ばぬあ通信 ―バヌアツ共和国 青年海外協力隊活動記―

青年海外協力隊としてバヌアツ共和国タンナ島で小学校教諭として2007年から2年間活動しました。未知の世界をあなたへ☆

no.75 4.22 縦書きと横書き 

2009-04-22 18:29:02 | Weblog
みなさんこんにちは!今バヌアツは1学期末で、どこの学校でも期末テストをしています。もちろん私も算数のテストを受け持っている1年生から6年生で行っています。今日は前々から思っていたあることについてお話します。

ロカタイ小学校には文字を書くときに紙やノートを横にして書く子がたくさんいます。人によっては紙を90度以上まわして書く子もいます。日本でならば姿勢も悪くなるし、文字も歪むので指導しますが、ここではそれを指導する先生もいないし、疑問をもっている人もいないようなので、今のところこれに関して私は口を出していません。今日5・6年生でテストを行いました。そこであることに気がつきました。今日も多くの児童がテストの紙をほぼ90度まわし、紙が真横になるような状態で書いています。それを見ていて縦書きをしているように見えたのです。ただ、縦書きと言っても下から上へ向かって書くので、日本語のそれとは基本的には違うかもしれません。でも縦書きをしているように見えました。

日本には縦書きと横書きがありますよね。英語などのアルファベットを使う諸語は基本的に横書きのみです。それはなぜか?今まではただ単に漢字を基本とする言語には縦書きが適していて、それ以外の言語には横書きが適しているんだろうな、くらいにしか思っていませんでした。では、バヌアツはどうか?バヌアツには西洋文化が入ってくるまで文字は存在しませんでした。なのでバヌアツの公用語のビスラマ語はアルファベットを使い、英語や仏語からの借用語がたくさんあるのにそのスペルには決まりがありません。「おやすみ」は英語と同じですがGud naetと書きます。音を聞き、それに近いようにアルファベットを並べるので人によっても違うし、場所によっても変わります。例えば私の住んでいるロカタイ村はLoukataiと書かれたりLowkataiと書かれたりします。バヌアツには文字を書くという文化がなかったため、この作業は近代になってから入ったものです。彼らが文字を横に書く理由は、歴史や文化背景は関係なく「そのようにイギリス人とフランス人がしていたから」ということになります。そして、今彼らは縦書きのような横書きで文字を書いています。それを見ていて、人にとって文字を書くという作業は横書きよりも縦書きのほうが自然なものなのかな?と思いました。何事も合理的な西洋人なので、文字を横に書くのにはそれなりの理由があったのだと思います。故に現在でも縦書きが使われることがないのでしょう。私たち日本人は文字を縦にも書きます。文字自身は中国から渡来したものですが、 長い年月をかけ日本独自のものに育てあげました。日本語では現在縦書きと横書きの両方が使われています。この点を考えても、日本語という言語は柔軟で意外に合理的な言語なのではないかと考えられます。

私は他の言語に精通していないので他の言葉についてはよくわかりませんが、英語を(少し^^;)勉強し、バヌアツで英語とビスラマ語で生活してみて、日本語の特殊性を感じます。日本語には男言葉、女言葉があり、敬語も発達しています。職業や場所によっても使う言葉が異なり、漢字、仮名、片仮名がほぼ明確に使い分けられています。多くの外来語が取り入れられ、日本語として使われています。様子や心情を表す語もたくさんあります。人は言葉で考える生き物なので、この複雑な日本語の構造は日本人の思考を助けていると思います。日本人だからこのような言語を作り出せたのか、このような言語を使っているから今の日本人が出来たのか・・・。どちらにしても、日本人であることに誇りを感じます。

仏語やスペイン語には男性名詞や女性名詞というものがあるそうです。ということは、やはりその言葉を使って考えるだから彼らの考え方は私たちとは異なるのでしょう。ビスラマ語は圧倒的に語彙が少なく、文法もシンプルです。なので、考え方もシンプルです。赴任して1年半。もう言葉のことで不自由を感じることはほとんどないのですが、それは言葉を覚えたということよりもこの言葉を使う人々の思考がわかるようになったからなのかなと思います。

最後に、なんと日本語はその起源や言語系統について未だにわからないことが多いそうです。朝鮮語やアルタイ(シベリア・モンゴル)語との関係があるのではという説があるらしいのですが、未だに確定的な説はないとのこと。こりゃ帰国したら調べなきゃ!!

