10月21日に「ブーニンの9年の空白を越えて」というドキュメンタリー番組がNHKBSで放送されました。
テレビに釘付けになったほど良い番組です。
見逃した方は再放送があります。
11月5日㈯ 23:00〜 NHKBSプレミアム
また、すでにご覧になった方は、その中で放送された9年ぶりの復帰公演の完全版が翌日に放送されるそうです。
11月6日㈰ 23:20〜 NHKBSプレミアム
翌日仕事のある方は、録画しておいた方が良いでしょうね。
1985年、ショパンコンクールに新星のごとく現れ優勝したブーニン。その後NHKで放送されたドキュメンタリーを機に、日本でブーニン・ブームが起こりました。
私は、クラシック音楽は普通に好きであって、外国の音楽家に対しビートルズのように熱狂的になることにあまり興味はなかったですね。あまりブームには乗らない性質ですし、仕事も忙しかったこともあり、一度もブーニンの来日コンサートへは行ったことはありません。
あのドキュメンタリーを見て、亡命や怪我など大変な経験をされてきたことを知って、ブーニンへのイメージが変わった上に、人生とはわからないものだなと考えさせられました。
ところで、今年の2月に私がコンサートで行った、世田谷区岡本にある松本記念音楽迎賓館には、ブーニンゆかりのピアノが保管されていると以前聞いたことがあります。
1909年製のユリウス・ブリュートナーのピアノです。
このピアノは、当時のドイツ皇帝ヴィルヘルム2世が、その従妹であるロシア最後の皇帝ニコライ2世の妻に贈ったものと言われており、ロシア革命勃発と共に、ある女官の手に渡り、その後1970年代末に彼女が亡くなるまで大切に保管されていたそうです。
その後、1982年このピアノが闇で売りに出され、ブーニンの名付け親であるパステルナーク夫人が手に入れブーニンに贈ったとされています。ブーニンはこのピアノで練習を重ね、ロン=ティボーコンクール(1983年)とショパンコンクール(1985年)の2つを制覇したという、ブーニンにとっては思い入れのあるピアノです。
ジャーナリストであるブーニン夫人の栄子さんが、このピアノに関する興味深い記事を書いています。
栄子さんによると、ライプツィヒで生まれたこのピアノは、レニングラード(現在サンクトペテルブルク)からモスクワへ、そしてハンブルク、ケルンを経て東京へと移動し、ブーニンの元へ戻ったそうなのですが、ブーニンが母親とソ連(現在ロシア)から亡命した後、ピアノはどのような運命を辿ったのか疑問が残ります。
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