ヴァイオリン ~ 雑音ラプソディ ~

50代後半になって突然始めたヴァイオリン。
ヴァイオリンやピアノなど
音楽に関することを綴っていきます。

ショパン ファイナル: 反田恭平さん・会心の演奏

2021-10-19 | ピアノ
ショパン国際ピアノコンクールの本選が始まりました。
日本時間の10/19(火)の夜中から明け方まで、次の4名の順で演奏しました。
曲はいずれも、ショパン・ピアノ協奏曲第1番ホ短調作品11 

1. カミール・パホレック(ポーランド)
2. ハオ・ラオ(中国)
3. 反田恭平(日本)
4. レオノーラ・アルメッリーニ(イタリア)

ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団
指揮: Andrzej Boreyko 

演奏スタイルは4者4様です。とても興味深いです。
特に、ハオ・ラオさんの演奏を聴いた後で、反田恭平さんの演奏を聴くと、大きな違いがあるのがよくわかります。
反田さんの演奏、素晴らしくて言葉が見つかりません。

4人について演奏順に投稿します。

パホレックは、恐らくこの楽団とは共演経験があり、協奏曲1番も何度か楽団と演奏経験があるのではないか、慣れている風に見えました。演奏スタイルも堂々として落ち着いています。今までの小品演奏もそうでしたが、所謂、伝統的なショパンの演奏スタイルを保っているので、安心して聴けるタイプです。

・17歳のハオ・ラオ。オーケストラとの共演が初めてなのか、この協奏曲1番をオーケストラと演奏するのは初めてなのか、ステージ下でそわそわして緊張している様子でした。名前がアナウンスされ、会場に拍手の音が聞こえるとステージへ上がろうとしますが、指揮者のボレイコさんが、ヴァイオリンのチューニングがあるというようなジェスチャーをして静止します。
ステージに上がり、演奏が始まると、オケの演奏を注意深く聴いています。指揮者の動きを注視しながら、ピアノの演奏を始めた途端、生き生きとした音色が飛び出します。第一楽章ではオケが少し速度を合わせているかな、という感がありましたが、次第にオケと息が合ってきます。第三楽章は、笑顔まで出てくるほど溌剌とリードしていきます。見事に最後まで弾き切ったことで会場から歓声が上がります。この子は天才ではないかと思った40分でした。これから経験を積んで、演奏に幅が出てくることを期待しています。

・休憩をはさんで、反田恭平さんの演奏です。
前述のラオさんの若くみずみずしい演奏と反して、ソフトで趣があり重厚なタッチで始まる反田さんの演奏。彼らしさが随所に現れて良い流れです。指揮者とオーケストラとも息がピッタリ。
終盤になるともう絶好調。速いテンポでどんどん走り抜けて止まりません。途中で笑みが見えました。最後のフィナーレ、反田さんがピアノから手を離した瞬間、指揮者もオケもあと1~2小節残っているのに、大きな拍手と歓声が沸き起こります。指揮者も女性のコンサートマスターも満面の笑顔。立ち上がって拍手をする観客。
このシーンを何度も何度も見返しています。
ほんとうに素晴らしい演奏でした。

後でわかったことですが、反田さんは、指揮者のボレイコさんとは、まさにこのショパンの協奏曲第1番をツアーで共演した経験があるのですね。親しそうに話してましたし、息が合うはずです。
反田さんの話によると、
「協奏曲をまるで交響曲のように振る指揮者もいますが、ボレイコさんは違います。きちんとソリストと一緒に、協奏曲として音楽を作ってくれる素晴らしい指揮者てす…」(ピティナ広報部記事より)

・これだけの素晴らしい演奏の後で、次はイタリア女性のアルメッリーニさん。情感のこもった温かい演奏で、力強さの中に女性らしさを感じる素敵な演奏でした。演奏が終わった瞬間、観客の拍手と喝采の嵐が止みません。コンサートマスター、オーケストラのメンバーも全員立ち上がり、彼女に敬意をもって挨拶します。一旦ステージから下がり、楽屋へ向かう階段の途中で疲れて座り込んだところで、指揮者にカーテンコールで呼ばれます。
彼女は29歳。ショパンコンクールに参加できるのは、これが最後なのです。

コンテスタントそれぞれにドラマがあって感慨深いです。

本当に良い演奏を聴くことができました。💛









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