もうすぐ日本はゴールデンウィーク。新年度の疲れを癒すいい機会ですね!私も再来週から2週間の学期間休暇になります。そのときには首都で最後の隊員総会をしてきます。久々の近代的な暮らし。楽しみです♪ではまた、Ale!(^o^)/


写真は授業中の5年生。初めて90度以上ノートをまわして書いている子を見たときは自分の目を疑いましたφ(。。)!

no.74 4.20 タンナ初上陸のエクストリームスポーツ

2009-04-20 18:23:52 | Weblog
みなさんこんにちは!最近メールの送受信がうまくいかないことが多く、このばぬあ通信もいつ送信できるのか怪しいですがあきらめずに送信し続けますのでどうぞよろしくお願いします^^

今日は先日タンナに初上陸したエクストリームスポーツを紹介します。その名はサンドボード!・・・え?なにそれ(゜゜)??ご説明いたしましょう。それはスノーボードのように砂の斜面を滑走するスポーツなのです!タンナにはヤスール火山という世界で一番火口まで近づける火山があるのですが、火山灰に覆われたその火山の斜面を滑るのです。もちろん私も滑ってきました!

タンナ出身の若者がオーストラリアでこのサンドボードを手に入れ、タンナへ戻ってきたところに偶然私たちタンナJOCV3人が出くわし、「一緒に行こう!」と誘われ、ラッキーなことに週末彼らと一緒にサンドボードをすることができました。ピックアップトラックの二台にボードと人を乗せ、悪路を走ること1時間半。目的地ヤスール火山の斜面に到着!横のり系(サーフィン、スノーボード、スケートボードなど)のスポーツが大好きな私もこのサンドボードは初めて。板を受け取り、さっそくトライ!滑るといっても下は固い砂なのでスノーボードのようにターンをすることは出来ませんが、 急斜面をかなりのスピードで一直線に滑り降りるのはなかなかのスリル。そして気持ちよく滑り降りた後は・・・板を持って砂の急斜面を上がる。これが結構きつい(*_*)リフトのないスノーボードと言うと分かりやすいでしょうか。まぁサーフィンも波に乗った後はパドルして沖へ戻るので、その点はサーフィンと同じです。「きついー!」と言い息を切らしながらも満足するまでサンドボードを楽しみました^^

そして帰るときに私たちを誘ってくれたバヌアツ人が「よし!コーチがいるからこれで観光客が来ても大丈夫だ!」と言い、私を見ています。なんとこの日はこれが商売になるかを判断するために試験的にやっていたのです!つまり私は「テストライダー」だったというわけです。もちろん私にも毎日仕事があるので、実際に観光客にコーチをすることはないでしょうが彼らはその気満々でした(^^ゞ

今後このサンドボードがタンナに定着するかどうかはまだ分かりませんが、純粋にサンドボードを楽しんでいるバヌアツ人を見ると「商売にならなくても、これはこれでいいのかな」と思ってしまいます。私は久しぶりの「横のり」を楽しめたし、私のライディングでバヌアツ人をうならせることもできたので大満足(^^)v久しぶりに「遊んだー!」と思える一日でした♪

タンナの最新アクティビティー「サンドボード」。砂まみれになりますが、チャレンジする価値はあると思います。9月までなら日本人インストラクターも付きますよー!なーんて^^今日はタンナの最新情報をお伝えしました♪ではまた!Ale!(^o^)/


写真はヤスール火山と私。いつもよりも生き生きしてるって?いやいや!そんなことは・・・ない・・・はずです(^^ゞ

no.73 4.18 算数ワークショップ

2009-04-18 18:22:08 | Weblog
みなんさんこんにちは!今日のタンナは朝から快晴!私は学校の敷地内に住んでいるのですが、子どもが登校しない週末の学校はとても静かです。

今日はno.70で概要をお伝えした現地教員対象の算数ワークショップについてお伝えします。今現在、私は配属先のロカタイ小学校を中心に、近隣の4つの小学校でもワークショップを行っています。1学期はその5校で合計12回のワークショップを行いました。そのうちの3回は、同じタンナで算数科指導にあたっている隊員、たくちゃんと協力して行いました。彼はとてもスマートで、バヌアツに赴任してまだ約10ヶ月なのですが、すでにビスラマ語は自由自在!大学では算数を専門として学んだ算数の専門家で私と同い年。その上同じ茨城県出身!!彼とバヌアツの算数科教育発展について語り合う時間は大変貴重で有意義な時間です。彼と協力することでさらに質の高いワークショップをすることができるようになりました。

