いきけんこう!

生き健康、意気兼行、粋健康、意気軒昂
などを当て字にしたいボケ封じ観音様と
元気印シニアとの対話。

川村記念美術館の自然散策 その6:シナガチョウからのコンタクト・コール

2008-10-26 10:27:40 | 散策
美術館の前にL字状に広がる白鳥池は、ここからの展望が一番です。
首を長く伸ばして白鳥池の展望を堪能しているシナガチョウ(写真中央)は、目線がL字の縦軸に重なる位置にいます。目線の正面には、藤棚のある土手が構えています。
ガチョウ達が直進するとL字の縦線と横線との交点があり、そこから右手に延びている池は、桜並木のある土手に突き当たり、そこには研究所があります。

白鳥池には、オシドリ、マガモ、フランスガチョウ、シナガチョウ、コブハクチョウ、カワウがいると記した「白鳥池の野鳥たち」が、ガチョウ達の後にあります。その看板から、フランスガチョウとシナガチョウの説明を引用します。

『シナガチョウ:カモ科 Anser cygnoides f.domesticus
中国北部で、野生のサカツラガンをもとにつくられた飼い鳥。上くちばしの付け根に瘤のような隆起が見られ、体色は灰褐色か白色。警戒心が強く、見知らぬ人や動物を見ると鳴くので、番犬がわりに飼われることがある』

一般にガチョウと呼ばれているシナガチョウは、真中で首を伸ばしています。その奥に1羽座っています。
この家禽(かきん)ガチョウの原種サカツラガンは、冬鳥として日本各地に飛来、越冬していたのですが、昭和20(1945)年以降は、ヒシクイの群れに混じって稀に渡来するだけになり、絶滅危惧種に指定されています。

「サカツラガンの和名は、鵞(が)です。さかつらひしくい、の別名があります。
江戸時代の学者は、自著に鵞の記録を残しています。雄略(ゆうりゃく)天皇8(464)年秋9月頃には日本へ伝来していると、貝原益軒(かいばら・えきけん)は日本書紀から引用しています。
もとは中国から渡来したものだが、今では世間に多い、と記したのは小野蘭山(おの・らんざん)。形は雁に似ているが大きく、飛ぶことは出来ない、と自著で公表したのは享保から文化(1803年~1805年)にかけた時代です」

ボケ封じ観音さまの話を聞くことにします。

「シナガチョウは、唐雁(トウガン)と呼ばれ、羽根色が蒼の蒼鵞(そうがん)と白の白鵞(はくがん)が作られ、今、我が国で飼育されているのは、大抵白鵞である。夜盗が来るのを知って鳴くので家々でこれを飼育するのだと伝承していると、野必大(や・ひつだい)は本朝食鑑(ほんちょう・しょくかん)に記録を残しています。食鑑の刊行は元禄10(1697)年、徳川綱吉の時代ですね」

「見知らぬ人は夜盗を指していたんですか。動物を見ると鳴くので、防犯のため番犬がわりに飼うように。元禄時代から伝承されてきた生活の理恵か、フム、ふむ。なァ~るほど。でも、今は公園や動物園以外では飼われることはなくなりましたよ、観音さま」
「綱吉の時代と今とでは、社会や生活環境に雲泥の差があります。それで良いのです。
うさぎ小屋と揶揄されている日本の家で、シナガチョウは飼えませんしね。
番犬代わりに飼われていたことが後世に伝わるだけで、元禄の頃の生活環境や本草学(ほんぞうがく)との係わりが推察できるから面白い。そうでしょう。渡り鳥を家禽にするまでの改良記録は、今でも貴重な情報ですよ」

自然林散策路から美術館へ入る路に小さな門があります。
その少し先の方から、グァー、グァーと騒々しい鳴声が聞こえてきます。
シャッターチャンス到来と近寄っても、真中のガチョウだけが、警戒しています。
グァー、グァーと警戒の鳴声を発しても、カメラ目線の顔はサービス満点に見えます。

上嘴(くちばし)と額との間に隆起している瘤状の突起はオスの特徴で、サカツラガンから引き継いだ遺伝的なもののようです。サカツラガンのコブは、シナガチョウのように大きくはありませんが、コブの起源を見ることが出来ます(江戸鳥類大図鑑)。

