ギリギリ探偵白書・125


 ギリギリ探偵白書
 「田中とストーカー・第2話」



 調査対象者であるストーカーは田中の知り合いだった。
 そして、我々が張り込んでいるとも知らず
 ストーカーはマンションにやってきた。 



田中   「はい。自分が先に行きます」


田中はマンションへ走っていった。

すると、電話が鳴った。


阿部   「どうした?」

サザビー 「おう、マルタイ入ってきたぜ」

阿部   「証拠押さえてから行くぞ」

サザビー 「おっ、田中。あべちゃん、そっちのブタが上がってきたぜ」


サザビーは依頼者さんの住む階で張り込んでいた。


阿部   「先に証拠だと伝えてくれ。今上がる。」


私は電話を切り、階段をかけ上がった。

明らかに田中の様子がおかしい。
普段なら隣りでお菓子を食べているはずの田中が今日はお菓子を
買っていたが、袋を開けてはいない。
しかも、マルタイを見つけるとすぐに現場へ急行している。

(今日はいつもより静かだし、様子が変だ・・・・)

玄関先には小型のカメラを仕掛けてある。
その映像は、サザビーのモニターに送られてくる。

私はモニターを覗き込んだ。

(あっ、玄関に何かしてる・・・)

サザビーがボールペンでモニターの一部を差した。

(・・・ん?なんだ・・・)

サザビー 「(小声で)どうする?今ならヤツは逃げれないぜ」

阿部   「(小声で)なんで?」

サザビー 「(小声で)だって、ほらっ、これって茶色のズボンじゃな
      いぜ。ほらっ、何とかキングってヤツだよ。」

阿部   「・・・・変態かよ・・・」


私は目で行くぞという合図をした。
すると、田中が大きく頷いた。

その男は玄関に体を押し付けているのに夢中で、我々が近付いても気がつかなかった。

私は男の左後ろに立ち、田中は右後ろに立った。

田中が男の肩をたたいた。


男    「え?あっ?・・・・なんでもないです。へ?え?」

田中   「○×先輩、こんなことしちゃダメですよ」

男    「た、田中・・・・もしかして・・・」

阿部   「○×君、君のしている行為は、ストーカー行為だよ」

男    「・・・俺にだって理由はある」


男は振り返り、素早く構えた。

そして、田中の首にめがけて、鋭く殴りつけた。

田中はよろめき、苦しそうにうずくまった。

田中が倒れるのとほぼ同時に、私は襟首をつかまれた。
すると、私の体が地面から浮き上がった。

(まっ、マズイ・・・)

私は男の小指をつかみ、思いっきり捻った。


男    「うわっ」


男の手が私から離れ、男は指をおさえながら、うめき始めた。


田中   「みっともない事してんじゃねぇー!!」


田中は男に飛び掛った。

そして、男を取り押さえる事に成功した。

男は依頼者さんの(アルバイト先の)元同僚で、顔見知りであった。
はじめは友達であったようだ。
そして、クリスマスを期に、男は依頼者さんに告白したが、断られた。
その腹いせに嫌がらせをしていたようだった。


田中   「俺なんて、もう100回以上フラてますよ!!
      しかも、格好悪いフラレ方で!!」

サザビー 「それでも、お正月にはお餅を美味しく食べてるもんな」

阿部   「俺にお年玉ねだってくるもんな」


男はもうストーカー行為はしないと強く私に約束した。

それ以来、依頼者さんは一切、嫌がらせ行為を受けていない。


阿部   「そういえば、田中も人の子だよな。緊張してたもんな」

田中   「え?・・・実は寒くてお腹壊したみたいで、う○こしたか
      ったんですよ。で、殴られた時お○らが出てスッキリして」

(そういえば、あの時、ガス漏れみたいなニオイがしてたな・・・)

(バリバリバリッ)←ポテチの袋を開ける音。

田中   「カ○ビーのコンソメ味かぁ・・・・」

阿部   「・・・・・」

(どうやら、T.I.U.も無事、お正月を迎えられそうだ)





        完



 メールマガジン「ギリギリ探偵白書」の復刻版です。

 ギリギリ探偵白書は、過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
 尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。
 また、同作品に登場する人物名は全て仮名です。


 ギリギリ探偵白書の登録はコチラ 
 http://www.mag2.com/m/0000121372.html 

 T.I.U.総合探偵社 

 ランキングです。
 応援お願いします。  → 人気blogランキング
              → にほんブログ村
              → ブログランキングranQ
              → FC2 Blog Ranking
              → ブログの殿堂
              → 日記@BlogRanking
              
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )