"ちょっと外から見た日本"

今、スペインに住んでいます。
大好きな日本のこと、
外からの視点で触れて見たいと思います。

“預金封鎖について”

2011-04-05 03:45:30 | 日記
預金封鎖、この言葉を聞いたことがある方は多いと思います。

『国が、国民のお金を使えないようにしてしまうこと。』

なんだか、遠い世界の話のような感じもします。

政府も、実施する時にしか、この言葉は使わないでしょう。


しかし、日本では、過去に預金封鎖を行ったことがあります。

第二次大戦後、膨大な軍事支出によって財政状態が極端に悪くなっていた時のことです。

当時も今と同じく、国債を保有していたのは日本国民でした。

「私は全く日本の国債を持っていませんけど・・・」

そういう疑問もあるかも知れません。

でも、あなたが、もし、銀行や郵貯にお金を預けていたら、それは国債を持っていることと同じ意味になります。

金融機関が、国債を大量に保有しているからです。

預金者からたくさんのお金を預かった金融機関は、一方で、いい運用先を見つけるのに苦労していて、その結果日本の国債をたくさん買わざるを得ないのです。
 
郵貯の場合、運用資金の約8割が、日本国債だと言われています。


終戦後、日本は、復興に向けて、悪化した財政状態を解消する必要がありました。

そして、昭和21年、政府は、国民の預貯金を使って、それらの財政赤字を補填するという強硬手段を取ったのです。

政府は、国民が銀行に預けてあるお金を小額しか引き出せなくした上で、日本円を旧勘定と新勘定という2つに分け、一定の期間をもって旧勘定が使えなくなるという政策を実施しました。

預金者は、自分の預金を引き出そうとしましたが、引き出し限度金額がとても低く設定されていたため、預けてあったお金を引き出すことが出来ません。

旧勘定と新勘定の移行期間は短かく、結果として、国民は、引き出せなかった旧勘定の資産を全て失うことになりました。


実は、日本は、実質国家破綻状態にあるギリシャやアイルランドよりも、財政状態が悪いのです。

但し、海外投資家の保有比率が高いそうした国々と異なり、日本では、国内の投資家が国債のほとんどを持っているため、今までなんとかしのいで来ました。

しかし、今や日本政府の借金は、GDPの2倍である1000兆円になっています。

本当は、もっとたくさんあるのではないかとも言われています。

一方で、国民の預貯金の総額は1400兆円を切って来ています。

これから、復興の為にもたくさんのお金を使って行きます。

日本の格付けはもっと下がって行くでしょう。

例えば、円安になってインフレとなり、金利が上がっていくと、国債の利払い負担は急増することになります。

そんな時、政府が何か手を打ちたいと考えても不思議ではありません。


ソ連崩壊後のロシヤでは、91年から所謂ハイパーインフレとなり、物価は3年間で、70倍、4900倍、34万3000倍となりました。

そして94年には、なんと通貨の価値を1000分の一にするデノミを行い、98年にはデフォルト、預金封鎖を行いました。


私は、これから、過渡期を経て、お金の役割が世界的に変わっていくと思います。

それは、一言で言うと、お金のためのお金ではなく、感謝の表れとしてのお金なのではないかと思います。

自分の必要なものやサービスが、それをなんとか届けたいという方々によって届けられる、そのお礼としてのお金です。




私は、今、世界的な過渡期に入っていると思います。

なので、預金封鎖やハイパーインフレ、デノミ等を予想して、お金を事前に引き出しておいたり、円を外貨に変えたりしても、それが実際のところ本当に有効な手段になるのかどうかわかりません。

これから、お金にこだわらない世界になっていくのではないかということから考えれば、その事にあまり神経質になったり、不安になったりする必要もないようにも思えます。

ただ、政府が情報を隠すということは、公害訴訟や、薬害訴訟、そして今回の原発の件含めて、たくさん経験していることなので、可能性として知っておいた方がいいことの一つなのかなと思い、触れてみました。


これからは、色々な可能性があり得ることを知っておくこと、

そして、

お金を、絶対的なもの、そして、それがあればなんでも手に入るもの、と思わなければ、それでいいのではないか、とも思います。

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