おすそわけの素

どうでもいいんだけど他の人にも話したくなるような
ちょこっとした話。

時は流れて

2011年07月10日 | Weblog
子供の頃、祖父母の家に遊びに行くのは
夏休みとお正月の年に2回くらいでした。

父方の祖父母と母方の祖父母の印象はとてもはっきりと対照的でした。

横浜に住んでいた父方の祖父母は、まだ道路も空いていた
昭和30年代から自動車で中華街へ(その頃、祖父母は南京町と呼んでいました。)
つれていってくれたり、伊勢佐木町の不二家にパフェを食べに
連れて行ってくれたりしました。
コーラと昼寝の好きな祖父と民謡おどりと料理が得意な祖母。
明るくてにぎやかで町内会に知らない人はいない
典型的なカカア殿下の夫婦でした。


渋谷に住んでいた母方の祖父は、都庁に務めていて
いつも決まった時間に出勤し決まった時間に帰ってくる人で
掘りごたつの火鉢の横が指定席でした。
火鉢には、鉄瓶がかかり炭をいじりながらキセルを加える
静かな姿に、子供ながらにいつもちょっと緊張していました。
祖父は盆栽や庭弄りと釣りがとても好きでした。
防空壕跡を利用して自分で作った池には鯉が泳いでいました。
私も縁側に座っては、鯉にお麩をあげたりしながらしっとりと
湿った苔をながめるのが好きでした。

祖母は、いつもにこにこ笑顔が優しい物静かな人でした。
掃除が行き届いた廊下は、ピカピカで寝転ぶとヒンヤリとして
とても気持ちよかったことを思い出します。
そんな祖母がお茶の時間に出してくれた紅茶が入っていた
カップ&ソーサーが、今は私の手元にあり日常に使っています。
そのノリタケのカップには小さな花模様が入っていて
薄でのせいもありますが、長い時を経ていまここにあると思うと
扱うときも心なしか丁寧になります。



その頃食卓に並んだ器は、けっこう記憶に残ってるもので
器を見て「これ、よく使っていたね~」と思い出話に
花が咲くこともあります。
もしかしたら、ちょっと緊張気味に食卓についていたので
器ばかりじっと見ていたからなのかもしれません(笑)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする