翡翠 (かわせみ)

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糸綴じ本の修理・改訂版(1)

2020-11-12 22:07:29 | 本の修理

いちばんノーマルな糸綴じ本の修理です。

 

全部で96ページの本です。

見たところあまり傷んでいないように見えますが

 

綴じがぐずぐずになっていますね。

 

茶色の紙が見返しで、左右で1枚の紙です。

左側は表紙に張り付いています(効き紙)。

 

上の写真で右側(見返し)を開けたところ。

本体(中身)に接続して中身を支えています。

 

後ろ側の見返しです。

紙の右側が効き紙で裏表紙に貼りついています。

 

これも本体に接続していて本体を支えます。

 

本を解体していくと本のつくりが分かります。

接続しているところは5mmぐらいの幅なので

注意して力を入れて横に引っ張ると剥がれます。

 

全部剥がれました。

 

網状の布が現れました

見返しの働きを補強する寒冷紗(かんれいしゃ)です。

 

表紙側の見返しも剥がしました。

 

寒冷紗を切断します。

カッターナイフなどで下側の紙を傷つけないように

本体を切り離します。

 

本体が切り離されました。

 

本体の背に厚紙と寒冷紗が付いています。

 

寒冷紗とちけん紙です。

ちけん紙は本を見開いたとき背が湾曲するのを補強します。

ノリで貼り付いているものですが長い間に剥がれやすくなっています。

 

本体が独立しました。

 

本体を綴じ合わせている糸や糸の跡が分かりますね。

 

綴じ糸を取り除くと10の束になりました。

この束を折丁といいます。

 

一つの折丁は、2つ折りの紙2枚一組で8ページの束になっています。

 

この本では最後の2つの折丁がそれぞれ4枚32ページで

全体で96ページになっています。

折丁それぞれ同じ位置に針穴があけられるように印をつけます。

(前から使っていた針穴は傷んでいるので使わないことが多いようです。)

 

目抜きなどで穴をあけます。

大きくなり過ぎず、

折丁の2つ折りの線から外れないように気を付けます。

 

これから糸で綴じていきます。始めの折丁は中綴じをします。

(前回の本の修理のブログも参考にしてください。)

 

 

 

中ほどの針穴から針を進めます。

糸を送って5cmほどを残しメンディングテープなどで糸を押さえます。

 

 

左方向へ針を進めて折り返して来たら

最初の針穴の1つ前の穴に出ます。最初の穴を跳びこして一つ先の穴へ行きます。

 

右端に行って折り返します。

 

今度は最初の穴に戻って針が出てきます。(必ずそうなります。)

 

 

 

先ほど跳びこしたときの糸がそこにあるので、

 

その糸を挟んで始めの糸と終わりの糸を結び合わせます。

この折丁はこれでおしまい。(つづく)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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