F1 GP 角田選手がレーシングブルズから、レッドブルに昇格、鈴鹿からレッドブルの車に乗ることに決定のニュースが全世界を駆け巡りました。
レーシングブルズはレッドブルの2軍なようなチームで、車も速くないし、チーム戦略もへぼい。 一方レッドブルはフェルスタッペンが、何年か連続でチャンピオンを取った、F1最高速のチームだ。
そのチームのセカンドドライバーが、ペレスだったのだけれど、不振で解雇され、今年からリアム・ローソンがセカンドドライバーになった。 そして、成績が良くなくてたった2戦で降格になり、角田が昇格ということになった。
もちろん、日本人は大喜びですが、ローソンの祖国や贔屓の人たちからは、たった2戦で降格とは酷すぎるという声が上がっています。
さて、F1で一番速い選手は、レースで優勝した選手ではありません。
予選で1位を取った選手が一番速いのです。
予選は、コースを一周走る時間が短い人から順位がつきます。すなわち一周だけを思いっきり速く走らせるのです。
一方、レースは1時間30分ほどの長距離を走ります。 ですから、思いっきり速く走ってばかりでは、車もタイヤも本人の体力も持ちません。 色々な駆け引きや、チームの戦略もあります。
ですから、思いっきり速く走らせるのは予選で、そこで一位の人が一番速くF1を走らせることができる人です。 もちろんそのためには車も速くなければなりません。 その点レッドブルは今年はまあまあなのですが、それでもトップを狙える車です。 それに角田選手が乗れることになったのです。
そしてローソン選手は、この車でレースでの成績が悪いばかりではなくて、予選最下位ばかりだった、全ての選手の中で一番遅かったことが重なったので、降格になったと思っています。
最近は有料放送でしかF1を見ることができないので、知らない方が多いと思うので説明します。
ここで、予選のやり方ですが、予選は3回あり、Q1、Q2、Q3と呼びますが、初めはQ1で全員(10チームで各チーム2名ですから、20台)が走ります。 18分のQ1の時間内に自由にコースを走って、自動計測でラップタイムを測っていますから、一番速いタイムがその選手のタイムになります。
鈴鹿サーキットで説明します
コースは一周、約1.6Kmです。 初めはピットにいますから、そこから左方向に走ってコースに出て、一周回ってきて初めてスタート地点に到達します。 ここから計測が始まりますが、ここに来るまでに、タイヤを温めなければならないので、途中でハンドルを切ってタイヤをごねらして温度を上げたりします。
見ていると、いちびって車をぐにゃぐにゃ走らせているように見えますが、大間違い。 それもタイヤの温度を気にしながら、最適のグリップになるような温度を維持させながら走ってきて、最終コーナーの手前からは思いっきり加速して、スタート地点を通り過ぎて計測が始まります。
テレビでも有力な選手は計測中にリアルタイムでその選手のタイムが表示されます。 第1コーナから第2、第3を通ってS字コーナー、逆バンクはカーブの外側が低くなっていて滑りやすい。 デグナーは2つあって、一つめを通り越しても2つ目で飛び出しやすい。
そして問題は、ピットから出てきた時にはゆっくりぐにゃぐにゃ走っている車が前にいるので危険だし、計測が終わってピットに戻る車も邪魔だ。
そこでどの車もピットから、後ろからタイムアタックしている車が来るので、進路を譲れと無線が来る。
上のコース図のようなものに、全車が何処にいるのかがリアルタイムで表示されるので、ピットでもわかるのですが、DAZEの画面でも分かるので、誰でも見ることができます。
それにしても、混雑をしているところを走るので、理想通りの走りができないことがある。
鈴鹿の一周のタイムは、1分27秒ほどです。
Q1では20台走りますが、上位15台がQ2に進めます。 5台が敗退です。
たった5台が敗退なら、簡単にQ1を突破できるのではないかと思うでしょうが、トップが1分27秒00で来たとして、もし1分28秒00ならその人は予選落ちでしょう。
一周、0.何秒かの差での勝負ですから、1秒も遅ければ予選落ち。 特に予選落ちの境、15位付近のタイムは0.5秒に10台ぐらい入いる激戦ですから、途中わずかなミスをして0.何秒かでも遅くなれば、命取りに近い。 1/1000秒を争います。
F1ドライバーは、誰でもすごいレベルの選手なので、他の人より速く走らせられると思ったら簡単ではない、だから、わずかなミスで遅くなることが問題なので、全くミスなしに全コースを走ることができる運動神経のテストみたいなものです、
では、18分の間、走り続けて良いタイムを出せば良いと思ったら大間違い。
前述のように、ピットから出てきて、アウトラップを走り、タイムアタックをして、その後ピットに戻るのですが、タイムアタックをした時点でタイヤはアウトです。 0.何秒を争うのですから、タイヤが少しでも摩耗していれば、タイムは出ない。 3周回っただけでそのタイヤは予選には使えない。
そこで、一般的には、18分の間に、一回アタックした後ピットに戻って、タイヤを変えてもう一度アタックする。 この時サーキットのアスファルトにはタイヤのゴムがへばりついているので、それが多くなる後の方が、グリップが良くなってタイムが上がる。
