大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

2019年Q1米決算:バンカメは増益、ブラックロックは減益

2019年04月17日 | 日記

 クレディスイスがS&P500社の2019年Q1決算について前年比で4.9%の減益を予想するなど全体としては減益になるとの予想が多いが、金融、医療保険など一部業種は増益が予想されている。

 2019年4月16日(火)に発表されたアメリカのおもな決算内容(◆は増益、は減益)。

 

◆ バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)

 収入(売上)は230億ドル(2.5兆円)、前年とほぼ同じ。

 純利益は73.1億ドル(8000億円)、前年比5.6%の増加

 

 ブラックロック 

 収入(売上)は33.5億ドル(3700億円)、前年比で6.6%の減少

 純利益は10.5億ドル(1200億円)、前年比4%の減少

 

◆ ユナイテッド・ヘルス(アメリカ最大の医療保険会社)

 売上は603億ドル(6.6兆円)、前年比で9%の増加

 純利益は34.7億ドル(3800億円)、前年比22%の増加

 

◆ ユナイテッド・コンチネンタル(アメリカ第2位の航空会社)

 売上は96億ドル(1.1兆円)、前年比で6.2%の増加

 純利益は2.92億ドル(320億円)、前年比201%の増加

 

 IBM

  売上は182億ドル(2兆円)、前年比で4.7%の減少

  純利益は15.9億ドル(1750億円)、前年比5.2%の減少

 

 なお、上記の数字については誤りがないことを保証するものではありません


アメリカ、2019年第1四半期の決算はじまる: いまのところ結果はまちまち(4月16日)

2019年04月16日 | 日記

 アメリカで2019年第1四半期(1-3月)の決算発表がはじまった。

 2018年はトランプ減税の影響などで、S&P500の純利益は前年比で20%超の増加をみせた。

 2019年も半年ほどまえまでは、ペースは落ちるものの7%程度の増益になると予想されていた。

 しかし2018年末に世界的に株価が急落。景況感も大幅に悪化した。

 この結果、2019年は減益になるのではないかという見方が広がった。

 その後、パウエルFRB議長による利上げ休止、資産縮小停止宣言などがあり景況感は持ち直しているが、その裏付けとなる経済実態があるのかどうか判断する材料として2019年第1四半期の決算が注目される。

 しばらくブログで決算内容をフォローしていきたい。

 2019年4月16日の段階では、昨年の利上げの影響で収益環境が改善した金融セクターで市場予想を上回る好決算がでている(JPモルガン)。ただ、減益になったケース(ゴールドマンやウォールグリーン)もあり大勢はまだはっきりしていない。

 詳細は以下のとおり(新しいもの順)。

 

①2019年4月15日(月)、ゴールドマンサックスシティバンクが2019年第1四半期決算を発表した。

 ゴールドマンは前年比で減収減益シティは減収増益と結果がわかれた。具体的な数字は以下のとおり。

 ゴールドマンの総収入(売上)は88億ドル(1兆円)で、前年同期比(以下同)で13%の減少

 純利益は22.5億ドル(2500億円)で、20%の減少となった。

 シティ総収入は186億ドル(2兆円)で、2%の減少

 純利益は47億ドル(5200億円)で、2%の増加

 

②2019年4月12日、JPモルガン・チェースとウエルズ・ファーゴは2019年Q1決算を発表。

 JPモルガン

 総収入(売上)は299億ドル(3.3兆円)で、前年同期比(以下同)で5%の増加。 

 純利益は92億ドル(1兆円)で、5%の増加

 ウエルズ・ファーゴ

 総収入(売上)は216億ドル(2.4兆円)、前年比1.5%の減少

 純利益は58.6億ドル(6500億円)、前年比14%の増加

 

③2019年4月2日、アメリカ最大の薬局チェーンであるウォールグリーン2019年第2四半期(12-2月)の決算を発表した。

 結果は増収減益2019年度(8月決算)の利益見込みについてもほぼ前年度並みに下方修正をおこなった。具体的な数字は以下のとおり。

 売り上げ345億ドル(3.8兆円:1ドル=110円)で、前年同期比(以下同)で4.6%の増加。

 特別損益などを除いた調整済みの利益は19億ドル(2100億円)で、10.4%の減少

 2019年度決算の予想について、従来は調整済み1株当たり利益(EPS)が7-10%増加としていたものをほぼゼロ(roughly flat)に引き下げた。 

 

