2012/1/25、虎ノ門のソニーピクチャーズ試写室。
SPEが聖路加タワーにあったときにそこの試写室に行ったことはあるが、
移転してからは初めて。
試写室の様子は別記事で。
BD/DVD発売記念試写会ということで、
感想記事をアップすることが参加条件でもある。
**
サミュエル・L・ジャクソン、キャリー・アン・モス、マイケル・シーン
**
展開は上にあげた3人だけ分かれば良い。
TVでは爆弾テロ犯としてヤンガー(マイケル・シーン)の情報が流され、
犯人を見た人、写真の場所を知っている人などの情報提供を求めていた。
FBI対テロ捜査班のチーフのヘレン・ブロディ(キャリー・アン・モス)は
新人のフィリップスに不審人物の調査を命じる。
その人物はヘンリー・ハンフリーズ(サミュエル・L・ジャクソン)
ところが、ブロディに対し関係筋と名乗る男からヘンリーの捜査を止めるよう電話が入る。
ブロディはヘンリー宅を訪ね、フィリップスを救出、ヘンリーを逮捕する。
しかし、尋問中CIA幹部を名乗る男が登場し、ヘンリーを解放して連れ去る。
ブロディの上司のソーンダースはブロディと部下を連れて特別任務に赴かせる。
そこはポールソン将軍(ホームズ・オズボーン)が指揮を執っている秘密の場所で、
将軍はブロディや別途呼び出されていたヘンリーにヤンガーの告白ビデオを見せる。
それは要求に応じないと土曜の正午に3つの核爆弾を爆発させるというもので、
その時すでに火曜日。残された時間は4日間だった。
実は既にヤンガーは逮捕されていて軍による拷問がされていた。
ヤンガーは元軍の特殊部隊で、爆破物や核物質に詳しく、
ロシアの核施設査察経験があり核物質を盗んだこともわかっていた。
ヘンリーこと「H」は凶悪犯専門の拷問屋。
ヤンガーに爆弾のありかを吐かせるのが目的で呼ばれた。
Hはいきなり斧でヤンガーの小指を切り落とす。
ヤンガーは吐かないため、Hの拷問はどんどんエスカレートする。
後々Hを告訴するためとしてブロディはそれを見続けることを指示される。
Hはブロディに「飴と鞭」でヤンガーを懐柔することを要求。
ブロディはHと交代しながらヤンガーに自白を求める。
果たしてブロディやHはヤンガーに爆弾のありかを吐かせることは
できるのだろうか。
はたまた、核爆弾の存在は本当なのだろうか。
時間はどんどん無くなり、拷問はますますエスカレートしていく。
**
テロに対峙した場合、正義とは一体何なのか、を考えたんでしょうね。
ヤンガーの目的はアメリカ国民への復讐ではなく、
アメリカ軍やアメリカ政府に対する憎悪を発散させるもののようですが、
社会をパニックに陥れることもせず、目的は達成できたんでしょうか。
全米ではショッキングなラストが災いして劇場非公開になったということですが、
それほどショッキングとも思えませんでした。
*
原題はunthinkable、想像できないようなこと、考えられないこと、
転じて、受け入れがたい、考えるに値しないこと。
「想定外」ってところですが、核テロがそうだということではないようで、
劇中では拷問をこれ以上続けると、unthinkableなことをするぞとか言ってました。
FBIのジャクソン捜査官(ブランドン・ラウス)は、2006年の「スーパーマン」
**
ところで、映画の中で示された核爆弾は、1.5ポンドの核物質を入れた高圧ボンベを
3本用意し、これを起爆装置の周りに3本セットしたような形状になっていましたが、
これでは起爆装置の作動には成功しても核爆発は起こりません。
核爆発を起こすのに必要な核物質の最低量を臨界量と言い、
これより少ないと核分裂は起こっても爆発的連鎖反応には至りません。
放射線(特に中性子線)を大量に出す危ない物質に変わりはありませんが。
