでファストバックの斜め後方視界がかなり見づらくなってるんですよね。ディーラーで乗ってみましたけど、後席に座ると閉じ込められてるようですし。」

所長 「うーん、確かにCセグメントのファミリーカーとしては、運転のしやすさや居住性って外せない項目じゃろうな。」

助手 「でしょ。特に安全に関わる部分は、デザインのためとはいえ蔑ろにするのはどうかって思うんですけど。」

所長 「何て言うか、このクルマをCセグメントのファミリーカーって定義するのがそもそも違っとるのかもしれんぞ。」

助手 「えっ、どういうコトですか。」

所長 「アクセラの後継である以上、Cセグメントのファミリーカーで間違いないんじゃろうけど、もしこれがスポーツカーじゃと考えれば見え方も変わってくると思うんじゃ。アクセラからの乗り替えを想定して、なんとか満足できる利便性を備えたスポーツカーって感じかの。」

助手 「うーん、日常使いをこなせるスポーツカーですか。そう考えるとある程度のコトは目をつぶれるような気もしますけど。」

所長 「今後、マツダのクルマがどうなるのか知らんが、別に既存のクルマと一緒にせんとイカンって決まりはないからの。すべてのモデルがスポーツカーでも別に構わんじゃろ。」

助手 「そう言われればそれもアリかもしれませんね。あともうひとつ気になったのが価格なんですけど、アクセラと比べると一番安いのが35万円も上がってるんですよね。以前なんかの記事で読んだんですけど、マツダはモデルチェンジのたびに少しずつ上級移行していくってハラらしいんですけど。」

所長 「ま、買うモンからすると安いに越したコトはないんじゃろうけど、どんどんクルマが良くなっていくのに価格はそのまんまがいいっていうのはいささか虫が良すぎるんじゃないかの。」

助手 「でもこれまでマツダを乗り継いできたヒトが、高くて手が出ないようになるのはどうかと思いますけどね。」

所長 「何もいきなり100万も200万も高くなるワケでもないじゃろ。一番安いのでいくらで買えるんじゃ。」

助手 「えーと、1.5リットルだったら218万円からですね。」

所長 「200万ちょっとでこんなクルマが買えるんじゃろ。安すぎるぐらいじゃ。」

助手 「でもアクセラ時代は100万円台からありましたけどね。」

所長 「先代のアクセラって歴代モデルでも一番きれいなデザインじゃったと思うんじゃ。おんなじクラスのクルマと比較しても欧州勢にすら負けとらん出来じゃったじゃろ。」

助手 「ま、所長の個人的な見解でしょうけど、ボクもそう感じましたね。」

所長 「その先代アクセラを遥かに凌いだのが今度のマツダ3じゃ。正直、今買えるすべてのクルマの中でこれよりも優れとるデザインのクルマって何台あるんじゃろうな。」

助手 「うーん、デザインの優劣って専門家でもない限り、個人の趣味の範疇になりますからね。ま、ボクの基準だと、1,000万、2,000万するスーパーカーでもマツダ3に勝てるクルマって思いつかないですけど。」

所長 「もっと言うとクルマの歴史が始まってから今まで出たクルマをひっくるめても、そうそうないんじゃないかのぉ。ワシは正直、マツダ3ってミウラやディノなんかと並べて語られるぐらいのデザインじゃと思うんじゃがな。」

助手 「ミウラにディノですか。これはまた大きく出ましたね。」

所長 「これで来年のワールド・カー・オブ・ザ・イヤーのデザイン部門を獲れんかったら、審査員、審査方法を疑うところじゃ。そんなクルマが200万ちょっとで買えるんじゃろ。4枚扉が付いとって実用にも使えるって。このクルマを新車で買える時代に生まれた幸運を噛みしめんとイカンような気がするんじゃがな。」

助手 「そ、そんな大げさな。」


参考資料
mazda3 ファストバック(マツダ株式会社)
mazda3 セダン(マツダ株式会社)
マツダ・アクセラ(轟クルマ文化研究所)
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16 コメント

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Unknown (ミスター某)
2019-06-29 02:13:47
こんばんは。

先にも申しました通り、先日試乗しました。
まず驚いたのが、車のドッシリとした安定感。
そして、高い静粛性に、ステアリングを始めとした自然でリニアな操作系。
下ろし立てで慣らしも済んでないまっさらな車両で、この滑らかな乗り心地(固いと言う意見も散見されますが、ダンパーが馴染んでいない状態でこの乗り心地は驚異だと感じます)。
後方視界につきましては、確かに良好とは言いがたいですが、カメラ機能や安全補助系の充実もあり、私はあまり気になりませんでした。

