
長崎の原爆投下を基軸にして、核反対を画面一杯に映像を通じて、描いたもの
です。
最後のシーンは素晴らしい。このシーンのために、この映画はあると言っても
過言ではないよ。嵐の中、原爆の日に返り、長崎に向うおばあちゃん。傘は
ひっくり返ります。それでもお祖母ちゃんは進み、バックには「童は見たり~
野中のバラ~」の合唱が・・・






黒澤監督の素晴らしさは、映像美。映像のキャンパスに見事な絵画を緊張感を持って
表現してくれています。



冒頭の雲は、暗示するものは明らか。



そして民家の庭が見える座敷でおばあちゃんと孫たち。虫の声が絶え間なく。
こんな景色を自分でも懐かしく思い出します。


子供達は、長崎の町を訪ねて、原爆の爪あとに涙を流します。
「この中にきっと死んだおじいちゃんはいるよ」と・・・


黒澤監督の絵画的な表現がいくつか出てきますが、この森の中の焼けた木の
シーンでは、木の周りに紅い花が血の海のように咲き乱れています。



この夏、九州ツアーで長崎を訪れて平和祈念公園や原爆記念館に行ったときの
気持ちを改めて思い出しました。無差別に一般の人々を殺戮する行為は絶対
許してはならないと思います。先日、広島に投下したB29「エノラゲイ」の
機長が亡くなったというニュースもあったね。死ぬまで、原爆投下の非は
認めなかったとか。自分達が、自分の家族が、同じような目にあったら彼は
どう思うでしょうか。

黒澤監督の傑作は、時代劇「七人の侍」「用心棒」「椿三十郎」だと私は
思います。これらは娯楽性もあって映画の楽しみを与えてくれます。



かたや、この八月の狂詩曲は、決して楽しい映画ではありませんが、映像の
素晴らしさと反核のメッセージを明確に伝えてくれる素晴らしい映画です。
日本は、もっとこのような反核の映画を作るべきと思います。

大好きなスピルバーグの映画に「太陽の帝国」があります。これも戦争に
苦しめられる子供を描いた映画です。舞台は中国ですが、遠く原爆の光が
見えるシーンがあることを覚えていますか


<<Tiger Fun Cinema>>