核爆発を起こさせるには、臨界量より少ない核物質を複数個用意し、
それを通常火薬の爆発などで、一つにくっつける必要があります。
つまり、核物質を通常火薬の周りにおいてもダメ。
あの状態で起爆装置にスイッチが入り、通常火薬が爆発しても
ボンベ内の核物質が周辺にばら撒かれるだけで核爆発は起こりません。
あのラストでは周りが放射性物質で汚染され、あの場所にいた兵隊が
放射線障害で死んでしまうだけ。
それではどうすればいいでしょうか。
臨界量以下の核物質の周りに通常火薬を置いてその爆発で
一気に押し固める(=爆縮)方法があります。
これは圧縮(=密度の上昇)によって臨界量を小さくすることができ、
有効な方法ですが、通常火薬の制御が難しく、また爆弾の形状は球状となります。
さらに容器は簡単に破裂しない強度が必要です。
また、複数の臨界量以下の核物質を並べて置き、直線状の外側に通常火薬を置いて
それを破裂させ、核物質を押す形で一つにし、臨界を超えさせる方法もあります。
比較的単純な方法で作れるし、ボンベ(=円筒形)の管内に核物質を仕込むのであれば、
この方式が合致すると思われますが、核物質が大量に要るのと、
爆発させる前に複数の核物質がくっついてしまわないような構造が必要です。
映画では最大18ポンド(8kg強)の核物質が紛失したといってました。
確かに現在の技術では2kgのプルトニウムがあれば、
原爆が1個作れるらしいですから、4つ作れる可能性はありますが、
それには爆縮型の爆弾が必要で、前述のように映画のような形の爆弾にはなりません。
SPEが聖路加タワーにあったときにそこの試写室に行ったことはあるが、
移転してからは初めて。
試写室の様子は別記事で。
BD/DVD発売記念試写会ということで、
感想記事をアップすることが参加条件でもある。
**
サミュエル・L・ジャクソン、キャリー・アン・モス、マイケル・シーン
**
展開は上にあげた3人だけ分かれば良い。
TVでは爆弾テロ犯としてヤンガー(マイケル・シーン)の情報が流され、
犯人を見た人、写真の場所を知っている人などの情報提供を求めていた。
FBI対テロ捜査班のチーフのヘレン・ブロディ(キャリー・アン・モス)は
新人のフィリップスに不審人物の調査を命じる。
その人物はヘンリー・ハンフリーズ(サミュエル・L・ジャクソン)
ところが、ブロディに対し関係筋と名乗る男からヘンリーの捜査を止めるよう電話が入る。
ブロディはヘンリー宅を訪ね、フィリップスを救出、ヘンリーを逮捕する。
しかし、尋問中CIA幹部を名乗る男が登場し、ヘンリーを解放して連れ去る。
ブロディの上司のソーンダースはブロディと部下を連れて特別任務に赴かせる。
そこはポールソン将軍(ホームズ・オズボーン)が指揮を執っている秘密の場所で、
将軍はブロディや別途呼び出されていたヘンリーにヤンガーの告白ビデオを見せる。
それは要求に応じないと土曜の正午に3つの核爆弾を爆発させるというもので、
その時すでに火曜日。残された時間は4日間だった。
実は既にヤンガーは逮捕されていて軍による拷問がされていた。
ヤンガーは元軍の特殊部隊で、爆破物や核物質に詳しく、
ロシアの核施設査察経験があり核物質を盗んだこともわかっていた。
ヘンリーこと「H」は凶悪犯専門の拷問屋。
ヤンガーに爆弾のありかを吐かせるのが目的で呼ばれた。
Hはいきなり斧でヤンガーの小指を切り落とす。
ヤンガーは吐かないため、Hの拷問はどんどんエスカレートする。
後々Hを告訴するためとしてブロディはそれを見続けることを指示される。
Hはブロディに「飴と鞭」でヤンガーを懐柔することを要求。
ブロディはHと交代しながらヤンガーに自白を求める。
果たしてブロディやHはヤンガーに爆弾のありかを吐かせることは