デザインだけではない、車としてしっかり作り込まれた力作だと思います。
今の愛車も相当に気に入ってますが、余裕があれば乗り換えたいと思ってしまいました。

あと、何かで読んだのですが、MAZDA3が先に完成し、それを元にコンセプトモデルの魁コンセプトに落とし込んだ、とか。
ここからして、他社とは異質なMAZDAの社風が垣間見れる気がします。
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Unknown (はる)
2019-06-30 14:48:29
マツダのディーラーの前を通ったら赤のマツダ3が展示されてましたが遠目でも凄い存在感でした。ドイツ車でもあんなオーラは出てません。確かに所長の言う通りあんな美しいのが200万から買えるってバーゲンプライスです。これがアテンザ、デミオの6、2ってなったらどうなるのか楽しみですね
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Unknown (momo)
2019-06-30 20:30:59
アクセラも出た時はカッコいい、完成度高いと思いましたがMAZDA3は全く次元が違いました。ドアハンドルにパーティングラインがないとか、バックドアを一枚の板金から取り出すとか一般的な日本企業のコスト品質を優先する風土と比して異様です。
クラスバングルから始まった、キャラクターライン偏重のデザインはこの車の登場により変わらざるを得ないと思います。たかが大衆車のファミリーカー、でこれだけの美しさ、パワー、割り切りをされてしまったら他社のデザイン部は、管轄内ではどうしようもないので社内組織のあり方すら変わるかもしれません。
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Unknown (宇垂)
2019-07-01 18:41:30
ミスター某さん

べた褒めですね。
ボクもディーラーに見に行きましたが、Cセグメントのファミリーカーという従来の概念ではくくれないクルマだと思います。

ま、凡庸なエンジンでも乗り心地であったとしても、あのデザインであればそれだけで欲しくなるクルマです。
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Unknown (宇垂)
2019-07-01 18:50:03
はるさん

マツダ3のデキを見てると、アテンザ(6)、デミオ(2)がどうなるのか、楽しみになりますよね。
特にアテンザは直6、FRになると言われていますし、これはマツダから目が離せません。
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Unknown (宇垂)
2019-07-01 19:06:09
momoさん

確かにこれまでエッジの立ったキャラクターライン全盛だったのが行くトコまで行った感がありますし、これから面で見せるクルマに移行していくかもですね。
個人的にもこの流れは大賛成です。
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Unknown (実用本意)
2019-07-02 08:36:06
興味深い内容だったのでコメントさせていただきます。

初代〜マイナーチェンジ頃のアクセラ/アテンザや、RX-8の後期型は正統派でとても格好良く、2000年以降ではデザインでは一番良い時代に感じますね。

今のマツダ3は色々引っ掛かりますねぇ……

“悪い意味で”欧州の後追いばかりしているように見えます。

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Unknown (宇垂)
2019-07-02 18:48:04
実用本位さん

やっぱりデザインの好みは人それぞれですね。

ヤフコメで「マツダ3は手足をもがれた生き物みたい」って書かれてたのを見て爆笑しました。

ボクは魂動デザインになってからの方がカッコよく見えます。
アクセラは初代、2代目はあんまり好みじゃありませんでした。

欧州の後追いに関してはその通りだと思います。
が、デザインに関しては負けていないと思いますが。
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Unknown (B.Y)
2019-07-04 12:40:45
スポーツカーとクーペ以外は実用的なデザインじゃなきゃとか思ってしまう自分はマツダ3は好みじゃ無いんですけど、綺麗なデザインだなぁと思います。

ここ数年の新車を見てるとアウディとかアルファロメオとか少し前のジャガーみたいな立ち位置に成りたいのかなぁ?と感じます。

いつか来た道な感じがするのはバブル期に世界的に評価されるマツダデザインと言われ、でも売れずフォード参加でフォード系デザインに成った流れに似てる様な?

フォード系の実用的なデザインのマツダ車が好みだった自分は捻くれて見てしまうからかもしれません。
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Unknown (宇垂)
2019-07-04 18:43:03
B.Yさん

>スポーツカーとクーペ以外は実用的なデザインじゃなきゃとか思ってしまう自分は

ボクもどっちかというと実用を満たしてこそのデザインだと思ってるんですが、マツダ3を見てるとそこを取っ払って見ないといけない気がしてきました。

>ここ数年の新車を見てるとアウディとかアルファロメオとか少し前のジャガーみたいな立ち位置に成りたいのかなぁ?と感じます。

目指してるトコはそんな感じなんでしょうね。
高級車じゃなくって高趣味車って気がします。

>フォード系の実用的なデザインのマツダ車が好みだった自分は捻くれて見てしまうからかもしれません。

魂動デザイン一辺倒じゃなくって、少し趣きの違うシリーズがあってもって気がしますね。ベリーサとか。
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