『白鳥池畔で、Shall weダンス!?』(08年6月27日)で紹介したジョエル・シャピロのブロンズ像が展示されている場所の近くに、ガチョウ達の餌場があります。
そこから土手を登ると散策路があり、車椅子で散策している人を相手にしてグァー、グァー騒いでいたのも彼です。

彼の奥でじい~っとしている音無しがチョウの眼の上(ほとり)辺りから喉にかけて白色の筋が見えます。これが酒面(さかつら)に似ているので、ずばり、酒面雁(サカツラガン)。
今は、オレンジ色を帯びている側頭部の羽毛が、飲食して紅潮した状態の酒面に見えるから、酒面雁とする説が通り相場になっています。

『フランスガチョウ:カモ科 Anser anser f.domestica
フランスで、野生のハイイロガンをもとにつくられた飼い鳥。体色は灰褐色か白色。肝臓を肥大化させたフォアグラをとることで有名である』

ところで、関東雁(かんとうがん)を記録した「江戸鳥類大図鑑」があります。
この大図鑑の説明は省略しますが、徳川幕府の若年寄を務めた下野佐野藩主・堀田正敦(ほった・まさあつ)は、30数年間に亘って作成した観文禽譜(かんぶんきんぷ)を天保2(1831)年に完成させ、それが現存しています。
図鑑には734項目、1,242枚の図、438種類の鳥が収録されています。その中に関東雁があったのです。

ハイイロガンを調べるのに江戸鳥類大図鑑の目次を検索すると、図は関東雁なのです。
ヨーロッパのハイイロガンは、亜種キバシハイイロガンを家禽化したツールーズ種などのヨーロッパ系ガチョウの原種であるが、この原種と関東雁の図に描かれた数少ない類似性をもとにして、関東雁が論じられていたようで、和名が関東雁らしいとされる図は、ヨーロッパ・ハイイロガンをもとに作出された可能性があると推測している。今日、図のような雁は世界のどこにも知られていない(江戸鳥類大図鑑解説)。

迷鳥または稀な冬鳥として日本へ渡来するのは、アジアの亜種ハイイロガンで、その詳しい生態情報は少なく、昔から珍鳥とされ関東雁とされていたのかも知れない(日本鳥類大図鑑、江戸鳥類大図鑑)。

フランス南部産ガチョウのツールーズの肝臓を肥大化させてとったフォアグラ・ドワが有名なことは、ご存知の人が沢山いるでしょう。
フォアグラ・ドワの価格は、1kg当たり15,000円で、量り売りもしている店がネット検索できるくらいだから。

首を伸ばしている彼の手前で一休みしているフランスガチョウは、自分がフォアグラの代名詞になっている現実を知らないせいか、うつろな眼をしたまま動きません。朝の餌をついばんだ後の休憩時間なのでしょう。

鳥類の世界では、同種または異種の2羽以上がなんらかの関係を持って生活している状態を社会と定義しています。
白鳥池では、酒面のシナガチョウの仲間とフランスガチョウとの社会生活が営まれ、安住しているようです。それで、見知らぬカメラマンが近寄っても、うつろな眼をしたままなのでしょうか。

酒面2羽とフォアグラ1羽の写真からは、仲間割れを起こすような雰囲気は感じられません。
首を伸ばしている彼は、カメラマンと接触をするために鳴いたのかも知れない。
車椅子の散策者に向かって鳴いた時、彼はカメラマンの声を聞いていますし、対峙しているのです。

「警戒して鳴いている」

カメラマンは、車椅子を押している男性に話かけると、彼と対峙して写真を撮っています。
だから、彼はカメラマンにコンタクト・コールを送ったのでは・・・。

ガチョウ社会におけるコミユニケーションは、鳴き声で行います。
ハイイロガンは、鳴き声の高低や音節の数などを組み合わせて自分の意志を相手に伝達します。
ガアガア鳴き、ゴロゴロ鳴きなど、それは、卵から孵化するまでの親子の会話から始まり、ヒナと親、番い、家族、仲間、群れなどの様々な関係に至るまで徹底されており、ガチョウ社会の秩序を構築・維持する基礎となっています。様々な関係の中で相手に意志を伝える鳴き声はコンタクト・コールと定義されています。