だから、どのチームも2回目のアタックは、18分の時間ギリギリになるように送らせて出る。 すると当然、コースは満員になって走りにくい。 だから、空いている時間帯に出るチームもあるが、タイムは後のチームの方が良くなる。
などなどの駆け引き、チーム戦略があるが、ドラーバーは思いっきり飛ばすので、コースアウトすることもあるし、コースアウトしないまでも、車が少し滑っただけでもタイムが落ちる。 事実上アタックが2回しかないので、慎重にというわけにもゆかない。
そして、Q1を突破すると、15台でQ2、そこで10台に絞られてQ3となるが、Q3にまで進めるのがいかに大変か。
そして、Q3の結果が予選順位となり、決勝でのスタート順位となるのです。
F1レースでは、前車を抜くのは簡単ではありません。 抜くのに手間取っていると、その前の車はどんどん離れていってしまいます。
ですから、できるだけ予選で良い順位をとって、前の方からスタートしたいのです。
この予選で、ローソン選手は最下位で一番後ろからのスタートを何回か繰り返し降格になったのですが、角田選手も良い順位を取らないと、車が良いだけにあっという間に降格になる、下手をすれば解雇になる可能性があります。
F1チームは各チーム200名ぐらいバックにいますから、ドライバーはその代表になるので責任が重いのです。
レッドブルもレーシングブルズもホンダのパワーユニットを使っています。
レースが始まると、ホンダのさくら技術研究所がパワーユニットを作っているので、数十名の社員がテレメトリーで送られてくるエンジンの状況をリアルタイムで観察して、必要ならチームに連絡してその場で対応できるようなことをしています。
このようなことは、ボディーの専門家他いろいろな専門家がいてバックでこうやって支えているので、たくさんのメンバーがバックにいるのです。 ですから、ドライバーの責任は重い。 わずか0.何秒でも遅れるわけにもゆかない。
こういうことを知って見ていると、ドライバーの気持ちもわかって面白いのです。 もちろん、細かいことを考えずに豪快にドライブする選手もいますが、車を壊してはいけない。 ちょっと壊したら数千万円も修理費がかかるのですから。
今、世界中でF1が流行っていますが、特にアメリカではすごいです。 残念ながら日本では全く誰も知らないほどなのでここに書いたのですが、テレビで見ようと思ったら、有料放送のスカパーに契約するか、パソコンでDAZNに契約するかです。
私は長年スカパーで見ていましたが、解説の川井さんがタイヤの話ばかりで画面で競り合っているのに違う話をしているのが気に入らなくて、DAZNに変えたのですが、こちらは解説もアナウンサーもとても良い。 レースがわかりやすく画面に合わせた話をしてくれます。 それと動画配信なので録画しなくてもいつでも見ることができます。 時差の関係で夜中のレースが多いので、録画し忘れがないDAZNは気に入っています。
どちらもお金がかかりますが、一度払えばあとは自動契約で引かれているので、気にならなくなっています。
できれば、地上波で無料放送が望ましいのですが、見る人が増えないとスポンサーがつかないので難しいでしょう。
とりあえず皆さんDAZNに、もしくはスカパーに契約してF1を見てくださいね。
昔、鈴鹿サーキットに行った時の写真です。 プレス室です。 レースの時には世界各国の報道関係者が来て満員になります。
レース監視室です。 ここで、レース中の色々の出来事を監視して、イエローフラッグやレッドフラッグ、そしてペナルティー何秒、などの判断をしています。
ちなみに、先日の中国GPで、レース後の車検で、フェラーリの2台が失格になりました。 ルクレールの車は車重が1g足りずに失格。 たった1gですよ、タイヤが減ってきて車重が軽くなったのでしょう。 そしてハミルトンの車は最低地上高を測る板が0.5mmすり減っていた。 たった0.5mm、これで失格です。
各チームとも、こういうことには当然気を使っていて、フェラーリも気を遣っているはずでしたが、失敗で、順位は取り消しです。
車のレースは規定も厳しいのです。
さて、角田選手、F1ドライバーとして、最高に近い車に乗れることになったのですが、この車はじゃじゃや馬だとかで、すごく癖があるそうです。 乗りこなしが難しいでしょうが、うまく乗りこなしてください。
鈴鹿サーキットのポディウムに登れれば最高なのですが。
頑張って、でも飛び出さないで! 車を壊さないで! でも速く走って! 無理難題です。
一番大事なのは、気持ちだそうです。 落ち着いて!
F1鈴鹿は、4月4日(金)が練習走行、5日(土)が練習走行と予選、6日(日)が決勝レースの予定です。
そこまでタイヤが減っていたのにも係わらず速く走れたということは,今年のマシンは良い出来のでしょうね。
ゴールどきにガソリンの減りやタイヤの減りも考えたうえで車重を最低重量ギリギリに作ってあるので、どのドライバーもゴールから戻ってくる間にタイヤカス(マーブル)の上を走って、タイヤにマーブルををつけて帰って、最低重量違反にならないようにしているのですが、それがちょっと少なかったんでしょうね。 今年のフェラーリは速いです。