 なお、上記の数字については誤りがないことを保証するものではありません


日本外でEVの発売あいつぐ: アウディ(独)とジーリー(中国)が新EVを発売

2019年04月13日 | 経済

 20世紀の終わりから今世紀にかけてインターネット、携帯電話の発明、普及があり、世界が大きく変わった。

 EV(電気自動車)と自動運転はそれに匹敵する大きな変化を世界にもたらす可能性をひめている(産業構造や産業の中心地域が大きく変化するかもしれない)。

 日本の2018年のEV販売台数(日産リーフが中心)は3万台を割り込んでいるが、世界では革新的なEV発売があいついでいる。

 

 独アウディは、このブログで何度か言及しているVWの電気自動車用モジュール(基本構造)MEBをもとに開発されたイートロン(e-tron)を5月に発売する。

 航続距離は厳しいEPA基準で204マイル(328キロ)。価格は7万4,800ドル(820万円:1ドル=110円)から。

 アウディはイートロンの発売をまえに、アメリカで「電気自動車は自分には関係ない」という内容のCMを流し一部で注目を集めている。

 CMでは、電気自動車を買わない理由として、

①航続距離が短い

②低い気温に(電池が)弱い

③充電ステーションが少ない

④走行性能が低い

 などをあげたうえで、それを打ち消すメッセージ、イメージを流している。

 

 

 またボルボを所有する中国のジーリー自動車(吉利汽車)は2019年4月12日(木)、高級EVブランドのジオメトリー(Geometry)を立ち上げた(注)。

 最初に発売されるGeometry Aは、長距離タイプだと航続距離が500キロに達するが、すでに世界で2万6千台を受注している(日本全体のほぼ1年分)。 

 同ブランドは、2025年までに10車種のEVを発売することになっている。

 なおジーリー自動車は、2019年3月には独ダイムラーと合弁EV版スマートカーを生産する会社を中国に立ち上げている。 

 

 

(注)正確にはジーリー自動車の親会社である浙江吉利控股集団がボルボを所有している。


UAW(全米自動車労組)、VWチャタヌーガ工場で組合承認選挙を実施へ

2019年04月12日 | 日記

 自由に労働組合を結成し企業に労使交渉を要求できる日本と異なり、アメリカとカナダでは選挙で労働者の過半数の支持を受けた場合のみ、企業に労働組合と労使交渉する義務が発生する仕組みになっている。

 ところでUAW(全米自動車労組)は2019年4月9日(火)、VWチャタヌーガ工場(テネシー州)で全労働者を対象にこの組合承認選挙をおこなうことをNLRB(全国労働関係委員会)に申し立てた。

 現在、アメリカでは海外自動車メーカーのたくさんの工場が操業しているが、UAWはことごとくその組織化に失敗してきた(米自動車メーカーと合弁で設立された工場を除く)。

 VWチャタヌーガ工場もその例外ではなく、2014年2月には組合承認選挙がおこなわれたものの712対626の差でUAWが否認されている。

 例外は、VWチャタヌーガ工場の熟練工

 2015年12月にチャタヌーガ工場で熟練工だけを対象とした組合承認選挙がおこなわれ108対44でUAWが承認された。

 しかしVWは以来、熟練工だけを対象とした労働組合と交渉することを拒否している。

 今回、UAWがチャタヌーガ工場の全労働者の組織化に成功し、安定した労使関係を構築できるか注目される。

 地元紙によれば、(VWからの異議申し立てがなければ)2019年4月29日、30日の二日間、組合承認選挙がおこなわれる予定。  

 

VWチャタヌーガ工場の組合承認選挙でUAWが手痛い敗北(2014/2/26)

VWの組合承認選挙にかんして、UAWが異議申し立てを撤回(2014/4/22)

UAW、VWチャタヌーガ工場で専門工の組合承認選挙に勝利(2015/12/5)


バンカメ、最低賃金を20ドル(2200円)に引き上げ

2019年04月10日 | 日記

  2019年4月9日、バンカメのモイニハインCEOは2019年5月1日に最低賃金を15ドル(1650円:1ドル=110円)から17ドル(1870円)に、2021年までに20ドル(2200円)に引き上げると公表した

  モイニハインCEOは、「バンカメで働く人は年4万1千ドル(450万円)稼ぐことになる。我々は成功をチームメイトと分かち合いたい」と述べた。

   モイニハインCEOは近々、下院の金融サービス委員会で証言する予定になっている。