岩切天平の甍

親愛なる友へ

Taxi Vibe Radio

2007年11月02日 | Weblog

農家の撮影を終えてニューヨークへ。支局に機材を返してタクシーを拾ったのは真夜中を回っていた。こちらもドライバーも疲れ果てている頃、不愉快な思いは無用と、少々気を使いながら黒人のおっちゃんに行き先を告げる。

「パーク・スロープ、ブルックリンなんだけど、行ってくれるかい?」
「もちろん。ストリートはどこだい?」
愛想のいいテノールに少しほっとする。

「いい声だね。歌うのかい?」
「みんなそう言うね。歌ってるよ。年の半分はハーレムで、もう半分はジャマイカだ。教会で歌うんだ。」
「キングストンかい?」
「いや、山のほうさ。」
「知ってるよ。十何年前に一度だけ行った事があるんだ。あの北のビーチに抜ける峠のことだろう?」
「そうそう、オレたちのレーベルもあるよ。レゲエの、スタジオ・ワンって言うんだ。」

「レゲエって言えばキングストンで何とかってシンガーに会ったな・・・、シュガーとか言う名前の。」
「シュガー・マイノット!やつもうちの所属だよ。」
「へーえ。レゲエってその、ボブ・マーリー以降、彼に匹敵するようなシンガーっているの?」
「そりゃあいっぱいいるさ。オレ、ラジオもやってるんだ。ホラ、土曜日の一時半から、サイコーにイカしたレゲエかけてるから、聞いてくれよ。」
ヨレヨレの名刺を差し出す。

“ Taxi Vibe Radio”
93.5 FM WVIP
Abana Simmons

おしゃべりしていたら、あっと言う間に家に着いた。心の疲れはすっかり消えて、何だか楽しいような気分で車を降りた。
ありがと。



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