魂魄の狐神

天道の真髄は如何に?

特別会計廃止論 第五回(最終回)

2007-10-08 11:50:53 | 憲法考

 特別会計はそれに属する各事業の財政収支を分かり易くする為に設けられたと言う。然し、此ことが逆に国全体や地方公共団体全体の収支を全く分かり難くして仕舞っているのが大きな問題となっている。問題はそればかりでは無い。

 ひところ自己責任と言う言葉が流行った。年金や医療のように国民全員の福祉に関るものは國の関与があってしかるべきであるが、特定の分野や団体のみに関する国民や住民の負担を強いるような施策はすべきでは無いばかりか、逆に、当事者努力を低めることにもなるのだ。実は、このことが最大の問題で、利権の温床にもなるのだ。

 戦後の復興期には、経済基盤を確固たるものに成長させることは国民全体の福祉の向上には不可欠なことであったことに異論は無く、今日でも、食糧需給率をあげることは、国民の最大の関心事の一つとなっている。食糧生産者の自助努力を引き出し乍、國が側面から援助して行くのに効果的な仕組を再構築して行くことは急務である。年金や医療などについても、財政資金の流動化に向かっての仕組みの再構築は必要なのだ。

  以上のように、特別会計には国民全体で支えなければなら無い分野もあるが、それらとて特別会計として処理する必要性は全く無いばかりか、特別会計で処理するが故に、効率的資金運用が阻害されているのだ。

 何と言っても、各特別会計にぶら下がる独立行政法人や公益事業法人の存在意義は甚だ問題である。各独立法人が事業を実施する時には、民間に委託する。事業が民間委託で完結するならば、各省庁が直接委託を行えばよいのであって、手厳しく断定すれば、訳の分からぬトンネル組織を作っただけとなる。

 国家や地方公共団体は公権力を持ってはいるが、法的には単なる法人である。有体に言えば国民や住民の福祉の向上を目指すサービス業に属するのだ。民間の企業であれば、業績不振の時には、社員は給与の減額や休みの返上をしても、業績の回復に必死にならざるを得ない。飯の種が無くなるか如何かの時に労働条件が如何のこうのといっても始まらない。仕事は自分や家族の命の綱なのだ。国民にも責任があると言っても、此危機的状況を作った当事者意識を議員や公務員たちは持っているのだろうか?日本の経済にゆとりがあった時の仕組みに胡坐をかいている場合ではないのだ。日給月給で働いて時間給が六百円にも満たない人が必死で働いている中で、生涯賃金から割り出せば税金で飯食っている輩の時間給の平均額は五千円にもなると言う。能力主義といっても、此差は就労者としては最早、人類の個体間の能力の差などと到底言えるものでは無いのだ。国民へのサービスを極端に低下させた者達にどれほどの能力があると言えるのか?

 日本の高度成長期に作られた機構にしがみ付き、国民への負担増ばかり考えている場合では無いのだ。小手先の改革では、此國の凋落を食い止めることは出来無い。特別会計の仕事などは省庁や各自治体の職員でやるべきなのだ。年に粗三分の二しか働か無いで、税金の無駄が省ける筈が無いではないか?国家存亡にあたって、国民の多くにぎりぎりの生活を強いるので無く、当事者連は槐から初めよ!難局からの脱却と言う危機意識は全く見られ無い。『大変だ大変だ』と言いつつ、自分らの甘えの構造にある無駄の付けを国民に回しているだけなのだ。

 独裁政治での貪りは、一部のものに限られるだろう。みなし公務員を含め膨大な数に昇る者達が貪る構造は恐らく日本だけであろう。

 地産地消は地域の専売特許では無いのだ。國産國消は内需を拡大させ、雇用の増大も図られ、賃金の安定にも利するのだ。内需の拡大は公共事業でなされるものでは無く、国民には利益の薄い輸出に依存する極端なグローバリズムからの脱却が必要なのだ。デフォルメすれば國産國消を拡大出来る分の資源を獲得する為の外貨を稼げる分の輸出があれば良いのだ。其の為には、護送船団も悪では無いのだ。要は運用を枉げる輩を如何排除していくかと言うことに尽きるのだ。

 考えてみれば、國の道州制の推進の表向きの理由付けの根源となるものは、正に地産地消の奨めなのではないのか(國自身はそこまで考えて無いが)。

 それなら、國が先鞭をつけるべきではないのか?削ぎ落とした公務員達も民需の拡大によって民間事業に吸収させることにすればよい。

 これだけの大改革を目指す必要があろうかとの疑問は、年金の破綻があればどれだけの犠牲者がでるかを試算してみれば分かることでは無いだろうか?國が破綻しては貪ることは出来無いどころか、自分たちの生活すら危機的状況になって仕舞うのだ。

 槐より初めよ!政府や地方公共団体の無駄や財政逼迫の元凶である特別会計は即刻廃止されなければなら無いのだ。完


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