ガチョウ社会の秩序に適応できない個体には、社会からはじき出される厳しい掟、種内淘汰が待っています。
さらに、人間は、他のどんな社会的な動物より、種内淘汰の有害な作用には、はるかに強くさらされている、と明言しているのは、K・ローレンツです(ハイイロガンの動物行動学)。

酒面で鳴き声をあげた彼は、ハイイロガンと同じマガン属ですから、カメラマンに向かってコンタクト・コールをしたのではないか・・・。

サカツラガンがシナガチョウに変身させられる過程で、本来持っている習性との違いが生ずるか否かなど、専門的なことは素人には判りません。
ところが、写真を観ていると彼のコンタクト・コールが聞こえてきます。

「今日は。あなたの姿が目に留まったので声をかけました。ここからの展望は最高ですよ」




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鬼灯(ほおずき)の思い出話 その2:ごまかしサクランボとスイカ泥棒

2008-10-22 23:39:57 | 散策
昭和25(1950)年頃、男の子たちの遊びは、パッチ(メンコ)、ビー玉、手作りパチンコでスズメ捕り、チャンバラごっこ。
遊び仲間とさくらんぼの木に登り、さくらんぼをむしゃぼったり、畑のスイカを盗って食べたりするのも遊びのうちでした。

3年前、ひと苗290円のトマトを植え、数日後に抜き盗られた時は、本当に腹わたが煮えくりかえりました。安いトマトの苗は残っているので、明らかに高級苗だけを狙っているからです。そして、今年はスイカ泥棒。

家庭菜園に植えたスイカは、4月末から連休明けにかけても天候不順が続き、苗の成育がままならぬ状態でした。菜園の雑草は生命力が強く、2週間も放っておくと草ボウボウになります。
草取りの合間に、カボチャ、ナス、キュウリ、スイカの生育を促す追肥も欠かせません。

猛暑が続いた夏を迎え、3本植えたスイカの苗の中で、一番先に実をつけたスイカが食べごろになり、あすの朝、採って食べようとしていたスイカは、翌朝、菜園から姿を消していたのです。

見付かって捕まるのではないか、というスリルが子供心を高ぶらせ、オヤツのない時勢のスイカに触手をのばしたくなり、悪魔の誘惑に負けていたことは確かです。反面、心のどこかに後ろめたさがあり、罪悪感がありました。親に叱られ、謝りに行かされてスイカ泥棒遊びに終止符を打っています。このような子供体験は、シニアエイジを迎えている人たちに共通する体験のように思います。

トマトの苗、育てたスイカが盗まれて痛感したことは、遊び仲間とサクランボ食いをした相手の心情を忖度させられ、反省することしきりでした。

「後悔、先に立たず。時効にしましょう。ところで、真っ赤に染まったほおずきは、秋になると花被片(かひへん)の葉脈も朽ち果ててしまい、赤い実(写真)だけになります」
「ほおずき市に並んでいる、あの真っ赤なほおずきも、サクランボだ」

ボケ封じ観音さまの話に相槌を打っていると、

「ほおずきの花言葉は、英語でごまかし。さくらんぼに似て非なる鬼灯の実を表しています」
「地面のさくらんぼ(ground cheery)、冬のさくらんぼ(winter cheery)の俗名を隠れ蓑にしてさくらんぼ市場に流通させるのに、観音さまの神通力を拝借したいなあ」

駄目でもともと、と覚悟して、観音さまにお伺いをたてます。

「物性的にも突飛な発想ですね。商品偽装を特技とする経営者なら可能性は高いでしょうが、素人の元気印には、とうてい無理な話です。それよりも、ほおずきの根茎を乾燥させて、古くから漢方で用いられています。こちらの方が商品として価値がありますよ。
酸漿根(さんしょうこん)という生薬名の漢方薬は、咳止め、利尿、解熱に効能があります。そして、酸漿は、ほおずきを表す漢字です(図説・花と樹の事典)」

