轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

トヨタ・シエンタ

2022-12-28 17:55:43 | TOYOTA
助手 「新しいシエンタですけど、よく売れてるみたいですね。」

所長 「じゃな。もう珍しく感じんぐらい街で見掛けるようになったわ。それにしても先代よりも随分ととっつきやすいデザインになったモンじゃのぉ。」

助手 「ですね。先代のトレッキングシューズでしたっけ、あのヘンテコなデザインと比べると100倍カッコいいと思いますよ。」

所長 「先代も見慣れてくると悪くないんじゃがな。じゃが初めに悪いイメージが付いてしまうと覆すのは大変じゃからのぉ。」

助手 「でも先代ってよく売れましたよね。」

所長 「じゃな。デザインの好き嫌いよりも、3列シートやスライドドアの利便性、適度なサイズと価格帯のバランス、そして何よりもトヨタっていう名前が効いとるんじゃろうな。」

助手 「ですね。初代のシエンタが途中の製造終了・復活を挟んで12年で41万台だったんですけど、先代は7年間で64万台も売れてるんですよ。」

所長 「ほぉ、そりゃ凄いの。」

助手 「思うんですけど、先代のシエンタのデザインにアレルギー反応を示したヒト達と、実際に購入したヒト達って違う層なんじゃないですかね。」

所長 「それはあるかもしれんの。買いもせんモンほど、あーだこーだ言いたがるモンじゃしな。」

助手 「どの口が言ってるんですか。それって思いっきりボク達のコトでしょ。」

所長 「まぁ、そう言われれば何にも言えんけどな。」

助手 「ところで新型のシエンタのデザインですけど、シトロエンに似ているとか、フィアット・パンダにそっくりだとか言われてますけど、どう思われます。」

所長 「うーん、初めて見たときはフランス車っぽいって感じたの。特定のクルマやメーカーは思い浮かばんかったんじゃけど。」

助手 「ボクはカングーとか、シトロエンのベルランゴなんかに近いのかなって思いましたね。けど実際に見比べてみたら、そんなには似てるとは思わなかったですけど。」

所長 「ライトやバンパー、窓枠の形状なんかを見比べてみたら、確かにフィアット・パンダに似とるところはあるんじゃ。じゃがそれを言い出したら大抵のクルマは何かに似とるんじゃけどな。」

助手 「そうかもしれませんね。」

所長 「それを悪事を見抜いたかのように『パクリ』と断定して叩く風潮の方が問題じゃと思うんじゃがな。前にも言うたと思うんじゃが、フィアット・パンダじゃと誤解させて買わすコピー商品とは違うモンじゃろ。」

助手 「でも他社のデザイナーが知恵を絞って描き出したデザインを簡単に真似るのも十分に問題だと思いますけど。」

所長 「ま、確かにそうじゃな。じゃが今回のシエンタの場合、開発段階でパンダに似とるという指摘ももちろんあったと思うんじゃ。」

助手 「見てきたみたいに言いますね。ま、自動車メーカーの開発で他社のデザインに無頓着なヒトはいないでしょうけど。」

所長 「敢えてライトのカタチを変えるとかしてもよかったのかもしれんが、そうすると出来の悪いマイナーチェンジみたいになってしまうじゃろ。じゃから多少の批判はあったとしても一番いいと思えるモンを出してきたんじゃないかのぉ。」

助手 「うーん、言われてみればそんな感じなのかもしれませんね。」

所長 「だいたいシエンタがパンダを真似る意味がわからんわ。」

助手 「ま、サイズ的にも価格的にも下のクラスのクルマですし、安っぽく見られるかもしれませんね。でもイタリア車って言ったらやっぱり憧れの存在ですし、意味がわからんコトはないですけどね。」

所長 「うーん、どうなんじゃろ。昔のイタリア車って言ったらそりゃキラキラした存在じゃったけど、今のパンダを見て憧れを抱くかの。どっちかって言うと日本でいう軽自動車みたいな普段履きの下駄とかサンダル的なところが魅力のクルマなんじゃないか。」

助手 「ですね。」

所長 「それにパンダが出たのっていつの話じゃ。」

助手 「えーっと、2011年のフランクフルトで発表みたいですね。そんなに前に出たクルマなんですね。日本での発売は2013年からです。」

所長 「10年以上も前に出たクルマなワケじゃ。これから売ろうとしとるクルマをそんな古いのに似せるってあり得んじゃろ。出た瞬間に古臭く感じてしまうわ。」

助手 「確かにそうですね。」

所長 「これがミラジーノとかじゃったらわかるんじゃ。ミニに似とるところが売りじゃからの。それを国産の軽の新車で乗れるのがキモじゃろ。」

助手 「ミラジーノは一応コンパーノが元ネタってコトになってますけどね。」

所長 「そりゃダイハツがミニをモチーフしたとは言えんじゃろ。ワシでもそう言うわ。」

助手 「ま、それもそうですね。」

所長 「話をシエンタに戻すんじゃが、何かに似せるとは考えとらんがフランス車っぽい感じにしようとは考えとったんじゃないかのぉ。」

助手 「どういうコトですか。」

所長 「トヨタのミニバンのラインナップってアルファードにヴェルファイアがあって、その下にノアとヴォクシー、その下がシエンタで、あと2列シートのルーミーって感じじゃろ。」

助手 「ですね。あとハイエースワゴンですかね。昔はウィッシュやアイシス、イプサムにガイア、カローラ・スパシオなんてクルマもありましたけど、随分とシンプルになりましたね。」

