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映画「杉原千畝」@109シネマズ木場

2015-12-12 23:55:29 | 映画感想
2015/12/9、109シネマズ木場。
スクリーン1、プレミアムシートのH列に空きがあったので選択。

観客は平日昼間にしてはまずまず多く、レディスデイでもあったので
単身の若い女性も多かったが、全体に観客の年齢層は高目。

**

唐沢寿明、小雪、小日向文世、滝藤賢一、浜田岳、二階堂智。



1955年、一人のユダヤ人が外務省を訪れ「センポ・スギハラ」の消息を尋ねた。
外務省の役員(滝藤賢一)はそのような人物は外務省に居ないし居たこともないと答える。



時は1934年、満州国に赴任していた杉原千畝(唐沢寿明)は、
ソ連との北満鉄道の譲渡交渉に関し、関東軍将校(塚本高史)の暴走に嫌気がさし
辞表を提出して帰国する。

次の赴任予定地は杉原の希望であるモスクワだったが、満州での件で
ソ連から「好ましからざる人物」と認定され、入国を拒否される。
帰国した杉原は友人の菊池(板尾創路)の妹の幸子(小雪)に惹かれていく。

杉原は新設されるリトアニア領事館に赴任となる。
リトアニアでは、リトアニア人で実際はゲシュタポのスパイ、グッジェを秘書官に、
ポーランドのスパイのペシュを運転手に雇い、ソ連の動向を探っていく。

ポーランドからはナチスの迫害を逃れるユダヤ人難民がリトアニアの日本領事館にも
殺到していたが、本国からの指令は資金と最終目的国のビザがなければ
日本通過ビザを出さないと言うものだった。

やがてソ連がバルト三国に侵攻、リトアニアにもソ連軍が入る。
ソ連の指示で各国の大使館、領事館が閉鎖になる中、ついに杉原は、
意を決してユダヤ人難民に日本通過ビザ発行を決断する。

***

ソ連やナチスドイツの進攻、行軍も描かれるし、ユダヤ人虐殺のシーンも出てくるが、
戦闘シーンはなく、物語は淡々と進む。

小雪の立ち振る舞いは病的でも何でもないが「風立ちぬ」のシーンを思い出した。
実際の幸子夫人はもう少し小柄な女性ではなかったか。
千畝との2ショットはやや不自然な感じもあり、唐沢寿明との身長差(5cm)が
もう少しあったほうが良かったかもしれない。

外国人キャストは全員初見だが、本国ではかなり有名どころらしい。



ビザの発給によって、多くのユダヤ人難民を救った杉原千畝。
しかし、劇中でも何度も語られたようにビザは「単なる紙切れ」に過ぎない。

杉原だけでなく、多くの日本人の手によってその意思が継承されていったこと、
さらに言えば、日本国内においても在日ユダヤ人会やその他多くの日本人による
協力があり、ユダヤ人難民の命が繋がれていったのだ。

確かに杉原が外務省の意に反するほどの多くのビザを発給したことは間違いないだろうが、
全くの独断で本国の決定に反して発給をし続けたとも思えない。

そこには、表向きは難民受け入れに異を唱えながらも、容認していた
日本国の意思が少なからず反映されていたとみるべきだろう。

しかしながら、いずれの見方も杉原千畝の業績を軽んじさせるものでは
ないことは言うまでもないだろう。



ところで、「ユダヤ人」「ユダヤ民族」とは何なのだろうか。

個人的には「ユダヤ人」とは「ユダヤ教徒」なのではないか、と思っているが、
民族とは文化的な特徴を持って、他と区別される集団を指すため、
ユダヤ教徒をユダヤ民族と呼んで差支えないのかもしれない。

歴史の示すところによれば、中世までは「ユダヤ教徒」=「ユダヤ人」であり、
現在は「ユダヤ人から生まれた」「ユダヤ教徒」のand/orで、
しかも人や国や場所によって考え方が異なるとも言われる。

例えば、ユダヤ人の母から生まれた人のみをユダヤ人とする場合、
両親のいずれかがユダヤ人であればユダヤ人とする場合、
キリスト教に改宗してもユダヤ人とする場合としない場合があるようだ。

ただ、民族は人種ではないし、元々、人類学上「人種」という分類は存在しない。
人種差別は良くないからというような理由ではなく、
科学的、分子生物学的に人種を定義づけることができないから。

つまり、もともと「ユダヤ人」「ユダヤ民族」は存在しても
「ユダヤ人種」は存在しない。

ヒトラーも人類学的にはユダヤ人に単一人種としての共通の特徴はないとしながらも、
ユダヤ人を人種であると考え、ユダヤ教徒かどうかで区別していたようだ。

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