ばぬあ通信 ―バヌアツ共和国 青年海外協力隊活動記―

青年海外協力隊としてバヌアツ共和国タンナ島で小学校教諭として2007年から2年間活動しました。未知の世界をあなたへ☆

no.13 10.29 アニワ島ホームステイ特集Vol.6(最終回!)

2007-10-29 23:41:09 | Weblog
みなさんこんにちは!
全6回にわたってお送りしたアニワホームステイ特集も今回で最終回!そして30日火曜日にはついにタンナへ赴任します\(^o^)/これからもできる限り送り続けていくつもりですのでどうぞよろしく願いします。

=アニワとの別れ=
アニワを立つ日が近づくにつれ、みんなが「もう帰っちゃうのか」とか「12月の休みにまた来い」などと声をかけてくれます。最後の朝、家族や仲間と写真を撮ることにしました。みんな伝統衣装に着替えてくれ、雨が降る中でしたがみんなでわいわい楽しく写真を撮りました。私はレオに感謝の気持ちを込めて名前の漢字を贈りました。「礼緒」普通外国人は漢字の名前をもたないこと、レオはやさしくて親切で、礼という文字には礼儀を重んじるという意味があり、緒にはつなぐという意味があってレオはすばらしいカスタムを今につないでいてそしてバヌアツ人と日本人の心をつないでくれたという感謝の意味を込めてつけたと説明しました。どうしてもビスラマ語では説明ができず、英語になってしまいましたがレオはとても喜んでくれました。そして子ども達は学校へ。みんなを見えなくなるまで見送り、朝ごはんです。そのときローランド(レオのお父さん)が私のところへ来てくれました。ローランドとは夜になるといつもバヌアツや日本のこと、外国のこと、戦争のこと、カスタムストーリーのことなどをたくさん話しました。「TETSUYA、お前にアニワでの名前をあげよう。”Jina”この名前はうちの家族に伝わる名前だ。お前は家族だ。」言葉になりませんでした。みんなもとても喜んでくれ祝福してくれました。そしてその後レオは「もう今夜はTETSUYAと一緒に食事ができないんだな。」としんみりしていました。
部屋に戻り荷物を整理しなおしていると外でレオが私を呼んでいます。「Plen i no kam!!」「ぷれん いの かむ??・・・プレーン イ ノ カム!!!」飛行機は来ないという意味です!なんと私達が乗るはずだった飛行機がエンジントラブルを起こしてこないとのこと。そして次飛行機が来られるのは土曜日・・・ということは2泊3日延長決定!!レオは手を使って「おれは朝TETSUYAが帰っちゃうからこんな気分(手を下げながら)だったけど、今はこんな気分(手を大きく上に伸ばしながら)だ!!」と気持ちを表してくれました(^^)・・・うれしいけど、いいのかな!?とりあえず他の隊員にもその話を伝えに行き、事務所からの連絡を待ち、正式に2泊3日の延期が決定!!

気がついたらビスラマ語も、ブッシュトイレも、水をコップでかぶるスイムも、ナラム(一才の女の子)がくれる食べかけのフルーツを食べるのも何の違和感もなくなっていました。教会で歌う賛美歌の練習を一緒にするのも、ストリングバンドに入れてもらってギターを弾くのも、みんなが日本語のあいさつをするのも、教えたカタカナとひらがなで名前を書くのも、いつも集まってくるバッドボーイズとふざけるのも当たり前になっていました。

そして土曜日別れの朝、起きるとレオがこういいます。「木を植えに行こう。」別に記念樹を植えるわけではありません。レオはこう続けました。「TETSUYAはマンアニワ(アニワの男)としてまだやってないことがあるんだ。おれたちは木を植えてそれを育てる。TETSUYAはまだそれをやってなかった。だから木を植えよう。」サンダルウッドという香りの良い気の苗木を6本植えました。サンダルウッドは貴重な現金収入を生み出す木です。土曜日は学校が休みなので子ども達やバッドボーイズが手伝ってくれました。しかしみんなあまり笑ってくれません。

