"ちょっと外から見た日本"

今、スペインに住んでいます。
大好きな日本のこと、
外からの視点で触れて見たいと思います。

ロシヤ大統領の国後島訪問以後

2010-11-13 01:47:00 | 日記
尖閣諸島の件は、ビデオ流出もあって毎日のように報道に出ていますが、北方領土の件は、どうなったのでしょうか。

メドベージェフ大統領が、今月1日に北方領土の国後島を訪れたのに対して、前原大臣が、ロシヤ大使館を呼びつけて抗議し、河野ロシア大使を呼び戻したまでは、記憶に残っていますが・・・。

NHK解説委員会のブログ、よくまとまっているので、自分の考えを整理するのに参考にさせて頂いています。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/64988.html#more

ここではロシヤ大統領の北方領土訪問も読めなくなってしまった外務省の情報収集能力の劣化について触れています。

その通りだと思いますし、ロシヤから情報を取るには正攻法だけでは不十分なのだろうな、という推測も出来ます。
(正攻法の部分は、せめてきちんとやっていたと信じたいです)
色々言われていますが、鈴木宗男さんや、佐藤優さんの能力は高かったのだと思います。

しかし、私が触れたいのは、今回の政府対応についてです。

一時帰国した河野大使が、ロシヤ大統領の北方領土訪問は国内的な要因が強い、と報告をしたのに対して、
菅首相が「もうちょっとしっかり情報収集しろと指示した」とあります。

なにか、ビデオ流出問題で、海上保安庁にすべて罪をかぶせようとしているやり方との共通点を感じてしまうのです。
菅さんの発言は、今回の件は外務省の責任、と国民に思わせるためのパフォーマンスだったと思えてなりません。

実際には、大統領が近い将来、北方領土を訪問する可能性について、各省横断的な情報を精査する内閣情報官により、9月終わりに報告が出ていたとのこと。

政府サイドの“「訪問して欲しくない」との願望が情報の取捨選択に影響を与えた”としたら、まさに官邸の情報、判断能力の欠如の問題です。

“現場にのみ責任を負わすことになれば、ますます現場のやる気を奪い、情報収集能力の劣化が進むことになるでしょう。”

その通りだと思います。

そもそも、前原外務大臣は、なぜ、河野大使を一時帰国させたのでしょうか。
そのことが、果たしてロシヤに対する抗議、もしくはメッセージになったのでしょうか。

河野大使は7日に静かにロシヤに戻されています。

大使は、その翌日、ロシア外務次官と会談したようです。(知りませんでした)
それについて、ロシア外務省が出した声明は、「ロ日関係の諸問題について意見交換が行われた」のみで、詳細には触れていません。日本サイドもその内容を説明していません。

そこでの日本側のメッセージが、
「色々あったけど、APEC首脳会議の時に、メドベージェフ大統領と菅直人首相の首脳会談をちゃんとやりましょうね。」

という内容に終始したのではないことを祈ります。

“APECで日ロ首脳会談を行う方向で調整が進んでいますが、メドベージェフ大統領の国後訪問の後、何の戦略もなくただ会うためだけの会談であるならば会わない方が良いでしょう。APECでの日ロ首脳会談は領土交渉を再構築するための外交的戦いの場であるべきです。
管総理、前原外務大臣のリーダーシップの下、外務省では今度こそ情報戦に負けないように詳細で正確な分析に基づき、緻密な戦略を立てて、日露首脳会談に臨むよう求めます。”

このNHK解説委員の結論を、私も繰り返したいと思います。

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