14日の火曜日にはロカタイ小学校で「面積」についてのワークショップを行いました。正方形、長方形、平行四辺形、三角形、台形、ひし形、円の面積の求め方を復習・確認し、なぜたて4cm横5cmの長方形と底辺5cm高さ4cmの平行四辺形の面積が同じなのか、なぜ三角形の公式では÷2をするのか(バヌアツでは×1/2をします)などをみんなで考え、実際に紙を使いその理由を説明しました。そして「公式を教えるだけでは不十分。その理由を教えることも大切。理由がわかれば子どもたちは公式を忘れないし、正しい計算方法で答えを導くことが出来るんだ!」と伝えました。教員たちはまるで子どものように目をまん丸にして楽しそうに学んでいました^^このワークショップにはたくちゃんと、浦さんの後任としてタンナで体育科指導にあたっているよりくんが参加してくれました。そのときにたくちゃんには算数における専門的な意見を、よりくんには2学期にロカタイ小学校で体育の巡回指導をする予定だという話をしてもらいました。

気がついたらすでに私は古株隊員。今タンナには私以外に3人の隊員が活動しています。私はいつもその3人に助けてもらっています。そのお返しに、私が今までの活動やタンナでの生活から得た知識や技術・人脈などを駆使して彼らの活動が少しでもうまくいくようにお手伝いしていきたいと思っています。

さぁ今日はメールの送受信が出来るか!?(>_<)素敵な週末を♪Ale!(^o^)/


写真は紙を使い平行四辺形の面積を求める公式の理由を説明しているところ。!!(゜0゜)!!←みんなこんな顔をしていました(^^)

no.72 4.8 変わりゆくタンナ

2009-04-08 18:19:25 | Weblog
みなさんこんにちは!タンナはここ数日通信状況が悪く、メールの送受信ができませんでした。思い返してみれば私がタンナヘ赴任したときはそれがいつものことで、家から約40分のところにある公衆電話へメールの送受信をしに行って「あー今日はダメかぁ。仕方ないから明日また来るかな。」というのが日常茶飯でした。そう思うとタンナはこの1年半で大きく変化しました。今日はそれについていくつかの例を挙げてお話したいと思います。

まず一番の変化は携帯電話が使えるようになったことです。それまでは私のタンナでの通信手段はもっぱら公衆電話で、村の公衆電話に電話がかかってきたときは村の人に大声で「テツヤ、テレフォーン!」と呼ばれ、約50メートルくらい離れている公衆電話へダッシュ!ということがよくありました。とはいえ私の住むロカタイ村は電波状態がよくないので、今でもときどき「テツヤ、テレフォーン!」がありますが、そのたびになつかしく、そしてなぜか少し嬉しくなってしまいます^^

もう一つの大きな変化は物がたくさん入って来るようになったことです。1年半前はタンナで買える物は本当に限られていて、月に一度貨物船が来たときだけお店に商品が溢れ、そのときが買い物のチャンス!という感じだったのに、今では3艘の貨物船がしょっちゅうタンナに出入りし、物がなくなるということはほとんどなくなり品揃えも充実しました。価格は首都と比べれば割高ですが、わざわざ首都で大量に買いだめをしてタンナへ戻る、という必要もなくなりました。

そしてここ最近の大きな変化はタンナヘたくさん自動車が入ってきたことです。そのほとんどは後ろが荷台になっているピックアップトラックなのですが、それがすごい勢いで増え続けています。もちろんここでも車は高いものです。それがこんなにタンナへ入ってくるなんて・・・。どこにそんなお金が?というのが正直な感想です。

他にもたくさんの変化があったのですが、総合して言えることは生活が近代化しているということです。「それはいいことだ」と思うかもしれませんが、実は私は全く反対の感想をもっています。タンナではほとんどの地域で今でも自給自足に近い生活をしています。多くの家庭で当然のように薪で料理をしています。そこへ起きた急激な近代化。正直な感想をいうと、この1年でタンナの人は個人差はあれどみなすれたような気がします。