所長 「今はSUVがそんな状態じゃけどな。」

助手 「ですね。」

所長 「で、アルファード、ヴォクシーにルーミーってどれもカクカクしとって硬質な感じのデザインじゃろ。スタイリッシュと言えば聞こえはいいんじゃが、ようは威圧的で厳ついデザインじゃ。ま、それが今の日本人が求めとるカタチなんじゃろうけど。」

助手 「ですね。カスタムとかエアロとかワルっぽいのが、みんな好きですよね。」

所長 「で、その方向性で拾えん層、特に小型のミニバンなんかはファミリー層だったり、奥様の普段の足だったりするんでもっと柔らかいデザインにしたかったんじゃないかのぉ。」

助手 「柔らかいデザインですか。」

所長 「そうじゃ。世界的に見て今のクルマってドイツ車っぽい硬質でエッジの効いたデザインが幅を利かせとるんじゃけど、フランス車やイタリア車、特にシトロエンなんかは硬いクルマを柔らかく見せるデザインを採用しとるんじゃ。」

助手 「わかります。」

所長 「そのテイストとシエンタって相性が良かったんじゃろうな。で、向うに出さん国内専用車種じゃし思い切ってフランス車っぽいテイストに振ってきたっていうのが正解なんじゃないかのぉ。」

助手 「ありそうですね。」

所長 「ま、フィアット・パンダに似とると言えば似とるし、言われるのも無理はないんじゃが。」

助手 「ですね。まぁユーノス・ロードスターも出たときはロータス・エランのパクリって言われてましたし、初代のプリメーラもオペル・ベクトラそっくりって言われてましたよね。今はどっちもすっかり名車扱いですし、誰もそんなコト言わなくなりましたけどね。」


参考資料
トヨタ・シエンタ(トヨタ自動車株式会社)
トヨタ・シエンタ(先代)(轟クルマ文化研究所)
トヨタ・シエンタ(初代)(轟クルマ文化研究所)
フィアット・パンダ(轟クルマ文化研究所)
コメント (12)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日産 SAKURA | トップ | トヨタ・プリウス »
最新の画像もっと見る

12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (所長のファン♪)
2022-12-31 20:12:31
わたしはイカつい顔つきの車よりおとぼけ顔の車が好きなので、今度のシエンタわりと好感を持っています
ベルランゴのほうがカワイイと思っちゃうけど笑
Unknown (たかべえ)
2023-01-01 16:25:20
シエンタとりあげてくださりありがとうございます。キープコンセプトでいくのは簡単ですが、シエンタみたいにモデルチェンジのたびに違うデザインにチャレンジするのは大変だったと思います。二代目も好きで乗っていますが、三代目も買いたいなと思っています。(半導体不足が解消して、2~3か月で納車されるようになってからですね)
Unknown (宇垂)
2023-01-04 15:10:35
所長のファン♪さん

おとぼけ顔いいですね。
おとぼけ顔ばかりになれば煽り運転も減りそうな気がします。
Unknown (宇垂)
2023-01-04 15:15:17
たかべえさん

2代目シエンタにお乗りなのですね。
いやぁ、いいクルマですよね、2代目。だんだんカッコよく見えてきました。
Unknown (たかべえ)
2023-01-08 06:23:24
宇垂? 様

読者の車種にかかわらず是非毒舌は維持を

ディする口調が特徴だと思っているので・・・
Unknown (CCS)
2023-01-11 22:57:56
パンダのデザインテーマが「スクワークル」(スクエア+サークル)。そして新型シエンタのそれは「シカクマル」(四角+丸)。確実に意識していると思います笑。

でも新型シエンタのデザイン、オラついてなくて、飽きがこなそうな良いデザインですね。

CMのわんちゃんも可愛い!
Unknown (宇垂)
2023-01-28 16:15:57
たかべえさん

>読者の車種にかかわらず是非毒舌は維持を
>ディする口調が特徴だと思っているので・・・

いやいや毒舌とかディするとか、全然そんなつもりはないんですよ。思ったことを言ってるだけで。
シエンタの2代目、知人が乗っててじっくり見る機会が増えたのもあるんですが、最近よく見えてきてるのは本当ですよ。
Unknown (宇垂)
2023-01-28 16:23:53
CCSさん

>パンダのデザインテーマが「スクワークル」(スクエア+サークル)。そして新型シエンタのそれは「シカクマル」(四角+丸)。確実に意識していると思います笑。

みたいですね。
でもトヨタがパンダを意識しているのであれば、「シカクマル」なんて言葉を絶対使わないと思うんですよ。
あえて使ってきたのはパンダを全然意識していないというアピールなのかも。
Unknown (moto)
2023-02-13 23:07:17
どう繕ったところで、パクリほパクリでしよ
デザイナーっていうのはそのためにいるんじゃないですか
中身や生産技術がどんなに優れていても、パクリは軽蔑します
Unknown (元鏡屋)
2023-05-01 14:12:10
よく見かけるようになりました。
近所のカーシェアにガソリンのベースモデルが導入されたようなので、タイミングあらば乗ってみようと思います。

全体的にラテン系なノリにしたかったんでしょうね。Pandaに似てるのも偶然か必然かはわかりませんが‥個人的にはファンカーゴや2代目ポルテ、リアまわりは初代シエンタのテイストを感じます。

実はデザインも含めダイハツに委託して作ってもらってるとならばユルさも何となく納得です。

コメントを投稿

TOYOTA」カテゴリの最新記事