できるのだろうか。
はたまた、核爆弾の存在は本当なのだろうか。
時間はどんどん無くなり、拷問はますますエスカレートしていく。
**
テロに対峙した場合、正義とは一体何なのか、を考えたんでしょうね。
ヤンガーの目的はアメリカ国民への復讐ではなく、
アメリカ軍やアメリカ政府に対する憎悪を発散させるもののようですが、
社会をパニックに陥れることもせず、目的は達成できたんでしょうか。
全米ではショッキングなラストが災いして劇場非公開になったということですが、
それほどショッキングとも思えませんでした。
*
原題はunthinkable、想像できないようなこと、考えられないこと、
転じて、受け入れがたい、考えるに値しないこと。
「想定外」ってところですが、核テロがそうだということではないようで、
劇中では拷問をこれ以上続けると、unthinkableなことをするぞとか言ってました。
FBIのジャクソン捜査官(ブランドン・ラウス)は、2006年の「スーパーマン」
**
ところで、映画の中で示された核爆弾は、1.5ポンドの核物質を入れた高圧ボンベを
3本用意し、これを起爆装置の周りに3本セットしたような形状になっていましたが、
これでは起爆装置の作動には成功しても核爆発は起こりません。
核爆発を起こすのに必要な核物質の最低量を臨界量と言い、
これより少ないと核分裂は起こっても爆発的連鎖反応には至りません。
放射線(特に中性子線)を大量に出す危ない物質に変わりはありませんが。
核爆発を起こさせるには、臨界量より少ない核物質を複数個用意し、
それを通常火薬の爆発などで、一つにくっつける必要があります。
つまり、核物質を通常火薬の周りにおいてもダメ。
あの状態で起爆装置にスイッチが入り、通常火薬が爆発しても
ボンベ内の核物質が周辺にばら撒かれるだけで核爆発は起こりません。
あのラストでは周りが放射性物質で汚染され、あの場所にいた兵隊が
放射線障害で死んでしまうだけ。
それではどうすればいいでしょうか。
臨界量以下の核物質の周りに通常火薬を置いてその爆発で
一気に押し固める(=爆縮)方法があります。
これは圧縮(=密度の上昇)によって臨界量を小さくすることができ、
有効な方法ですが、通常火薬の制御が難しく、また爆弾の形状は球状となります。
さらに容器は簡単に破裂しない強度が必要です。
また、複数の臨界量以下の核物質を並べて置き、直線状の外側に通常火薬を置いて
それを破裂させ、核物質を押す形で一つにし、臨界を超えさせる方法もあります。
比較的単純な方法で作れるし、ボンベ(=円筒形)の管内に核物質を仕込むのであれば、
この方式が合致すると思われますが、核物質が大量に要るのと、
爆発させる前に複数の核物質がくっついてしまわないような構造が必要です。
映画では最大18ポンド(8kg強)の核物質が紛失したといってました。
確かに現在の技術では2kgのプルトニウムがあれば、
原爆が1個作れるらしいですから、4つ作れる可能性はありますが、
それには爆縮型の爆弾が必要で、前述のように映画のような形の爆弾にはなりません。
>核爆発を起こすのに必要な核物質の最低量を臨界量と言い、
>これより少ないと核分裂は起こっても爆発的連鎖反応には至りません。
今思いついたのですが、起爆装置が作動しても爆発しない爆弾というのは巧妙な設定で、ラストのショッキングシーンの後、世の中は実は無事…って事が、分かってる人には分かるって仕組みだったりしませんかね????
では、また来させていただきます。今後ともよろしくお願い致します。
うーん、ありえなくはないですが、それでは衝撃的ラストになりません。
実際のところ、監督か美術か知りませんが、核爆弾の構造を知らなかっただけでしょう。