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微分・積分(その1) ニュートンの運動法則から

2011-01-09 09:18:08 | 微分積分
『大人のための数学・物理補習塾』その3は『微分・積分』をテーマとしたい。

高校の数学で微分・積分でつまづいた人は少ないと思う。 ただ、現代文明は微分・積分無しには考えられない。 高校の数学で習う微積が退屈なのは、多くの場合、『数学』としてしか習わないからである。 微積が如何に重要かは、その多岐にわたる応用にある。

さて、最も簡単な例から微積を扱ってみたい。

高校で習う物理で、ニュートンの運動の三法則を習ったと思う。 忘れた人は多いと思うが。

1.慣性の法則:物体に力が働かなければ、物体は等速直線運動を続けると言う法則である。 
2.力の法則:物体に働く力は『物体の質量に加速度かけたものに等しい』
3.作用反作用の法則:二つの物体の間に働く力は大きさは等しく、向きは逆である。

これがニュートンが発見した運動の法則である。 微分積分もニュートンが生み出した数学(ライプニッツも同時期に貢献しているが)である。

微積分が生まれたことで、上記の運動の三法則を数学的に記述できることになった。

運動の三法則で重要なキーワードは『等速直線運動』、『質量』、『加速度』そして『力』である。

等速直線運動とは、物体が向きを変えずにずうと同じ速さで進むということである。 ここで、重要なのは『向きを変えずに同じ速さ』と言うことである。 向きを変えると力が働いたことになる。 また、速さと向きを同時考えると、それは物理では『速度』と言う用語になる。

さぁ、付いてきてますか? 

『速さ』とは自動車についてるスピードメータの値のことである。 そして、『速度』とはスピードメータの値に車の進んでいる方向(前に進んでいるのか、バックしているのか、カーブを曲がっているのか)も加味して考えた物である。 数学的に言えば、『速さ』とは値だけを持つスカラー量であり、『速度』とは値と向きを持つのでベクトル量となる。

慣性の法則で力の働いていない物体は等速直線運動をするということは、身近な例を挙げれば、高速道路の直線部で、車がしばらく同じスピードで走っていると場合である(厳密ではないが)。 高速道路でスピードメーターの指示値は同じであっても、カーブを走っているときは、等速直線運動ではない。 なぜなら、『向き』が変化しているからである。 

高校の物理では速度は記号vで表すことは習ったと思う。 

運動の三法則の二つ目の物体に働く力は質量に加速度をかけたものに等しい。これを式にすると
[力]=[質量]×[加速度]、
または、
f=ma (fは力、mは質量=厳密ではないが重さと同じと思ってもらって構わない、aは加速度である) で、高校では速度と加速度をそれぞれ、vとaで別々の記号で表して習う。 こう習うので、物理が分からなくなってしまうし、微積も分からなくなってしまう理由と、私は思っている。

加速度とは文字通り速度が加わる度合いと言うことなのであるが、これだと、速さが増えることしか表さないように誤解される。 減速度と言う言葉は物理には無いのだが、自動車でアクセルを踏んで加速するときと、ブレーキを踏んで減速するときのスピードメータの時間的な変化の度合は共に加速度の値の大きさである。 加速するときも減速するときも、物理では加速度と言うのである。

高校の物理で、速度と加速度を習うときに、数学の授業では微積分を習っていない可能性がある。 だから、物理の教科書では速度vと加速度aと別々の記号で書かれる。

でも、加速度aは速度の変化の度合いなので、実を言えば、加速度とは速度の時間の一階微分量である。 つまり、

a=dv/dt

である。 速度を時間で微分すると加速度になる。 また、加速度を積分すると速度になる。 ちなみに、速度がベクトルなので、加速度も同様にベクトル量である。 大きさと向きがある。

よって、
f=ma=m(dv/dt)
である。

微分の公式が沢山あるが、微分を理解するためには、多くの公式を理解する必要はテストのときだけで十分である。 普段は公式集を見ればいい。 でも、
a=dv/dt
は忘れてはいけない関係である。 

自動車はアクセルを踏めば加速し、スピードメータの指示値が増えていくが、あの増える度合いを式にするとa=dv/dtとなる。 

難しいことを言えばきりが無いので、感覚的に微分と積分を理解しようとすると、自動車を加速させるときの体感をイメージしてもらえば良い。 

高校で、物体の落下運動、つまり、
ma=mg (gは重力加速度)を習うが、あれは、あまり身近でない。 多分自動車の加速の方が感覚的であろうと思う。

となると、ゼロヨンタイムを良くするために、どう自動車を設計するかと言う場合には、a=dv/dtをどうするかと言うことになるので、微積が使われることになる。

微積は身近にあふれている。

次回にもう少し詳述する。 ただし、厳密性は無視して。

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