ごまかしサクランボの話から、漢方薬の商売を開業するように薦めるのです。

「そして、ほおずきは、宗教に関係のある風習としても登場します。
日本では、盂蘭盆(うらぼん)や七夕に祖先の霊を迎える花として供える地域があり、ヨーロッパではクリスマスや新年の飾りにしています(同書)」
「・・・・・」

イエス・キリストにまで話が及ぶボケ封じ観音さまに付き合っていると、アリ地獄になってしまう。徹夜になる前に退散だ。逃げるか勝ちい~。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

もみ殻で焼き芋作り

2008-10-21 06:37:33 | 時の話題
横浜に住んでいる次男一家が遊びに来たので、10月19日に開催された「富田町コスモス祭り」へ出かけました。

昨日、家庭菜園でさつま芋掘りを済ませている孫たちの狙いは、落花掘(らっかぼり)です。
落花生を植えてある畝、1列の長さが2m位ある2列の畝で落下堀をします。
おおよそバケツ一杯の落花生が採れ、帰宅してから丹念に水洗いをして茹で落花生を作ります。
強めの塩味をつけると結構いけます。食べだすとキリがありません。

ニンジン堀りに移った奥方達は、孫達を誘って大根の収穫に取りかかります。
大根抜きは3本、ニンジン袋を見た主催者は、おまけ大根1本を引き抜いて奥方に手渡します。
旦那の心憎い気配りに感心しました。

昨今、お役所では、地域振興の必要性が声高に叫ばれていますが、我が千葉市若葉区冨田町のコスモス祭りは第11回目を迎え、かつ、富田町自治会は、5年前の第42回農林水産祭村づくり部門で農林水産大臣賞に耀いていたのです。
孫達のコスモス祭りに同行して、初めて知りました。

それから、祭りでは焼き芋つくりを拝見しました。
薄い金紙に包んださつま芋を、火でいぶしたもみ殻のなかに埋めて、じっくりと焼きます(写真)。
薄い金紙に包んださつま芋にもみ殻を被せています。火の気が残っているもみ殻から出ている白い煙が風に流されています。
このもみ殻の火加減を調整する中央の煙突には、苦い経験の跡を感じます。
これまでに体験した焼き芋作りのノウ・ハウがあってこそ完成した煙突です。

「シンプル・イズ・ザ・ベスト、ですね」


元気印の思惑に賛同したボケ封じ観音さまは、何かと元気を与えてくれるのです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鬼灯(ほおずき)の思い出話 その1:ほおずき笛と音楽堂

2008-10-15 04:17:08 | いろいろ
暑さ寒さも彼岸まで。
今年の猛暑は、この諺が的中した夏でした。彼岸を過ぎると一気に秋。

猛暑にも負げず真っ赤な実をつけたほおずきも、赤い皮が朽ちて葉脈だけが網目状に残り、透けて見える赤い実に出遭うと、ほおずきをブゥ~、ブゥ~と鳴らして遊んだ夕張(ゆうばり:北海道夕張市)を思い出し懐かしくなりました。

赤い実をやわらかく揉み解し、小さく開いている口穴を破らないようにして種を抜くと「ほおずき笛」の出来上がりです。
苦味があったかどうか、口に含んで鳴らした記憶だけはあります。実は、ほおずき笛と呼ばれていることを、この年になって知りました。

口に含んだ袋の口穴を外側に向けて空気を吸い込むと、袋状のほおずきに空気が充満します。
ほほをつぼめると袋の空気が外へ押し出されます。このとき、ブゥ~と音がでます。ただの袋が笛に早替わりします。
ほほの中は音響効果のよい音楽堂ですから、吹き手ごとに笛の音色を楽しんでいました。

ほおずき笛の音の記憶が曖昧なので、愚妻と夕食のおかずにします。

「ほおずきを鳴らすと、どんな音がしたか覚えている」

ほほに空気を吸って吐き出す格好を2回繰り返します。
口をへの字に曲げて袋の空気を押し出す仕草が、ほおずきを鳴らす時の顔でしたが、鳴らせなかったので、笛の音は覚えていないとのこと。
結局、未確認のまま夕食を終えました。

