役員の退職金の損金算入時期 裁決事例 法人税

2019-06-27 14:32:57 | 税務・会計 法人税

 役員退職給与等の支給及びその金額について社員総会の承認を要する場合、その支給等に関する役員規定の理事会における承認をもって、本件死亡退任役員に係る退職慰労金等の債務が確定したということはできないとした事例

 請求人は、本件事業年度において、損金経理により未払金に計上した死亡退任した役員に対する役員退職慰労金及び弔慰金(本件退職慰労金等)の額は平成8年5月31日に開かれた理事会の決議に基づき制定された「役員規定」に依拠しているから、本件退任の事実をもって、本件退職慰労金等の支給金額が具体的に確定する旨主張する。
 
 しかしながら、法人税法第22条第3項第2号には、原則として、債務の確定した費用のみを損金の額に算入する旨規定されているところ、本件役員規定において、役員退職慰労金等は社員総会の承認を得て支給する旨、退職慰労金等の額は社員総会において承認された額とする旨が定められているから、退職慰労金等を支給するか否か、及び支給金額を幾らとするかについては、いずれも社員総会の承認に委ねられていることが明らかであり、そして、本件事業年度中に、本件退職慰労金等の支給に関して社員総会で何ら決議がされていない以上、本件役員の退任を原因として、本件退職慰労金等の額が自動的に決せられ、請求人がその支払い義務を負うことになると解することはできず、本件事業年度中に、本件退職慰労金等に係る債務が確定したということはできない。

平成13年11月13日裁決


 役員の退職金の損金算入時期

 法人が役員に支給する退職金で適正な額のものは、損金の額に算入されます。その退職金の損金算入時期は、原則として、株主総会の決議等によって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度となります。ただし、法人が退職金を実際に支払った事業年度において、損金経理をした場合は、その支払った事業年度において損金の額に算入することも認められます。

 (注1) 退職金の額が具体的に確定する事業年度より前の事業年度において、取締役会で内定した金額を損金経理により未払金に計上した場合であっても、未払金に計上した時点での損金の額に算入することはできません。
 (注2) 法人が退職年金制度を実施している場合に支給する退職年金は、その年金を支給すべき事業年度が損金算入時期となります。したがって、退職した時に年金の総額を計算して未払金に計上しても損金の額に算入することができません。

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