岩切天平の甍

親愛なる友へ

五番

2007年10月11日 | Weblog
  
  カーネギーホールの近年新しく出来たザンケル・ホールにベートーベンの五番を聴きに行く。

カタログをざっと見て、まあ、この一流ホールで演るんだから、どんな楽団でも五番は五番だろうと、あまり気にせずにチケットを買っていた。
この日の楽団はニューヨーク・チャンバー・オーケストラ、立派な名前だ。結成したてのお披露目講演だそうで、メンバーはみな若い。

一曲目はバーンスタインの“Overture from Candide”、音楽は人そのものだなんて思ってはいたけど、これほどとは・・・
飛んで来る音が元気!はつらつと初々しい!観客たちは皆ニコニコしている。若いっていいなー。嬉しくなってしまった。
二曲目はレスピーギの“「鳥」組曲”、若鳥たちが可愛らしい。

しかし五番はちょっと・・・僕のただの思い込みなのか、色気が無いと言うか、節々の深みが物足りないような気がする。曲をモチーフに楽団が歌うと言うより、曲そのものを目指しているといった感じ。作品そのものに向かうのか、作品から始まって真実に向かうのか、この違いは大きいかも。などと、まてよ、これは何も音楽に限ったことじゃないよね。ひとそれぞれ好みの問題なんだろうけど、写真を目指した写真、演劇を目指した演劇、文章を目指した文章・・・、あまり好きじゃない。

ボストン・シンフォニーもニューヨーク・フィルも、一人の歌い手がするように、一つの楽団が美しく強く悲しく歌う。これは指揮者の技量なのか、はたまた演奏者なのか・・・。たいへん面白いように思った。




最新の画像もっと見る