大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

米インフレ率、上昇の可能性: ガソリン価格が上昇

2019年04月02日 | 日記

 2019年1月と2月、米ガソリン価格は前年同月より2-3割低い価格で推移してきた。

 これがアメリカの1,2月のインフレ率を押し下げる大きな要因になった。

 ところが、原油価格の上昇をうけ2月中旬からガソリン価格が上昇

 3月25日の米レギュラーガソリンの価格は、前年同月とほぼ同じ価格にまで上昇することになった。

 これから原油やガソリン価格がどう動くか私に予想できるわけもないが、もしこの傾向がつづくとアメリカのインフレ率は予想より早く上昇がはじまるかもしれない(パウエルFRB議長をふくめ、年後半からの上昇を予想するものがこれまでは多かった)。

 ここで気になるのが、法律を専門とするパウエルFRB議長の経済認識である。

 先の議会でパウエル議長は、労働市場にはまだスラック(余裕)があると述べて、インフレ率上昇の懸念を否定した。

 アメリカでは最近、労働力率(16歳以上の人口に占める働いている人の割合-正確には求職者含む-)が上昇していることから、まだまだ働けるが実際には働いていない人-つまりスラック-がいるとされた。

 しかし、アメリカのメディアでは最近、人手不足から障がいを抱える方や刑期を終えた方の雇用がかつてなく好調だというニュース(これ自体はいいニュース)がたくさんでている。スラックというより人手不足といった方が現実を正しくとらえている気がする。

 3%台半ばの賃金上昇も続いている。スラックがあるなら、3%もの賃金上昇は(人集めのために)必要ないし、現実にならないだろう。

 私個人は、パウエルFRB議長のいうように労働市場のスラックにより物価が安定しているのではなく、ガソリン価格の下落が労働市場の過熱を見えにくくしているのではと考えている。

 3月分のCPIの発表を待ちたい(政府閉鎖のため、PCEは1月分の公表が先日あったばかり)。