空港へ行く時間になり、島に一台しかない車が迎えに来てくれることになっています。それまで時間があったので、子ども達に体育の授業をしました。体慣らしと器械体操、拳法の簡単な形を教えてあげたら大人も子どもも大喜び!やっとみんなに笑顔が戻ってきました(^^)vそしてトラックで空港へ。みんなは歩いて空港まで来てくれました。チェックインを済ませ、別れのセレモニー。予定の時間。飛行機・・・来ない(-_-)その後1時間以上ねっころがったり話をしたりサッカーをしたりしました(^^ゞそして飛行機が着ました。みんな涙を浮かべています。エレスも子ども達も大の男達もです。あのふざけてばっかりいたバッドボーイズが涙を浮かべて肩を落としています。

ありがとうしか言葉はでませんでした。
必ずまたアニワへ行きます。もっともっとビスラマ語を磨いてまた家族と兄弟たちに会いに行きます。Thank yu tumas famili bong mi!!(どうもありがとう。私の家族!!)

今も心に残っていること。
アニワの海は水面も水中も今まで見たどの海よりもきれいだったこと。
アニワの人はとても目がいいこと。
何でもブッシュナイフで作ってしまうこと。
アニワではとれない貴重なカバを私のために準備してくれたこと。
そしてみんなで島のカバを飲みきってしまったこと(^^ゞ
レオがオレンジのむき方を教えてくれて、この村で初めてオレンジをむいたホワイトマンだといってくれたこと。
食べるとは命をもらうことであること。
アニワネームをもらい、バヌアツの家族ができたこと。
お前はこれからはMi blong Japan(I!m from Japan)ではなく、
Mi blong Aniwa(I!m from Aniwa)と言え、と言ってもらったこと。
男の友情に国境はないこと。
みんないつも笑顔で楽しんでいたこと。
生きるとは美しいということ。

アニワのみんないわくアニワとタンナは近いけど全く違う文化だそうです。また新しい出会いが待っています!ホームステイが延びた影響で約1週間赴任が延びてしまったのできっとタンナのみんなは首を長くして待っているはず!次はタンナからメール・・・できるかな!?(^^ゞ1ヶ月の現地訓練も無事終わりました。さぁこれからが本番!頑張ってきます\(^o^)/ではまた!Lukim yu!ale,tata!!(^^)v(See you! goodby!)

写真はレオと一緒に漁に行くときに乗ったカヌーと海、家族みんなで撮った写真、家族からもらった壁掛けとカヌーをこぐオール。もちろん両方とも手作りで、これでいつでもアニワを思い出せるだろと言って渡してくれました。タンナの家に飾ります♪(今、タンナの我が家のベッドルームに写真と共に飾ってあります(^^)v)

no.12 10.27 アニワ島ホームステイ特集Vol.5

2007-10-27 22:17:17 | Weblog
=自然と暮らす=
こちらの家はココナッツの葉と竹、トタン板などを使って作ります。そしてトイレはブッシュトイレと言って囲いをつけた穴です。なんと私がホームステイに来るということでレオたちで私専用のブッシュトイレとシャワールームを作ってくれていました!しかも石鹸を準備していてくれました!ここでは石鹸も決して安いものではありません。私は自分の石鹸を持ってきていたので、それは使いませんでしたが、そんな細やかな心遣いが随所に見られました。シャワーと言っても、日本のように上から出るわけではなく、たらいの中の水をコップですくってかけるのです。ビスラマ語では水泳も体を洗うこともswim(スイム)と言います。レオは最初の晩「スイムはお湯にするか?」と聞いてくれました。みんなはどうしてるのかと聞くと、水だと言います。「じゃ水。」しかしレオはうーんという顔をしてこう言いました。「私達ブラックマンはそれでいいけど、ホワイトマンには冷たすぎるよ。」と。私はレオとエレスとローランド(レオのお父さん)に「気持ちはうれしいけど、私はみんなと同じ暮らしがしたいから、特別扱いしないで。もしつらいときは言うから今日は水でスイムしたい。」と言いました。アニワはバヌアツでもタンナと同じ南に位置するので朝夕はかなり寒くなります。確かに水でのスイムは寒かったけど、タンナだってそれは同じ。水スイムも楽しまなくっちゃね♪ここでも家族みんなの心遣いに感動しました。

みなさんはちょっと出かけるとき、何を持っていきますか??
私はあまりカバンを持つのが好きではないので、後ろのポケットに財布とハンカチ、右前のポケットに携帯電話、あとは家や車の鍵。
たぶんどんな人でも財布と携帯電話は欠かせないのではないでしょうか。さて問題です。マンアニワが出かけるときに必ず持っていくものはなんでしょう??