50数年前、小学校低学年時代を思い出させてくれたほおずき(写真)。
チャッピー(シーズ)とミミ(シエットランド)との散歩道に咲いているほおずきは、提灯に見えます。
提灯の大きさに比べて大き過ぎる灯を燈しているほおずきの別称、灯篭草、金灯篭に因んだ句が浮かびました。

 灯篭草 今朝も出迎え 散歩道
 初秋の陽 耀きともす 金灯篭

ほおずきを詠んだ芭蕉の句があります。
 
鬼灯は 実も葉もからも 紅葉哉    

赤い実を顔に見立てたほおずき人形も作られていますが、道産子の元気印は知りません。
ほおずきを見つけると鳴らしあっていたので、笛の作り方は遊びの中で覚え、年をとるにつれ忘れてしまいました。

このように、古くから子供の遊びに使われていたほおずき。
ほおずき笛の作り方を思い起こして、孫達の音楽堂で吹かさせてみよう。

 ほおずきを 鏡にむかい 鳴らし見る  山田 土偶



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

川村記念美術館の自然散策 その5:英気を養うトノサマバッタ

2008-10-07 00:06:16 | 散策
青春を謳歌するオンブバッタ(9月24日)と遭遇する前、大賀ハスの果托で成虫となるために英気を養っているトノサマバッタ(写真)に出会ったのです。

そのせいか、撮影に近づいても動きません。
捕まえようと手を伸ばしても平気の平左。
度胸が据わっているのか、朝寝をして警戒心が弱くなっているのか・・・。
人の気配に鈍感になっています。

9月17日9時40分ころの大賀ハス池は、初秋の快晴に恵まれました。
朝の爽快な空気を味わい、快適な初秋の陽光を全身に浴び朝寝をして、太陽からのエネルギーを貪欲に体内へ取り込み、一刻も早く成人式を迎えるのだ。
そんな感じがする、日光浴大好きなトノサマバッタの風貌です。

   ♪♪
    トノサマバッタさん
    何で身上(しんしょう)つぶした
    朝寝、朝酒、朝湯が大好きで
     それで身上つぶした
  
「もっともですね。彼には、未だ、幼さが残っています。体全体が透き通るような淡緑色で、翅も脚も日焼けしていません。眼は翅と同じ濃茶色になりますが、白色の眼に黒い点が見える状態でしょう。身上つぶすのはこれからです」

トノサマバッタの代弁をするボケ封じ観音さま。
ボケ封じ・カラオケクラブを立ち上げたらしく、民謡にまでレパートリーが増えています。

   ♪♪
    エンャー 鹿島台の 紅葉の秋よ
    風もほがらに エーマタ 佐倉城

春眠暁を覚えず。これは、私達、人の世感覚です。
幼虫から成虫になって間もないトノサマバッタにとって、今まさに春爛漫です。
初秋の眠り暁を覚えず、そのものなのです。そして、寝る子はよく育ちます。

彼が英気を養っていた果托は、重い頭を垂れ下げ朽ち果ててしまいました。
大好きな朝寝、朝酒、朝湯をする果托は、大賀ハス池にもうありません。

幼虫から成虫までの寿命が5ケ月ほどしかない彼は、出会いからわずか2週間しか経過していなくても、庭園内を飛び回り、探し当てた安住の場所で亭主関白になって、殿様風を吹かせているでしょう。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

川村記念美術館の自然散策 その4:汗か涙かタマスダレ

2008-10-05 11:01:01 | 散策
大賀ハス池の草原側にある花畑の縁取りに、春は水仙が植えられていました。今は白色の花が帯状に植えられ、見頃になっています。