この1年の変化を共に過ごしてきた私は、どう考えても「彼らの生活が豊かになった」とは言いがたいのです。これらはみんな先進国の価値観での「豊かさ」であって、ここバヌアツでの「豊かさ」ではないと感じます。鳥は空を飛ぶように、魚は水を泳ぐように、それぞれに適した暮らしや生活方法があるのではないか、と思うのです。確かに携帯電話は便利で、おしゃべり好きのバヌアツ人にとってすでに欠かせないものになっています。しかし、人は携帯電話代を払うために生きているのではありません。日本には日本の、バヌアツにはバヌアツの、先進国には先進国の、途上国には途上国の分相応な暮らしがある。私たち先進国での生活を基準としたものさしで彼らの暮らしを見たら「なんてかわいそう」という人もいるかもしれない。でもそれは誤解です。彼らには彼らの暮らしがあるのです。中には生きるために先進国の援助を必要としている国があることも事実です。しかし、もともとそこで人は生活していたのです。

私の配属先のロカタイ小学校には中国の援助によって作られ届けられた文房具が山ほどあります。オーストラリアの観光客がくれた文房具もたくさんあります。ノート、ペン、鉛筆、消しゴム、定規、分度器、色鉛筆、カラーペンなどなど何でもです。そして大切にされることもなく、ぞんざいに扱われています。日本人の私だからそう見えるのかもしれませんが、やはりそれが現実だと思います。

物をあげることで人を幸せにできるのなら、とっくに世界中が幸せになっているのではないだろうか。私は物よりも私の心をここへ置いていきたい。それを彼らが望んでいないとしても、それが無駄になるとしても、それが彼らを不幸にすることはない。そして多少なりとも彼らを幸せにできるのではないかと思うのです。

姪のアヤが大人になる頃、この国は、この世界は、この地球はどうなっているのか。本当に豊かな世界になるだろうか。この私の心配が思い過ごしになることを祈りつつ、未来は私たち自身の手の中にあるということを忘れてはいけない、と思います。

久々?に長くなってしまいました(^^ゞ日本は桜の季節ですね!その美しい四季も日本だからこそ感じられるもの。日本にいる方は存分に春を満喫してくださいね!ではまた!Ale!(^o^)/


写真はロカタイ小にあるノートやコピー用紙の山です。ロカタイ小の全校児童は約140名。どう考えても使いきれる量ではありません。物が溢れる途上国の実態を目の当たりにしたとき、なぜか胸の奥が痛くなりました。

no.71 4.2 姪っ子誕生

2009-04-02 18:17:23 | Weblog
みなさんこんにちは!早いものでもう4月。日本は新年度の始まりですね。バヌアツは1月末から5月の始めまでが1学期なので大きな変化はありません。ただ朝晩はかなり冷え込むようになり、今夜もかなり寒くなりそうです。

今私には日本に妹が一人、バヌアツに弟が二人、妹が二人いるのですが、その妹の一人のマラが3月28日に女の子を出産しました!赤ちゃんの名は「Aya」。日本人ぽい名前でしょ。そうです、私が名付け親なのです^^バヌアツでは出産後24時間で母子は家に帰るそうで、30日にはマラも赤ちゃんも家へ戻ってきました。生まれて2日目の30日に二人に会いに行ったのですが、生まれたばかりの赤ちゃんは本当に小さく、人は生まれたときはこんなにも小さいんだと改めて感心してしまいました。なんとそこで、母親のマラをはじめみんなに赤ちゃんの名前をつけて欲しいといわれたのです。最初冗談かと思っていたら、どうやら冗談ではなく本気のようで、「えー!」と驚きつつ赤ちゃんの顔を見ていたときにピーンと来た名前、それが「Aya」でした。漢字で書くと「彩」。彼女の人生が鮮やかで美しいものになるようにとの願いを込めて命名しました。マラはこの名前の意味や音の響きをとても気に入り、みんなも気に入ってくれて満場一致で赤ちゃんの名前はアヤになりました^^

バヌアツでは18歳で成人だそうなので、彼女が大人になるころ私は47歳。そう思うと人生は長いのかな、短いのかなと考えてしまいます。今はアヤの健やかな成長を願うばかりです。私はあと半年後にはバヌアツを離れなくてはならないので、彼女の記憶に私が残ることはありませんが、いつかバヌアツへまた来たときにアヤに名前をつけたときのいきさつをアヤ自身に話せたらいいなぁと思います。

明日は村でヤムいもの収穫祭があります。しかも金曜日!週末だー♪みなさんもいい週末を!Ale!(^o^)/


写真は生後二日のアヤ(このときはまだ名前はありませんでした)と母親のマラです。日本ではどうなのか分からないのですが、マラはアヤを出産して2日後には洗濯をしたりと普段通りの生活をしていました。いやー母は強し!ですね^^