峠を越えてもまだ先がある

谷 和也 シニアの挑戦 ゆっくりマイペースで

あれっ、名前が違う!

2005年06月01日 | スペイン語
 話題の本だというので、昨夏「グッドラック」(Good Luck 第3刷 ポプラ社)を買って、読んだ。その時には、何気なく、スッと通りすぎたが、原書「La Buena Suerte」(2a edición)を見て(まだ読了はしていない)、「エッ」「あれっ」と驚いた。登場している名前が違う。原書で名前をつけていない公園が「セントラルパーク」と翻訳されている。

 この本はスペインで04年2月に発行され、アレックス・ロビラ(Álex Rovira Celma)とフェルナンド・トリアス・デ・ベス(Fernando Trías de Bes Mingot)の共著。原書は当然スペイン語。

 かつて友人同士だった2人の男が、公園のベンチで54年ぶりに再会。成功した男が落ちぶれた男に、祖父から聞いていた『魅惑の森』の「四葉のクローバー」(el trébol de cuatro hojas)の話をする。その部分がおとぎ話仕立てになっていて、幸運のつかみ方を読者にも伝えるわけ。最後に2人の男が登場して、締めくくっている。

 成功した方の男の名が原書では「Víctor」なのに、翻訳では「マックス」。もう1人の「David」が「ジム」に。原書では公園の名はいくら探してもない。「el mayor parque de aquella gran ciudad」(ある大都市の大きな公園)とだけ。それが翻訳では「セントラルパーク」となり、目次まで「セントラルパークでの再会」としている。

 ほかにも、いろいろあるが、この名前の件だけに絞る。翻訳者に直接、確認もしないでものを言うのは失礼なこと。だけど、書店に出て公開しているものを、比較するぐらいは支障ないだろう。

 セントラルパークというのは、アメリカ・ニューヨークにある有名な公園。寓話部分と導入・結びの“現実部分”を際立たせるため、実在の公園名を使ったのだろうか。2人の名もそれに準じてということか。それにしても、スペインの作者でスペインの本なのに、ニューヨークの公園に設定するのは、どんなものだろう。

 翻案小説なら別だが、翻訳本にはルールがあると思う。その国の文化・言語になじむよう書き換えても、枠を超えてしまっては、それこそ原作者に失礼になる。枠内か枠外かの判断はむずかしい。判断は個人の解釈というより、多くの人が了解できるということを基準にすべきだろう。それでも、簡単にはいかない。仮に米国で発行する翻訳本なら、「セントラルパーク」で許されるのかも…。≪急に英語版を見たくなった。どこか書店にあれば入手するつもり≫

 原作に忠実な翻訳本は、語学の勉強にとても役立つ。“教材”としては、意訳でない方がありがたい。「ハリー・ポッター」は英語とスペイン語が4巻まで私の書棚に並んでいる。だけど、読み切れていない。宿題がたくさん待っている。5巻目は、タイに旅行したさい、あまりの値段の安さにタイ語版を買った。タイ語は文字からして大変。ちょっと手習いを始めてみたが、遥かなる道のりを感じ、これもまた宿題に。

 ついでだが、「La Buena Suerte」の裏表紙に、Álexの他の著書や本人のこと、「グットラック」のことも盛り込んだウェブサイトのURLがさりげなく記されている。面白いPR作戦。読者からのコメント投稿もできる。流行(はや)るかも、いや、もう流行っているのかもしれない。
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