「私らは、タマスダレと呼んでいます」

川村理化学研究所構内の庭園管理を請け負っている造園業の人から教わりました。
菖蒲園の手入れが終わって事務所へ戻る途中でしたが、笑顔で花名を教えてくれたのです。

 ~ ちょいとひねれば、ちょいと、ひねれば、日米国旗に早変わり。
       日米国旗を ちょいと伸ばせば釣竿に。ちょいと ~

南京玉すだれを演じる大道芸人が、脳裏を走り抜きます。

明治の初め頃(1890年前後)に中央・南アメリカから渡来したゼフィランサス。
細長い葉が集まっている様子を簾(すだれ)、六弁の花の白さを玉に例えて玉簾、珠簾。
これが、和名の由来になっています。
また、雨後に花を咲かせるのでレインリリー(写真)、三重地方にはアメフリソーの別名があります(木村洋二郎著:図説花と樹の事典)。

白花のタマスダレ、ピンク花は、サフランモドキ(ゼフィランサス・グランディフロラ)です。秋に黄色い花を咲かせるキトリナなどの交配種があると「花の事典」で説明されています。
ここには、サフランモドキやキトリナは植栽されていないようです。

花弁の水滴を強調するため、55‐200mmズームを200一杯に引っ張りました。
ニコンD70と買い換えたD60の試写に出かけた時に撮ったのですが、まあまあと満足している1枚です。
余談ですが、接写モード撮影は、カメラを三脚に固定する作業に時間が取られるから、大の苦手。 

「常時、三脚を持ち歩くからでしょう。カメラマンと被写体との純愛物語、今は昔の話になりましたね」
「・・・」
「手ぶれ補正のあるズームレンズで撮りましたね。三脚はお邪魔虫。清らかな愛情を持って被写体に接していませんよ」

ボケ封じ観音さまは、ゼフィランサスの花言葉を言いたいのだ。

秋雨が降った直後の花畑では、泣き虫リリーや汗かき玉すだれたちが井戸端会議ならぬ、池端会議に夢中で、ワイワイ・ガヤガヤやっています。

レインリリーや玉すだれ娘は、一張羅(いっちょうら)の晴れ着に着飾って、花の愛好家、花好きカメラマンの来訪を首、いや、花を長くして待っています。 



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

川村記念美術館の自然散策 その3:白鳥池畔のパンパスグラス

2008-10-04 15:09:06 | 散策
シロガネヨシと呼ばれるパンパスグラスは、ブラジル、アルゼンチン、チリなどの草原が原産地で、パンパスは草原を意味するとか。

  ♪♪
   己(おれ)は河原の 枯れ芒(ススキ)
   同じお前も かれ芒
   どうせ二人は この世では
   花の咲かない 枯れ芒


「船頭小唄の一節ですね。大正10(1921)年に野口雨情(のぐち・うじょう)が作詞、中山晋平(なかやま・しんぺい)が曲を付けた歌謡曲で、昭和32(1957)年に、森繁久弥(もりしげ・ひさや)が「雨情物語」の主題歌で歌っています」

ボケ封じ観音さまは解説してくれます。

 名月や 池をめぐりて 夜もすがら

芭蕉の句は、白鳥池畔に植えられているパンパスグラスの心境ですね。

今年の我が家の月見は、家族が三々五々と満月を眺めて終わりでした。
ススキ、オハギと草団子の月見飾りを見ながら家族団欒する楽しみは、一昔前の風情になってしまったのでしょうか。

昭和が平成に替わった頃から、夫婦、家族であっても「ゴーイング・マイ・ウエイ」。
好きな道を各自が選ぶ社会風潮が強まり、夫婦や家族の絆、地域住民を束ねるのに「何々の絆を大事にしよう」というキャッチフレーズが、その反動として喧伝されています。

「白銀色の花穂を付けているパンパスグラスには、河原の枯れススキの心情はありませんよ。
草原に生息するパンパスグラスは、カラッとしています

 ♪♪
   死ぬも生きるも ねえおまえ
   水の流れに 何変(かわ)ろ
   己もお前も 利根川の
   船の船頭で 暮らそうよ

プラス思考のボケ封じ観音さま。
異国の地で、西日を受けて生き続けているパンパスグラスの姿に大正ロマンを感じ、野口雨情の歌心を訴えてくるのです。

※写真は平成20年10月3日、午後3時頃撮影。川村記念美術館前から研究所構内へ通じる路の入口門から。閉鎖されている門の左には、酔芙蓉(すいふよう)があります。







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする