ばぬあ通信 ―バヌアツ共和国 青年海外協力隊活動記―

青年海外協力隊としてバヌアツ共和国タンナ島で小学校教諭として2007年から2年間活動しました。未知の世界をあなたへ☆

no.87 7.28 タンナワークショップ

2009-07-28 18:12:58 | Weblog
みなさんこんにちは!タンナはここ数週間びっくりするくらい朝夕冷え込んでいます。先週タンナではタンナーヌメア(ニューカレドニア)便開通のお祭り「アートフェスティバル」が行われました。そのお祭りの模様は改めてばぬあ通信でお伝えしますのでお楽しみに!

7月15・16・17日に私の任地タンナ島でJOCVによる現地教員対象のワークショップを行いました。JOCVによる算数、音楽、体育の公開授業2日間と講義1日の合計3日間行ったのですが、アートフェスティバルの直前だったにも関わらず、40名近い現地教員が参加してくれました。私は15日に配属先のロカタイ小で4年生と5・6年生の算数の公開授業、16日にはたくちゃんの配属先のレナケル小学校で1年生の算数の公開授業を行いました。音楽の公開授業は首都で活動しているJOCVが、体育はよりくんと首都の教員養成校で活動しているJOCVが授業をしてくれました。どの授業も好評でしたが、特に音楽の授業はタンナではほとんど行われていないため参加者にとって特に興味深かったようです。私は普段通りの算数の授業をたくさんの現地教員に見てもらうことができたし、「子どもに考えさせる授業を」「生活に生かせるような算数科指導」「授業は一斉でも確認は一人ずつ」など現地の先生に伝えたいと思っていることを実際の授業を通して見せることができたのでよかったです。

最終日にはJOCVで協力して音楽・体育指導について、公衆衛生の知識、算数の講義を行いました。私は「面積とは」というトピックで、バヌアツで多く見られる間違った認識(面積と周囲の長さを混同してしまう)の訂正、各図形の面積の求め方(公式となぜそのような公式になるのかという説明)について講義をしました。説明に使った教材はどこの学校にもあるA4の紙でつくり、工夫すれば誰でも有効な教材を作ることができるということも合わせて伝えることができました。

実際講義をしてみると、ほとんどの参加者が全く面積を求めることができませんでしたがそんなことは想定内で問題なし(^^)v「人は忘れ行く生き物だから時々脳みそをアップデートしないとね!」「ただ公式を覚えても今日みたいに忘れてしまうけど、理由を合わせて覚えれば忘れることはない。理由が大切!なぜそのような公式になるのかを教えれば子どもたちは忘れないよ!」と話しました。「算数は難しくない。簡単♪」というのが私がいつもワークショップの最後に言うキメ台詞☆こうして教師が算数を好きになり、自信をもって指導できるようになれば子どもたちも算数を好きになる。反省点はありますが、総合的に考えるとこのワークショップは成功だったと思います(^^)v

残り任期2ヶ月、タンナを去る日まで残り1ヶ月。タンナでやりたいことがまだまだたくさんあります。私はロカタイ小学校3代目の最後のJOCV。そしてロカタイ村最後の国際ボランティアです。先輩隊員の思い、村の人の思い、そして私のこの思いを胸に最後までやるぞー\(^o^)/ではまた!みなさんも健康第一で。Ale!



写真はロカタイ小学校での公開授業の様子です。たくさんの参加者が来てくれました^^

no.86 7.7 本質を理解する難しさ

2009-07-07 13:58:31 | Weblog
みなさんこんにちは!先日ロカタイ小学校でワールドヴィジョンという慈善団体による公衆衛生のワークショップが行われました。そのワークショップでは、清潔な生活を送る必要性や不衛生な生活が引き起こす弊害についてや、体を清潔に保つ方法、ゴミの捨て方などを実践を交えて紹介するとても素晴らしいワークショップでした。

タンナでは今でも公用語とされているビスラマ語を話せない人がたくさんいるので、村へ入り込んでの活動では地域のローカルラングレッジが話せるスタッフが必要不可欠。ワールドヴィジョンのメンバーの中にはロカタイ村に住む女性がいました。彼女に「いいワークショップだったよ。JICAでも公衆衛生のワークショップをやる予定なんだ。だから言い回しやビスラマ語の単語を学ばせてもらったよ。」と言ってメモを取った私のノートを見せたら、「私たちのワークショップを盗むのね。」と嫌な顔をされてしまいました。彼女には今までも理不尽にまくし立てられたことがあったので思わず構えてしまいました。今回は笑ってごまかし事なきを得ましたが・・・あれ?ちょっと待てよ?このワークショップは公衆衛生の啓蒙活動です。その知識を広めるのが目的です。それなのに「その知識や手法を盗むな」いうのはおかしい話です。

このワークショップ自体はバヌアツ人のみで行われましたが、彼らへの指導等はニュージーランドのワールドヴィジョンが行ったようです。彼らは言われたことをやることはできる、今回のケースでいうとワークショップをして啓蒙活動をすることはできる。しかし、「公衆衛生について考えさせ、その知識・技術を広める。」というところに本質があることは理解できていなかった。まさに国際協力・国際援助の現状が見えたような気がしました。私たちが援助をしても、やはり途上国の人々が自分たちの力だけで物事を進めていくことは難しいのが現状です。ただバヌアツの中にも物事の本質に目を向けられる人はいます。そういう人たちが増えていき、行く行くは国が変わるのだと思うのですが、一朝一夕で増えることはないので、長い時間をかけての援助が必要なのです。援助側はそれが難しいとわかっていても、いつかその日が来ることを信じてアプローチし続ける。

最近読んだ本にこんな言葉がありました。「夢は夢でしかないかもしれないが、夢見る権利、夢見る可能性は残しておきたい。」理想はあくまで理想であって、現実になることはないかもしれないけれど、私は理想を追い続けること自体が一つの理想的な姿であると考えています。いつかバヌアツが本質を見極め、自分の目で、自分の手で、自分の足で、自分の頭で生きる国になって欲しい。その過程の一部になれるように最後まで頑張ろう!(今の日本がそうなのか、と聞かれたら100%Yesとは言えないかもしれませんが・・・)

ワークショップの後は参加者みんなで一緒に昼食をとりました。例の彼女と一緒に食べたのですが、そのときはなんだかんだと私の世話をしてくれました。正直、私はその間ずっとハラハラしていましたが、終始やさしくしてくれました(^^ゞただ言葉がきつくて気性が激しいだけなのかなぁ、うーん(・・?どうやら私は彼女の「本質」を見極められていようです。トホホ・・・(^_^;)ではまた!素敵な七夕を☆Ale!(^o^)/



写真はそのときの昼食の様子です。お皿は葉っぱ、スプーンの代わりは手です。ワークショップをした直後でしたが、手を洗っていた子は何人いたのかなぁ(^^ゞ子どもの頭が白いのはシラミ駆除のためのココナッツオイルをかけたためです。

no.85 7.5 「便利」な生活

2009-07-05 13:54:43 | Weblog
みなさんこんにちは!また以前のばぬあ通信に戻りました。改めましてどうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします(^^)/ついこの前まで雨季で毎日のように大雨が降っていたのに、気がついてみたら最近タンナにはまとまった雨は降っていません。少し前までは雨水で生活用水をまかなっていましたが、今では少しあるいた丘にあるハンドポンプから汲んでいます。さてここで問題です。私が1日につかう水はどのくらいでしょう?






正解は、バケツ1杯半(約15L)です。これで朝の歯磨き・洗顔・コーヒーはもちろん、三食の料理の準備・片付け、スイム(シャワー)、トイレなどぜーんぶ済ませられます。(トイレは穴なので、もともと水は使いません(^^)v)日によってはバケツ1杯くらいで済んでしまう日もあります。週に2・3回洗濯をしますが、洗濯1回でバケツ2杯の水を使うので、そのときはプラス約20Lです。たぶん日本ならトイレを2回流したら15Lは終了!ですよね(*o*)

水が限られている生活は大変ですが、特に不便を感じず気持ちよく生活できるのは人の暮らしというのは本来こういうものだからなのかな、と思っています。日本の暮らしと比べたら丘の上のハンドポンプまで水を汲みに行き、約20kgのバケツを持って、歩いて家へ帰るというのは言うまでもなく「不便」です。しかし今では丘の上のハンドポンプまで行けば水が手に入るのだから「便利だなぁ」と感じています。学校のウォータータンクが壊れてからというもの、丘の上へ水を汲みに行くのが日常になり、最初は不便と感じたこの作業も今では全く苦にならなくなりました。このばぬあ通信を送るために公衆電話まで片道約40分歩くことも今では全く苦ではないし、むしろ「40分歩くだけでメールが送れる♪」と心から思います^^いやー人間ってすごいなぁ^^こうして人は順応していくんですね!

「幸せはいつも自分が決める」これは浦さんがバヌアツに残した言葉の一つです。すべては自分次第。便利だなと感じて得した気持ちになるのも、不便だなと思って損した気持ちになるのも自分次第。そう、幸せはいつも自分が決めるのだ!!イエーイ\(^o^)/私は8月末から9月頭に首都で大規模算数ワークショップを行う関係で、8月末にはタンナを離れなくてはなりません。残り2ヶ月、「人が暮らす本来の姿」の「幸せ」な暮らしを思う存分楽しんで帰国したいと思います(^^)v

では、みなさんも「幸せ」な今日を。Ale!(^o^)/



最近は寒すぎて水浴びするのがきついので、写真のようにおなべでお湯を沸かしてからスイム(水浴び)しています。あー温かいスイムは気持ちいいなぁ^^♪ちなみに一回のスイムで使う水の量はバケツ1杯(約10L)です。

no.84 7.1 タンナの愉快な仲間たち その8

2009-07-01 13:48:07 | Weblog
みなさんこんにちは!好評連載「タンナの愉快な仲間たち」は今回で末広がりの八回目。そしてついにシリーズ最終回!最終回の今日の主役はなんとあの超男前の二人(゜゜)!

一人目はもうすでにばぬあ通信ではおなじみの「浦さん」です。浦さんは今年1月に2年の任期を全うし帰国された元タンナJOCV。タンナの愉快な仲間たち第1回で紹介したよりくんの前任者にあたり、バイクに乗ってタンナ中の小学校を可能な限り回り、体育指導の普及に尽力されました。彼は僻地中の僻地にあるようなアクセスのきわめて悪い学校へも巡回していたので、「Mr.Uraは初めて村に来てくれた外国人なんだ!」という子どもがタンナにはたくさんいます^^もしタンナが10年後に独立したとして、もし浦さんが大統領選に立候補したら当選間違いなし!と断言できるくらい浦さんは島中の人気者!まさにタンナのヒーロー☆私はそんな浦さんと約1年3ヶ月間一緒に活動することができました。一緒に悩み、一緒にうかれ、一緒に頭痛になり、一緒に海にもぐり、一緒に踊り、一緒に焚き火をし、一緒に満腹になり、一緒に飲みすぎ、一緒にたくさんの話をしました。私が浦さんから受けた影響の大きさは自分でもわからないくらい大きなものです。そんな浦さんはタンナを去った今でも私たちタンナJOCVにとって尊敬する兄貴。浦さんはマンタンナにとってまさに「記憶に残る隊員」でした。そして浦さんの残した浦イズムは今もタンナJOCVに脈々と受け継がれています(^o^)/

そして二人目の主役もばぬあ通信でおなじみの「ブレット」です。彼はピースコー(アメリカ平和部隊)のメンバーで、私の住むロカタイ村にあるコーヒー工場とタンナの全コーヒー農家の管理をしていました。いつも夕方になると「Taem blong yumi!(おれたちの時間だよ!)」とうちへ来てくれて、一緒にカバを飲みに行き、経済、文化、思想、恋愛、生活などなどたくさんのことを焚き火を囲んで語り合いました。バヌアツへ来て、まさかアメリカ人の親友ができるとは夢にも思っていませんでした。ブレットと過ごした8ヶ月はとても貴重で素晴らしい経験でした。今思うと彼はタンナでの私の水先案内人だったと思います。彼からたくさんのことを学んだし、同じ時間を過ごす中で、「人種、国籍、言語、文化背景が違っても人は分かり合えるんだ!」と身をもって知ることができました。

この二人がいなかったら私の活動も、タンナの印象も今とは全く違うものになっていたかもしれません。もし「人生を変える出会い」というものがあるならば、この二つの出会いは間違いなく私の人生を変える出会いでした。まだ二人がタンナにいるとき、「10年後、一緒にタンナへ戻ってこよう!」と三人で話しました。10年後のタンナがどうなっているのかわかりませんが、タンナでともに生きた男たちのUnity(結束・団結)は永遠に変わることはないでしょう!そして、私の任地がタンナという過酷な場所だったからこそ、一人の人間として人種も国籍も言語も関係なくみんなと向かい合い、通じ合うことができたのではないかと思います。

TANNA Nambawan !! (タンナ最高!!)(^o^)/

「タンナの愉快な仲間たち」シリーズはこれで終わりですが、ばぬあ通信は100号を目指しまだまだ続きます!もし質問やご意見、ご要望等がありましたら遠慮なくメールくださいね!ではまた!Imamo!(^o^)/


写真は首都で撮った三人の写真です。ちなみに、タンナ島に派遣されるピースコー及びJOCVには「男前でなければならない」という条件がついています。・・・と、それは冗談ですが、現在ピースコー及びJICAともタンナ島には男性しか派遣していません。(以前に派遣されて今も活動している女性のピースコーはいますが、今後女性は派遣しないそうです。)