「2回に1回」と「4回に2回」は同じか

事の発端は、エレベーター。

２台あるうちの１台が引越し関連で養生してあって、１台は養生していなかった。
２台が１つのスイッチで連動しており、どちらが開くかは偶然次第。
（実際には、その前がどうだったかによってどちらが開くか決まるのだが、
　前の状態がわからない人にとっては偶然に決まると考えてもよい）

養生してある籠としてない籠が「当る」のは同じ確率のはずだが、
たまたま片方が養生してあると、経験上は幸か不幸か
養生してある籠が当る率が圧倒的に多かった。

ざっくり５回に４回は養生してある方。
これをたまたまと見るか、確率的に珍しい事象とみるか、
なんて考えてたら、ふと別の疑問がわいた。

それは、「５回に４回」と「１０回に８回」とは同じ確率で起こるのか。
そして片方が開く確率が１/２ではなく、５回に４回、つまり４/５だったとき
５回に４回はどのくらいの確率か。

これが考えてもどう計算していいのかよくわからない。

そこで単純化して、確率１/２の事象が、２回に１回起こるのと、
４回に２回起こるのと同じ確率か、考えてみた。

わかりやすくするため、コインで考えてみる。
コインを投げて裏と表の出る確率が同じ、ともに１/２とする。

実際にはコインが立つなどの事象が起こる可能性もなくはないが、
裏表が決まる場合のみを対象に考える。

（１）２回に１回裏が出る確率。

コインを２回投げて、裏表の出る組み合わせは４通り。
１：表表
２：表裏
３：裏表
４：裏裏
裏も表も同じ確率で出るので、この４通りは同じ確率で発生する。
このうち、裏が１回だけ出る確率は２通り。
したがってその確率は２/４＝１/２となる。

別の計算をしてみる。
２回投げて裏が１回でるケース以外のケースとは、
上記のとおり、表表か裏裏。

表の出る確率は１/２なので、表表となる確率は１/２×１/２＝１/４、
裏の出る確率も１/２で、裏裏となる確率は１/２×１/２＝１/４、

表表か裏裏となる確率は１/４＋１/４＝１/２

全体の確率から表表＋裏裏を引くと１－１/２＝１/２で
１回だけ裏になる確率は１/２。
当然ですが同じ。

（２）４回投げて２回裏が出る確率。

コインを４回投げて、裏表の出る組み合わせは１６通りと激増する。
０１：表表表表
０２：表表表裏
０３：表表裏表
０４：表表裏裏
（面倒なので途中は略しますが、本当に１６あるか心配な方は書いてみてください）
１５：裏裏裏表
１６：裏裏裏裏

どの組み合わせも同じ確率で起こり、それぞれ１/１６。

この中で裏が２回出る組み合わせは、６通り。
１：表表裏裏
２：表裏表裏
３：表裏裏表
４：裏表表裏
５：裏表裏表
６：裏裏表表

全１６通り中６通りなので、確率は６/１６＝３/８となり、
１/２より小さくなる。

２回に１回は１/２の確率なのに、それを４回にしただけで確率が減る。
不思議です。

別の計算をしてみよう。

４回投げて裏２回でないケースとは

裏が０（全部表）＝１通りしかなく、確率は１/１６、
裏が１回＝４通りあり、確率は４/１６＝１/４、
裏が３回＝４通りあり、同じく確率は４/１６＝１/４、
裏が４（全部裏）＝１通りで確率は１/１６、

裏２回以外の確率は、１/１６＋４/１６＋４/１６＋１/１６＝１０/１６＝５/８
全体から引くと１－５/８＝３/８。

裏２回になるのはやはり３/８。

＊

じゃあ１０回に５回はどうなんだろう、という疑問もわく。

ところがこれは「じゃあ書いてみる」とはいかない。

１０回投げて表、裏の出る組み合わせは１０２４通りあるから。

これは重複順列で数学の記号で書けば、となり、答えは
２の１０乗＝１０２４

一方、１０回のうち５回が裏の組み合わせは、
１０回のうち裏になる回を５つ選ぶ組み合わせになるので、で、
答えは２５２通り。

全１０２４通りのうちの２５２通りなので、２５２/１０２４で
ほぼ１/４となる。

じゃあ、２０回に１０回は？

全組み合わせは、＝２の２０乗で１，０４８，５７６通り。
１００万回を超え、とても書くわけにはいかない。

そのうち１０回が裏の組み合わせは、となり、１８４，７５６。

１８４７５６/１０４８５７６＝０．１７６１９７
ざっくり１８％、１/５にもならない。

回数が増えるほど確率は減ってくる。
ただしこの計算はピタリ半分の回数というところが味噌。

１回ずつの確率は１/２でも全体で１/２になる確率は１/２ではない。
やっぱり不思議。