正解は、ブッシュナイフです!なんじゃそれ?わかります。その気持ち。ブッシュナイフとは先の反り返った大きな刃物で、サイズはいろいろありますがだいたい刃渡り50~60cmの蛮刀だと思っていただければ間違いないと思います。これを老若男女みんなブラブラ振り回しながら歩いているのです!!やっと歩くような小さな子もナイフをおもちゃのように持って遊んでいるし、大人はみんな大きくて思いブッシュナイフを器用に使いこなしていました。

みなさんは出先でのどが渇いたらどうしますか?
コンビニや自動販売機で飲み物を買うというのが一般的ですよね。さて、第二問マンアニワそんなときどうするでしょうか??

正解は木に登る、です。というと、ちょっと違うかもしれませんがのどが渇いたらココナッツやオレンジを木に登って取ってきてそれでのどを潤すのです。子ども達はおサルのようにするする10mくらいのココナッツの木に登ってフレッシュなココナッツを取ってきてくれるし、私がオレンジが好きなのをみんな知っているので、よくオレンジを取ってきてくれました。財布の代わりにブッシュナイフ。日本では考えられないですね(^^ゞ日本でそんなもの持って歩いていたらすぐ捕まってしまいます!!でもアニワではこれがないと何にもできない。逆にこれがあればなんでもできる。アニワではブッシュナイフは日本での財布のようなものなのです。

私は小さい頃から父や母から刃物の扱い方を教えてもらっていたし、ナイフの便利さを知っているのである程度ナイフに親しみがあります。日本でも私の父くらいの年代はみんなナイフを使いこなせるような気がします。今の子どもはどうでしょうか。日本だと刃物というと危ないということが先にたってしまいがちですが、ナイフは必要ないとしてもこの考えで全てを進めていくと、何もできない、何も知らない大人が増えていき返って危険な社会になるような気がします。アニワでは大人がしっかり大人の役割をしていました。悪いことをしたらしっかり叱るし、暮らすための技術をしっかり教え、カスタムとしての伝統をしっかり伝える。そして大人自身がいつもしっかり楽しんでいる。(中年層が一番いきいきしています(^^))幸せそうなアニワの子ども達を見ていると、今日日本で見られる過保護、過干渉は人をスポイル(駄目にすること)し、社会を弱体化させる気がしてなりません。アニワにはかつて日本にもあったであろう美しい暮らしがあるような気がします。

幸せってなんだろう。たくさん選択肢があること?便利な暮らしをすること?
レオは私にこう言います。「おれはホワイトマンを尊敬してるんだ。」と。自分達の暮らしや文化に誇りをもって生きているアニワの人たちは幸せだと思います。ホワイトマンにはホワイトマンの暮らし方があって、ブラックマンにはブラックマンの暮らし方がある。そうやって胸を張って話せる。うまく言えませんが、今まで出会ったどんな人たちよりも彼らは自身に満ちていました。アニワに入ってくる情報は日本の数万分の一です。でも、彼らは全てをわかっているかのようでした。
生きることとは何か。幸せとは何か。人間とは何か。
文字や写真では伝えきれない感動がアニワにはあります。私の表現力ではこの空気は伝えられそうにありません。いつか家族とアニワへ行くことができたらいいなと思います。

no.13(アニワホームステイ特集最終回)へ続く!!

写真は私専用のブッシュトイレ(なんと洋式でした!)、私専用のシャワールーム、ローカルハウス、とれたてココナッツジュース、木に登るスミット、ココナッツの外皮をむくレオとなぜかポーズを決めてるモリ、そして一才のナラム。手に持っているのは普通に切れるナイフです!